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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『城』1624。

2014-05-15 06:23:07 | カフカ覚書
しかも、バルナバスに言いつけたときのようにくりかえしたのではなく、その文句がクラムのまえで述べられるときのことを想像しながら反復したのである。

 バルナバス/Barnabas→Bar/熊(座)、nabel/へそ、中心。
 クラム/Klamm→klan/氏族。

☆バルナバス(北極星の化身)に委ねたときのようではなく、クラム(氏族)の前で信念をもって考えていたからである。

痛みに耐えて・・・。

2014-05-14 06:29:52 | 日常
 FUさんは75才、元気に闊歩している。定年後も介護の仕事で飛び回り、今も、買い物支援で毎日出かけている。

 そんな快活なFUさん、
「元気でもないの、空元気・・・。小さい頃から病気がち、腫れ物がしょっちゅう出来て膿みを出しに医院通い、それから盲腸、胃の全摘手術・・・いろいろ病気をしたわ、それでもずっと仕事だけは辞めずに働き続けたの。最近は一人暮らしで呑気にしていたんだけど・・・見ての通り、息子の嫁さんが病気なもんだから、最初は孫が一人やって来て、そのうち三人ともが居候。そうして息子まで・・・玄関も靴で溢れているわ。
 今の子って何もしないの。今日なんか洗濯を三回もしたわ、くたくたよ。仕事をして遅くなってもご飯を待っているのよ」と、こぼした。


 FUさん、母親を助け、早くに働きに出て何でもやり、病気を押してどんな苦労も厭わなかったのに・・・苦労の方が押し寄せてくる。
 FUさん宅を訪ねた時、お孫さんに「いる?」と聞いたら「おばあちゃんはまだ帰りません」と言われ、まあ、そのうちと再び訪ねたら「いるけど、寝ています」と言うので、引きかえした。
 年中忙しく留守がちなので、その日の夕刻、再び訪問。それでこの話、長々一時間も続いたけれど、彼女の表情に快活さが戻ることはなくいかにも憔悴仕切った感じ。
 明るかった景色も7時を回り、あたりは薄暗闇・・・。


 元気に見えても人は次第に老いていく。
 わたしも老いて劣化の一途・・・淋しい夕暮れである。
(もう少し、もうすこし・・・)もう、少ししか残っていない時間。
 踏ん張れるだけ頑張ることが幸福か、「もういいよ」と声を掛けられることが幸いか、どちらにしても、生きている限り(甘えは捨てなければ)と心している。
 痛みに耐えることが、即ち生きている証しかもしれない。痛みを肯定してしまえば、むしろ気楽である。
 

『ポラーノの広場』337。

2014-05-14 06:07:34 | 宮沢賢治
「さあ、どうかね、お客さまのお顎が白くて、それに円くて、大へん温和しくいらっしゃるんだから、やはりオールバックよりはネオグリークの方がいゝぢゃないかなあ。」

 お客さまはカクと読んで、覚。
 お顎はガクと読んで、学。
 白くてはハクと読んで、吐く。
 円くてはエンと読んで、掩。
 大へんはダイと読んで、題。
 温和はオン・ワと読んで、穏、話。


☆覚(さとり)、学ぶことを吐く(言う)。
 掩(おおいかくした)題(テーマ)があり、隠した話がある。

『城』1623。

2014-05-14 05:58:05 | カフカ覚書
だから、どんなことでも我慢をして、文句を言わせないようにつとめた。これは、彼にとって全然むずかしいことではなかった。なぜなら、頭のなかでバルナバスと歩いていたときおことを思いうかべてが、自分が頼んだ使いの文句を一語一語くりかえしていたからである。

 使い/Botschaft→Boot/小舟。

☆それゆえ、考えることの全てを我慢した。彼にとって全く困難なことではなかった。なぜなら、バルナバス(北極星の化身)と一緒の時のように小舟という言葉を繰り返していたからである。

氷解。

2014-05-13 07:03:49 | 日常
 姉妹が寄り添い、一つ屋根の下で暮らして十二年。
 お互いの行き違いから、火花を散らすことも再三、「もうやっていけないわ」と、涙したこともある姉。

 85歳の姉と73歳の妹、妹が風邪をひけば仲違いは中止して出来うる限りの看病。(妹の好物を)と、杖を付いての購入に出会ったこともある。それでも妹の身勝手に腹を立てては悔し涙。

