序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第38回公演「美代松物語」物語紹介13

2019-12-25 19:18:44 | 舞台写真
第13場
美代松での駆け落ち騒ぎの丁度その頃、濃霧の為運航中止になった空港から駅に駆けつけた咲江と圭介は人目を避けながら、急行列車の出発を待っていた。
急行の切符を取れた二人は出発まで外で時間をつぶす事にする。



入れ違いに二人を捜索していた橋南青年部の一同が集まるが誰も二人を発見できなかった。
一同に焦燥が走る。
そこへ君江が知り合いが咲江達を見かけたとの情報を持ってくる。
その情報に力を得た一同は再び捜索へと走る。



そこへ日日毎朝の遼子が現れ、焦る君江の態度に興味を持ち何かあるのかと迫る。
折悪しくそこへ大吉とスエが現れる。
何とか誤魔化そうとする一同に耳に構内放送が聞こえる。

放送 「ただ今から十六時三十三分発ホロ札行のスーパー8号の改札をいたします。ご乗車のお客様は改札口に御越し下さい」
金吾 「改札が始まったぞ」
貞二 「さあ、みんな見逃すんじゃねえぞ」
金吾 「俺達もう一回りして来るよ」
貞二 「ああ、そうしてくれ」

これはと確信した遼子は強く一同にせまると、咲江と圭介の関係と駆け落ちの件を白状する。


そこへみんなの目を逃れようと改札を伺い隠れながら二人が姿を現す。

遼子 「(二人に気付き)咲江ちゃん、圭介」
咲江・圭介・大吉・スエ 「エッ!」
咲江・圭介・大吉・スエ 「アアーッ!」

逃げようとする咲江と圭介。
逃さじと取り押さえにかかる一同。




咲江 「見逃して!」
圭介 「お願い、見逃してください」

圭介 「ごめん、僕が鉄道で行こうなんて言わなけりゃ・・・」
咲江 「ううん、圭介の所為じゃないわ」
圭介 「どんな事があっても絶対に咲江を放さない」
咲江 「私もどんな事があっても離れない」


大吉 「(咳払い)あのね、お二人さん・・・」
咲江 「大さん、お願い。私たちを逃がして、私達愛し合ってるの。何処か誰も知らない所で二人で静かに暮らします」
大吉 「いや、あのね・・」
圭介 「どんなに反対されても僕達は離れません」
大吉 「それは分かったから・・」
圭介 「愛してるよ、咲江」
咲江 「愛してるわ、圭介」
大吉 「聞けってんだ、このガキが!」
    一同凍る。
大吉 「・・・いいかい、お二人さん。女将さんは、いいって、今度の事は気にしなくていいから帰って来なさいって、帰ってきたら今後の事を相談しようと言ってるんだ。」

咲江 「・・・本当ですか」
大吉 「ああ、本当だよ。それにね、女将さんと富田の社長は互いに誤解が解けて仲直りしたんだ」
圭介 「ええ、女将さんと父が・・」
大吉 「だからもう隠れて付き合う必要もないんだ」
     構内放送。
放送 「十六時三十三分発ホロ札行のスーパー8号発車いたします。閉まるドアにご注意下さい」
     鋭いホイッスルの音。
     気動車の発進音。
貞二 「おい、列車は出ちゃったぜ」
金吾 「ほら、立て立て」
スエ 「じゃ、あたしコレするよ」
大吉 「ああ、頼まあ」
     携帯を取り出すスエ。



最終第14場へと続く。
撮影鏡田伸幸


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