馬は旋風の如く奔りて、我前を過ぎぬ。幣の如く束ねたる薄金はさらさらと鳴り、彩りたる紐は鬣と共に飄り、蹄の觸るゝ處は火花を散せり。かゝる時彼鐵板は腋を打ちて、拍車に 釁る と聞く。群衆は高く叫びて馬の後に從ひ走れり。そのさま艫打つ波に似たり。けふの祭はこれにて終りぬ。
即興詩人/森鴎外訳
キン
ぬ(る)、ちぬ(る)、すきま、なかたが(い)、きず、きざ(し)
釁
【解字】会意。爨+酉+分。爨は、かしぐの意味。かまどの祭りに、酒を供え、血をそそいで清める、ちぬるの意味を表す。
- ちぬ-る。いけにえの血を器にぬって神を祭る。また、その祭り。=衅
- ひま。
すき。すき間。
争いのいとぐち。また争い。仲たがい。
- きず。
物のこわれたところ。さけめ。ひび。
欠点。あら。
- あやまち。過失。
- 罪。罪過。とがめ。
- きざし。前ぶれ。
- うごく。ふるい動く。
- 香料を体にぬる。
すすなどをぬって黒くする。
”ちぬる” という動詞も初めて目にしました。
白川先生によると、
1.ものを切って、その刀などに血が付着すること。
2.人の上から酒を注いで祓い清める → 祓除釁浴フツジョキンヨク
※死者の場合は、釁鬯キンチョウ という。
3.礼器や兵器を制作したときに、牲血を以て祓う。 → 釁塗キント
酒の代わりに、牲血で祓い清めることもあったという。
1級頻出の熟語と四字熟語では、
釁隙 キンゲキ 不和
釁端 キンタン 争いのはじまり
三釁三浴 サンキンサンヨク 相手を大切に思う心。
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象形。左右の手を合わせた形。左右の手でものをもつ意。臼を匊の古文とする。臼は前方にものを抱きかかえる形。匊は掬いとるような形をいう。
1 みぎひだりの手、両手でものをもつ。
2 すくう、両手ですくいとる。
3 挙と通じ、あげる。
臼を半分に切ったような字で形成される字を拾ってみた。
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※常用漢字--興
準1級--攪、輿
上記以外は全て1級配当。
受検者泣かせの画数が多く難解な字のオンパレード。
特に、爨 は、29画です。
飯盒炊爨 三世一爨 も抑えておいた方がいいでしょうか。
常用漢字では、興 の一字しかありませんが、旧字になると下記の五字が存在します。
覚(覺)
学(學)
挙(擧)
与(與)
誉(譽)