「何もかも半分ずつにしているのよ、もちろんお金はわたしが出すのだけれど。この間もね、立派な葡萄を十個ずつ分けたの。わたしはそのまま食べたけど、妹は一粒づつゼリーのお菓子にしたの。一つくらいわたしにくれてもいいと思うのに全部自分の冷蔵庫にしまって知らん顔なの」なんていう他愛無い話から男友達に関しての「お姉さん、それは嫉妬よ!」と痛くもない腹を探られた憤怒までトラブルは数え切れない。


 ところが最近、姉が脳震盪を起した。幸い妹が応急処置、「救急車を呼ぼう」としたら、覚醒した姉が手で遮り事なきを得たという。
 そして昨日、「わたくし、今までのことをすべて水に流して、これからは妹に全面的に頼ろうと思います」という。
「そう妹に伝えたら、妹がね『お姉さんには大変世話になって、お金にしたら一千万円やそこらじゃ足りないほどの恩恵にあずかっている。感謝しているわ』って」と、晴れ晴れした顔で報告。

 紆余曲折・・・これからだって何があるか分からないけど、姉と妹が手を取り合った愛でて美しい場面に心洗われる思い。
 他所ごとながら人生の劇場はエンドレス。

『ポラーノの広場』336。

2014-05-13 06:45:56 | 宮沢賢治
 二人は私のうしろに来て、しばらくじっと鏡にうつる私の顔を見てゐましたが、そのうち一人のアーティストが、白服の腕を組んで答へました。


☆字の図りごとは詞(言葉)に頼っている。
 教(神仏のおしえ)の詞(ことば)に、信仰が現われる。
 逸(隠れた)図りごとえお吐く(言う)。
 複(二つ)をひとつに協(あわせる)素(本質)を、套っている。

『城』1622。

2014-05-13 06:25:42 | カフカ覚書
彼女がKにたいして心中ひそかに含むところがあるとおもわせるようなところは、言葉にも、しぐさにも、表情にもまったくなかった。とは言え、Kにすれば、そういうフリーダを縉紳館から、さらにこんどは橋屋からも無理に連れだしてきたのは自分であることを、自認せざるえなかった。


☆小舟という言葉、小舟という暗示、それに対して彼女がKにたいして閉じた様子は少しもなかった。
 ただ氏族の苦しみにより忍耐を抱えている大量の死んだ人々の死の入り口を、同じ仲介の死の入り口から引き離すことを言わざるを得なかった。

母の日。

2014-05-12 06:38:27 | 清一朗
 昨日は孫に花を持たせて息子一家が来訪。
「ベトナムへ行ったんだよ」と孫。
「楽しかった?」
「うん、疲れた」と、感想もそこそこ。でも(今はどこへでも気軽に行く時代なんだなあ)と、しみじみ。横須賀から一歩も出たことのないわたしなんかはただ呆然。(東京ですら臆していて戸惑いがある)

 母親に「おばあちゃんは500と500を足すと線になるって言うけどおかしいなあ」と言っていた孫も5才の誕生日を向かえ、「50と50を足すと100になるんだよ」と、しっかり把握。

 ほんの二時間あまりの滞在・・・でも、用意した紙にお絵かき。

  

 母親の実家に帰る時の渋滞の様子を描いたらしい。「周りは壁(高速道路)だから、何も見えないんだよ」と。

『ポラーノの広場』325。

2014-05-12 06:28:47 | 宮沢賢治
「どうだろう。お客さまはこの通りの型でいゝと仰っしゃるが、君たちの意見はどうだい。」

 お客さまはカクと読んで、隔。
 通りはツウと読んで、二つ。
 型はケイと読んで、景。
 仰っしゃるはゴウと読んで、合。
 君はクンと読んで、訓。
 意見はイ・ゲンと読んで、異、現。


☆隔(へだたる)二つの景(ようす)の合/あわせている。訓(字句を解釈する)で、異(他のもの)が現われる。

『城』1621。

2014-05-12 06:05:21 | カフカ覚書
しかし、いちばん不自由なこと、つまり満足な寝場所と暖房の材料がないことについては、あすじゅうになんとか方策を見つけるからときっぱり約束し、それまでは我慢してちょうだい、とKに頼んだ。

 寝場所/Schlagelegenheit→Schlaff/無気力な。legion/多数、無数。
 暖房/Heizing→Hetze/追求、苦境、扇動。

☆明らかに重要な欠如、つまり、ぐったりした(死んだ)人たちとの追求の約束が不十分であることについては、断固として小舟を明るみに示すので、それまでは我慢してくれと頼んだ。