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序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第37回公演「スマイルマミー・アゲイン」物語紹介第一場ー2

2019-06-23 17:35:23 | 舞台写真


さて怪しい電話があってすぐちょっと変わった客が訪れる。


入り口から坂口良介が顔を出す。

良介 「すいません、ちょっとお伺いしますが」
範子 「ハイ、なんでしょう」
良介 「こちらは、便利屋スマイルマミー様でしょうか」
範子 「ハイ、そうですが」
良介 「つかぬ事をお聞きしますが、こちらに岩村孝雄さんがお勤めでしょうか」
範子 「ハイ、居りますが何か」
良介 「ああ、そうですか。あのう御本人様は・・」

車走音。
     恭子が茶の間から覗く。

範子 「仕事に出ておりますが」
良介 「そうですか、いらっしゃらない。・・失礼ですが、あなたはこちらの・・・」
範子 「ハイ、わたくしスマイルマミーの社長をしております、立花範子と申します」
良介 「あっ、そうですか」
範子 「あの、どちら様・・・」
良介 「ちょっと失礼します」



    入り口から外を覗く恭子。

範子 「やめなさいよ」
恭子 「道向こうの駐車場にいる。ベンツよ、ベンツで来たみたい」
範子 「あら、ベンツで?・・・ベンツに乗る様な人が孝雄君に何の用があるのかしら」
恭子 「今、車の中の人と話してる」
範子 「もしかして・・・」
恭子 「さっきの電話?でも向こうが切ったのよ、それに孝雄君と何の関係があるの」
範子 「・・・まさかね」
恭子 「ドアが開いた」
範子 「どれどれ」

     恭子を押し退け覗き込む範子。

範子 「出た!」
恭子 「何、何が」

     覗きこむ恭子。




恭子 「アラア!・・」
範子 「まずいね、ありゃ素人じゃないよ」
恭子 「本当だ」

恭子 「来るわよ」

普段を装いPCに向う範子。道具棚を点検する恭      子。
良介が大きな紙袋を手に現れる。



良介 「度々お騒がせして申し訳ありません。会長をお連れしました」
範子 「ああ、そうですか」

     迎える範子。
サングラスの老人、岩村善三が現れ事務所の中をねめ回す。
「通りゃんせ」止み、車の発進音。


善三 「お忙しい所お邪魔いたします。あなたがこちらの社長さんですか」
範子 「はい、わたくし当スマイルマミーの社長をしております立花範子と申します」

     名刺を差し出す範子。

善三 「お初にお目にかかります。ワタクシこういう者です」

     善三、名刺。

範子 「株式会社ロックシステム・・岩村善三様」
恭子 「岩村・・」
範子 「岩村様と言いますと・・」
善三 「はい、御厄介になっている岩村孝雄の父親です」
範子 「あらまあ!」
恭子 「孝雄さんのお父さん」
善三 「孝雄がお世話になっております」


範子 「ところでお話というのは・・」

善三 「あっ、いえ。これといった話ではないのですが、たまたま東京に来る機会がありましたので、親の真似事でもしてみようかと・・」
範子 「そうですか。孝雄さんは自分の事には口が重くて、正直お父様の事は知らなかったんです」
善三 「・・・そうでしょうね。誇れる親でもありませんし、親らしい事は何もしてませんから・・・」
範子 「そんなことは・・・」
善三 「いや、そうなんです。お恥ずかしい話ですが、親から受け継いだ家業の所為で長い間尻の落ち着かない生活をしていたもんですから、家庭を持つのも遅くなりましてね。孝雄は・・先ほどもお話しした通り恥かきっ子の一人息子でなんです」

善三 「そうですか。・・・社長さん、実は・・・いや、いかん。歳を取ると愚痴ぽくなりますな。・・あいつが元気でやっていればいいんです。出来損ないですが、孝雄の事よろしくお願いします」
範子 「こちらこそ」

そそくさと立つ善三。

善三 「・・・・社長さん、一つお願いがあるのですが」
範子 「なんでしょうか」
善三 「わたしが今日ここに来た事は、どうかあいつには言わないでいただきたい。娘さんにも口止めを」
範子 「・・・それはいいですけど」
善三 「しばらくしたらわたしの方から直接あいつに会うつもりです。まあ、それまでは」
範子 「ああ、そういうことでしたら」


良介 「言ってください。会長が来た事を孝雄さんに言ってください」

     善三、顔出し。

善三 「坂口!余計なまねはせんでいい」
良介 「ハイ。・・失礼しました」

     良介行く。


善三 「まったく・・・くれぐれも御内聞にお願いします」
範子 「はい、わかりました」

善三 「まったく・・・くれぐれも御内聞にお願いします」
範子 「はい、わかりました」
何か事情がありそうだ。
第二場に続く。


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