序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第38回公演「美代松物語」物語紹介8-2

2019-12-20 15:08:05 | 舞台写真
第8場ー2

救世主と頼りにしていた大栄産業からの電話の相手は、吉野会長ならぬ息子の康幸からだった。
その電話で時江は思いもよらぬ事を告げられる。
大栄産業は体制が変わり、全権を自分が握る事になったので、以後は以前の付き合いでの約束はなかったことにするという宣言であった。
つまり老松は大栄産業から見捨てられたのである。


当てにしていた金策に詰まった時江は途方にくれるが、大吉が金策の当てはあると切り出す。
藁をも掴む思いの時江はその人物を問い正すと、大吉の口から富田圭吾の名前が告げられた。


どんな事情があろうとも過去の富田と時江の関係やその経緯を知っている大吉の口から圭吾の名前が出た事は時江にとって裏切り以外のものではなかった。
時江は激怒する。


時江 「大さん、あんた富田とあたしの事は知ってるよね」
大吉 「ハイ」
時江 「それでよくそんな事が言えるね」
大吉 「富田の兄貴は女将さんの為にどんな事でもすると言ってます」
時江 「どんな事でもする?・・・(激昂)冗談じゃない。どんな口でそんな事がいえ
るんだい。金輪際あんな奴の世話になんかなるもんか。富田なんてあんな奴に世話にな
るんだったらこの老松を潰しちまった方がましだ!」



大吉 「女将さん、落ち着いてあっしの話を聞いてください」
時江 「うるさい、アッチに行け!どいつもこいつもこの部屋から出て行け!出て行って!」

追い詰められた時江は老松を救うため娘の咲江を餌に、婚約話を纏めようと思い立ち相手方へ電話をする。

ふと我に返った時江は、追い詰められたとはいえ思わず知らずに自分の取った行動に唖然と佇むのであった。



第9場へと続く。
撮影鏡田伸幸


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