序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第37回公演「スマイルマミー・アゲイン」物語紹介第四場ー1

2019-07-13 16:01:39 | 舞台写真


さて四場でございます。
何やかんやありながら日々スマイルマミーの仕事はございます。
そんなある日、アルバイトの剛史が仕事を終え、事務所で寛いでいますと、恭子と孝雄が仕事から戻ってまいります。
それも大変疲れたご様子。


範子 「孝雄君、お疲れ様」
孝雄 「今日は疲れました」
剛史 「なんでそんなに疲れるんですか」
恭子 「ジャイアン。あんた達登録メンバーと違ってね、ス
タッフは一ヶ所仕事でご苦労様って訳には行かないの」
範子、事務机に向う。
孝雄 「そうなんだよ」
剛史 「そりゃ知ってますよ」
恭子 「わたしは朝から田中さんのマンションと中島のお婆
ちゃんのとこの掃除でしょう」
孝雄 「僕はいつものブリダーの所の犬の散歩と友愛老人セ
ンターの買い物代行」
恭子 「それから清掃依頼を今までよ」
剛史 「ご苦労様です」


範子 「OLのワンルームよね」
恭子 「そう、今夜は大事なお客が来るから帰るまでに綺麗
にしといてなんて軽く言ってくれちゃって、現場行ってビッ
クリ。山よ、ゴミの山」
孝雄 「ホント、足の踏み場もないんだから」
恭子 「回収ゴミがウチの軽トラの荷台に山盛り」
孝雄 「あれは片付けられない症候群って奴だね」
恭子 「いつもはこんなんじゃないのよ、なんて言い訳して
たけど。一日であんな風になる訳ないじゃない」
剛史「なんでそういう事になっちゃうんですかね」


色々な仕事があるものです。
よっぽど腹に据えかねたのか、恭子の愚痴りはつづきます。



剛史 「あれ、そういえばその現場、恭子さん一人の予定
じゃなかったんですか」
恭子 「あんた本当に人の話聞いてないわね。だから一人で
時間内に出来るような現場じゃないんだってば」
孝雄 「で、客の了解を得て僕が助っ人」
剛史 「ああ。でも、よくお客さんが了承しましたね」
恭子 「だってそうしないと間に合わないんだもの。でも案
外すんなりいったの。自分でも判っていたんじゃない、一人
じゃ無理だって。で、自分はどうするかっていうと後はお願
いねって美容室にエステサロン」
剛史 「金持ちだな」
孝雄 「今時のOLは適当に男あしらって自分の金使わない
からね」
恭子 「話の具合だと今夜来る大事なお客さんっていうのが
どうも婚約者らしいのよ」
剛史 「へえ・・・その婚約者の人知ってるんですかね、そ
の部屋の事」
恭子 「知るわけないじゃない。知ってたら、ジャイヤン婚
約する?」
剛史 「いや、遠慮しときますね」
孝雄 「ひどい話だろう。さも自分はきれい好きみたい顔をして婚約者と会うんだぜ」
恭子 「きれいにしたのはあんたじゃないちゅうの」
剛史 「それを知らないで結婚するのかな」
恭子 「そういうことでしょう。一緒に生活しないとわからないんじゃない」
剛史 「悲劇だな」
孝雄 「そうなんだよ。こんな仕事してると、女の子の表と裏の顔の違いがはっきり見えてどんどん結婚する気がなくなるよ」
恭子 「何言ってんの、男だってそうよ」
剛史 「何だか夢がなくなっちゃうな。・・さてと、俺行きます」
範子 「なんだい早いじゃないか。さてはデートかな」
孝雄 「付き合うんだったらきれい好きの女の子がいいと思うよ」
剛史 「何言ってるんですか、俺は本番稽古ですよ」
範子 「明日の予定確認したわね」
剛史 「はい、確認済みです。それではお疲れ様です」
範子 「お疲れ様」

剛史が帰った後、働きづめの範子を心配しての休めという恭子の提案を範子は蹴とばします。
この二人にはどこかに意地の張り合いみたいなものが見え隠れします。



恭子 「そんな事より、どうだったんですか、お寺」
範子 「うん。・・・公園墓地みたいな大規模な所は大手が押さえてるから、近場のお寺を当たってみたけど、まあ、後発だから結構苦しいわね」
恭子 「もう他の所が来ているんだ」
範子 「うん。ウチの菩提寺は、ほら、ウチの人が熱心に檀家の仕事していたお陰で和尚さんも協力的だから問題ないんだけど・・他のお寺はね。結構幾つもの所が名乗りを上げているんだって。結局資料は置いてくれる事になったんだけど、お寺の方からはあえてどこを勧める事はしないからって」
恭子 「紹介料の事言ったの?」
範子 「それはどこでもやってる事だからね。お寺にしてみればどこの業者が請け負ったって、何もしないでも紹介料って名目でお金が入ってくるんだから、どこがやっても同じよ。どこかを薦めてあえて恨みを買うより、お好きにどうぞってやる方が体裁がいいからね」
恭子 「だったら何も無理してやらなくても」
範子 「あんただって分ってるでしょう。仕事を何とか安定化したいのよ。ほら、お墓のクリーニングの仕事がうまくいけばお彼岸やお盆みたいに年間の仕事が見込める様になるでしょう。今日みたいに朝から猫の手も借りたいほど忙しい日もあれば、それこそ一日遊んでいることもあるんだから。それを何とかしたいの」
恭子 「わたしは社長の身体が心配なの、膝だっていたいんだから。ここの所働き詰めじゃない。今だって何とかやれてるんだから、そんなに急いで手を広げなくてもいいじゃない」
範子 「身体は大丈夫よ。それに今やれてるとかの問題じゃないのよ。わたしは欲が深いのよ、せっかく創ったスマイルマミーをもっともっと大きくしたいの。頑張ってスタッフをやってくれてるあんたや孝雄君にはここにいてよかったと思って貰いたいの」

でもここの仲裁人は孝雄の存在です。



孝雄 「社長、僕は今でもここにいて良かったと思ってますよ」
範子 「・・・あらやだ、聞いてたの」
孝雄 「社長のやりたいようにやって下さい、僕はついて行きますよ」
恭子 「そりゃ、わたしだって」
範子 「いやだよ、照れちゃうね。・・・そうだ、今度暇な日があったらみんなでパーッとやろうか」
孝雄 「ああ、いいですね。やりましょうよ」


其処へ由美が帰ってきましてね。
こうなると勢いというものは自然とつくもんで飲み会の日取りなんかもトントンと決まります。
てなわけで四場の2へと続きます

撮影鏡田伸幸

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