特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

“おばさん”は“アムピョサン”

2005-03-31 20:23:43 | Bravo!韓国語
 晴れ。最低気温3.5度。最高気温15.5度

 しょうばいにん【商売人】①品物を売買することを職業とする人。商人。あきんど。②そのことになれていて、じょうずな人。専門家。くろうと。「-はだしの」③水商売の人。芸者。ホステス。

 商売人と一口に言っても宝石商から古物商までいろいろとございます。商売形態も店を構えない「立ち売り」と、店を構えた「店売り」との大きく二つに分けることができます。まぁ、最近では「立ち売り」、「店売り」なんて言葉も耳にする機会が減りました。インターネットの普及で、パソコンさえあれば誰もが簡単に商売を始められるという何とも便利な時代です。ここに来て、「ネット売り」という商売形態が新たに加わったことになります。

 お客さんも同様です。わざわざお店まで足を運ばなくても、パソコン一台あれば、世界中から自分が欲しい物を取り寄せることが出来るのです。もちろん、“先立つモノ”と“多少の語学力”は必要です。あっ、そうそう、クレジットカードも忘れずに。
 
 そう言えば、ちょっと前までは「デカケルトキハ、ワスレズニ」なんて、青い目の外国の方がテレビの向こうで微笑んでいましたっけ。今だったら「デカケヌトキモ、ワスレズニ」と、ヨン様が微笑むだけで、日本のオバサマ方は入会申込書を一斉にカード会社に送るでしょうね。

 まぁ、一つ難を挙げるとすれば「アメリカの金融サービス会社の日本国内向けコマーシャルに、何故韓国の俳優を起用しなければならないのか?」という点について果たして上層部の賛同が得られるかどうかという点でしょうか?しかしながら、日本のオバサマ方を会員として獲得するメリットは会社側にも充分あります。いくら日本国内が不景気だ何だと言ったって、“時間”と“お金”を持て余していますからね。一般カードは勿論ですが、ゴールドカードやプラチナカード、はたまたセレブ御用達のセンチュリオン・カードを持つに相応(ふさわ)しい、優良顧客が大勢いらっしゃいます。ハイ!

 また、このコマーシャルに出演することにより、ヨン様自身のネームバリューもぐっと上昇します。今後のCM契約にも、きっと良い影響を及ぼすことでしょう。某清涼飲料のコマーシャルで、「ゲンキハツラツ?」「Of course!」なんてやるより、全然良いと思いますよ。あれはCMの契約金に目が眩(くら)んだプロダクションの失態としか言いようがありません。あの一言で、日本の業界内における、韓国の俳優全体の価値を思いっきり下げてしまいました・・・。本当に残念としか言いようがありません。あのコマーシャル、韓国の人たちが見たら失笑を買いますよ。

 すみません。話しが思いっきり横道に逸(そ)れてしまいました。

 今日はヨン様ではなくオバサマの話題です。日本のオバサマ方のパワーには韓国の人たちも、“圧倒”されているようです。最近では“圧倒”を通り越して“呆れて”いるようです。

 でも、韓国のアジュマ(韓国語でおばさんの意味)たちは、日本の俳優を追っかけるような“醜態”は見せないだけで、日本のオバサンに決して負けていません。私の目には、日本のオバサンのパワーをはるかに上回っているように見えます。“生きる”ということに対してあらゆる意味で常に貪欲(どんよく)です。

 昨日W杯アジア最終予選(韓国対ウズベキスタン戦)をソウルのワールドカップ競技場で観戦したことは既にここに書きました。白熱する試合内容には圧倒されましたが、実は試合開始前にすでに圧倒されたことがあります。それはダフ屋の多さでした。日本ではその商いはもっぱら男性のものと決まっています。しかし、こちら韓国では女性しかもアジュマの占める割合が非常に高いのです。

 昨日はサッカーの試合ということで、万一の場合に備えて会場周辺に機動隊員が多数配置されていました。全員警察官です。日本だったら警察官がずらっと並んでいるような場所で堂々と「チケットあるよ!」とか「余ったチケット買うよ!」なんていうダフ屋はいないでしょう。

 それが、驚いたことに地下鉄の改札を出たところから、競技場の入口に至るまで、ありとあらゆる場所に男性に混じってアジュマのダフ屋が立っているのです。機動隊員はアジュマにとって自分の孫くらいの若い隊員ばかりです。年長者を敬うという儒教の教えが今も根強く息づいている韓国では年長者は絶対です。それを逆手に取った、実に堂々とした“商いっぷり”です。

 「一等席(S席)3万ウォン!(通常5万ウォン)」、「良い席あるよ!」、「安くしとくよ!」、「余ったチケットない?」と次々に話しかけてきます。アジュマに混じってハルモニ(おばあさん)のダフ屋もいます。こんなサッカーとは縁もゆかりもなさそうなハルモニが、一体どうやってチケットを大量に手に入れたのかを訊いてみたいもんです。

 男性のダフ屋の服装は上下が黒のスーツ姿が多く、“その筋”の方であることが一目で判ります。それに対してアジュマやハルモニのダフ屋の服装はどう考えても近所のオバサンやオバアサンにしか見えません。強いて言えば帽子やサンバイザーを被り一見、近くの公園へ散歩に行くかのような格好をしています。でもポケットからは沢山のチケットとお金が覗いています。

 私なんかは、あれだけ“商売敵(がたき)”がいたら“商売”もしづらいだろうと思うのですが、“素人”の私が心配する必要もないでしょう。みなさん“プロのダフ屋”なのですから。

 ちなみに韓国語で“ダフ屋”のことを“アムピョサン”と言います。“アムピョサン”とは“暗票商”の韓国語読みです。“暗票商”って漢字で書くと、すごくダーティーな感じがしませんか?

 写真はソウルのワールドカップ競技場入口。この写真には写っていませんが、周辺には“暗票商”の方々が大勢いらっしゃいました。

 追記(4/3):最近ヨン様は「ピザーラお届け!」という日本語を覚えたらしい・・・。