序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第37回公演「スマイルマミー・アゲイン」物語紹介第一場ー1

2019-06-22 15:54:09 | 舞台写真


ここは東京郊外の街にある便利屋「スマイルマミー」の事務所。
この事務所はこの町に古くからある畳屋であったが、ここの主人の立花三郎の没後、自立を考えた妻立花範子と娘多津子の親子によって便利屋事務所として生まれ変わっていた。


第一場 「スマイルマミー」朝礼

オレンジのユニホームとお揃いの帽子を身に着けた恭子・岩村・由美が範子 の前に並んでいる。



範子 「今日も天気予報によると暑くなるそうです。水分補給などまめにして暑さ対策をよろしくね。今日は個人別の仕事の他に、全員参加の結婚式の出席者代行業務があります。で、ウチのメンバーだけじゃ揃え切れなかったので、いつもの便利屋三郎さんに助っ人を頼みました。ちょっと忙しいかもしれませんけど張り切って行きましょうね。えーと、スケジュールを確認します。では恭子からお願い」

遅刻した山本剛史が来る。


こうしてスマイルマミーの一日が始まる。
仕事依頼の電話が入る。


恭子 「・・・つまり仕事が忙しくて時間がないので、お客様の銀行預金からお金を引き出して、別の口座に送金して欲しいという事でしょうか。・・・・ハイ、それは通常の手続きを踏んで戴けましたら代行させていただきます」
範子「(小声で)何なの」
恭子 「(受話器を手で抑え)怪しい。(電話へ)ハイ、手続きですか。(範子に聞かせる)私どもがお客様の通帳から現金を引き出す為の手続きの事でございますね。少々お待ち下さい」


恭子 「それでその旨を銀行窓口に届けて、現金を下ろしお客様の御指定の口座に送金するという手筈になりますが・・・はあ、ATMですか。手続きを踏まずにATMで下ろせないかという事でしょうか」

      範子、大きく首を振る。

恭子 「・・・私どもでは他人様の通帳はATMではお取り扱いいたしません。・・・エッ、何ですか。イヤ、そういう問題ではなくて・・・いや、ですから料金を割増すとかそういう事じゃなくて、手続きさえとっていただければ料金は正規で結構なんです」

恭子 「切れちゃった」
範子 「怪しいね」
恭子 「メチャメチャ怪しいよ」
孝雄 「向こうの言い分は?」
恭子 「自分じゃ行けないから銀行でお金下ろして別の口座に送金してくれって」
孝雄 「それは・・でもある事ですよ、体の不自由な人なんかには」
恭子 「そうなんだけど、それが手続きを踏まないでATMで下ろしてくれっていうのよ」
孝雄 「それで」
恭子 「断ったわよ。そこはきちんとしないと、信用問題だもの」
孝雄 「そりゃそうですよね」
範子 「それが正解」
恭子 「そしたら今度、料金を倍出すからって。おかしいでしょう」
孝雄 「・・ああ、そりゃ決まりだな。とうとうウチまで来たか」
範子 「知ってるの」
孝雄 「ええ。最近便利屋仲間でもよく聞くんですよ、どうもコレ(泥棒)や詐欺グループの連中の依頼じゃないかっていうのが」
恭子 「それでそんな時、他ではどうしてるのかしら」
孝雄 「そりゃ他でも断っているんでしょうけど・・結構いい値段を言って来るらしいですよね。だから中には・・・ね」
恭子 「目先のお金か」


続く。

撮影鏡田伸幸

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