序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

「ともしび」演出ノート・その三

2011-05-10 16:31:53 | 日記・エッセイ・コラム

その時は突然やってきます。

そう、以前からの流れを表面的に見ていれば、それは突然という形に映るのです。

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前日の稽古まで、あれほど自分を守って、遅々とした足取りで役創りに苦しんでいた役者が、まるで見違える程の自由さを手に入れ、嬉々として演じている。

この様に脱皮ともいえる様な感覚の瞬間が、稽古の中では見て取れる時期があるのです。

ようやくその時期が訪れた様です。

一人の役者の変化は、確実に伝染するのです。

この伝染は大歓迎です。

多分これは、それぞれの役者に手渡された課題が、役者の中で醸成され発酵していく過程で、具体的に言えば、相手役の変化そのものが良い塩梅でその役者与える刺激となっているに違いありません。

これは私の様な演出家にとって至福の時です。

それは演出の言葉が役者によって噛み砕かれ消化されて、役者の言葉となり肉体となったからです。

こうなると演出は更なる先を目指す為、次の課題を役者の耳元で囁くのです。

そう演出家というのは欲張りなんです。

更なる高みに皆を連れて行きたいのです。


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