特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

韓国のモーターボート免許試験合格記念の一枚!

2005-05-08 17:09:06 | 韓国のボート免許試験体験記
 晴れ。最低気温11.1度。最高気温15.6度。

 報告が遅れましたが、去る五月四日に待ちに待ったモーターボートの免許証が書留で無事届きました
 差出人は仁川海洋警察署(インチョン ヘヤンギョンチャルソ)水上レジャー係(スサンレジョゲ)

 封筒の中には免許証と「貴殿の免許試験最終合格をお祝い申し上げます」というA4大の紙が一枚入っていました。
 免許証の正式名称は『動力水上レジャー機具操縦免許証』とやたら長いのです。

 免許証には左上に免許の種別。右に免許証番号。そして上から順に姓名、外国人登録番号、住所、免許の日付、もちろん顔写真も入っています。一番下には海洋警察庁長(ヘヤンギョンチャルチョンジャン)と印が押されて(入って)います。大きさはキャッシュカードをひと回り小さくした感じです。

 写真は五月二日の実技試験終了後、一緒に受験したアメリカ人のピーター・アンダーウッド(Peter Underwood)さん(左)と撮った合格記念写真です!詳しくは『外国人の水上レジャー免許取得が話題に』というタイトルで海洋警察の電子新聞に記事が掲載されています。 韓国語が解せる方は、時間がある時にでもお読み下さい(特上カルビのことには、あまり触れてありません)。

 ちなみにこのページにあるソフトでWEBページの翻訳が出来ます。「何じゃこりゃ?」という誤訳をしてくれますが、それはご愛嬌。まずはお試しあれ

【誤訳の解説】
×受賞レジャー→○水上レジャー(韓国語で書くと共に同じ表記“수상”となるため)
×動力受賞レジャー期で→○動力水上レジャー機具(機具“기구”の기を「期」に、구を口語体の「~で」と解釈した非常に高度な?誤訳)
×ブルイイックイック最小化→○不利益最小化(韓国語の“불이익(不利益)”を翻訳出来なかった)
×受賞レジャー活動観光対局→○水上レジャー活動観光大国(これも韓国語で書くと表記が全く同じになるために生じた誤訳)

 追記(5/25):あっ、まずい!特上カルビの本職が明らかに・・・。実は大学○○なのでした(韓国では大学で先生をやっていると、何故かみんな大学○○と呼ばれてしまうんです)。でも韓国語教育を学んでいる、れっきとした大学院生でもあるんですよ。

韓国のモーターボート免許試験体験記(3)実技試験編

2005-05-02 16:05:50 | 韓国のボート免許試験体験記
 晴れ!最低気温15度。最高気温25度。絶好のボート日和。

 今日はいよいよ実技試験だ。

 家を出たときは風は無かったが、漢江(ハンガン)の試験場に着いたら西風が吹き始めた。
 すぐ近くにあるヨットの陸上保管場所の前を通ったら、マストが風で大きく揺れていた。波も若干あるようだ。

 9時半集合。試験の順番をピンポン球で決める。1番から順に二人ずつ乗船して実技を行う。
 乗船順に座席を移動したら書類への記入だ。まず誓約書が配られ、実技試験中に受験者本人の不注意で起こった事故については本人が責任を負う旨署名させられる。次に採点票が配られ、受検番号に名前、外国人登録証番号を記入。最後に同乗者の採点用紙にお互い参観者として自分の名前と外国人登録番号を記入する。

 一級と二級の受験者代表が前に出て、ピンポン球を引く。少ない数字を引いたほうが先に試験が行われる。今日は一級が最初に実技を行うことになった。ボートは二艇。受験生二名に試験官が二名乗船する。前列左の試験官が右側の操縦席に座った受験生に指示を出す。後列左は参観する受験生。後列右、つまり受験生のすぐ後ろに採点用紙を持った試験官が座る。ちなみに試験の公正を期すため、試験官は全員地方の試験場から派遣されてきた試験官が努めることになっている。

 私の番まで三十分以上は待っただろうか?
 心では“楽しもう”と思っても、体は正反対に“ガチガチに緊張”している。試験場の試験官の方々が「そんなに緊張しないで、リラックス!」と声をかけてくれればくれるほど緊張度のレベルゲージが上がる。体の中では「警報ランプ」が点滅し始めた!こ、これはまずい。

 順番が近くなり、救命胴衣を身につける段になって、気ばかり焦って救命胴衣に腕が通らない。「緊張しないで~」という試験場スタッフの声で我に帰る。気を落ち着けて救命胴衣を身につけてる。しばらくして私の乗るボートが入ってきた。出航前点検を行う。これは上手く出来た。

 次に操船。離岸と変針は何とか無事こなせた。滑走速度まで増速して蛇行するのだが、ブイを一直線に見る針路に上手く船を持っていけない。日本では何の問題もなくこなしていたのに・・・。「蛇行開始!」の試験官の声で蛇行を始めたものの、二番ブイから三番ブイを蛇行する際の舵角が大きすぎた。「ブイから離れすぎじゃ~ん!」と思ったときには蛇行は終わっていた。試験官が一言「航路逸脱減点!」あらまぁ。

 次に急停止。後進。これは特に問題なし。そして最後の人命救助。「右舷落水者発生」の試験官の声。舵を右に切り、ブイのところまで微速前進で接近。ブイに対して舵を思いっきり左に切り、無事救助成功と思ったら、試験官が「はい、操縦レバー微速前進のままだね。中立(エンジン停止)にしないとスクリューに巻き込んじゃうよ!はい減点ね」

 私の頭の中にはスクリューで“メンチ”になった溺水者(できすいしゃ)の姿が浮かぶ・・・。と、同時に“メンチ”、“メンチ”、“メンチ”という言葉がリフレインされる。

 試験官の「はい、じゃ最後に着岸して」の言葉に力なく「着岸」と復唱する私。頭から足の先まで石膏で固められたかのような感じ。ガチンガチンに緊張したまま着岸。左足と左手を同時に前に出してボートから降りようとしたものだから、試験に落ちる前に、あやうく漢江(ハンガン)に落ちるところだった。 

 採点結果はすぐに発表される。これも日本と違って、精神衛生上大変よろしい。その場で結果が判るので「不合格」なら諦めがつくし、すぐに気持ちを切り替えることができる。日本で試験を受けた時よりも明らかに操船に余裕がなかったし、緊張しまくっていたので諦めていたら「合格です!」の声。最初は「不合格」と聞き間違えたのかと思った。

 どうやら外国人ということで大目に見てくれたようだ。ここは素直に感謝して、試験官と試験場の職員の方々にお礼を述べた。4月8日に「韓国のモーターボート免許取得宣言」をしてからほぼ一ヶ月で無事目標が達成された訳だ。

 日本のボート免許を持っているし、実際ボートの操船技術は充分鍛えられていたと思うので、まさか実技試験でこんなにも手こずるとは考えても見なかった。何事も“甘く”考えていると“痛い目に遭う”ということだろう。

 実技試験でのアドバイスは、とにかく緊張しないこと(これは日本のボート試験でも言えることだ)。「合格しなければ!」なんて考えていると余計緊張してしまう。私の場合は日本でのボート歴という“つまらないプライド”が大いに邪魔をしたのかも知れない。

 とにかく結果オーライということで、今夜は久しぶりにささやかなお祝いでもするかな・・・。免許証は一週間以内に郵送されて来る。楽しみだ。

 今回のボート免許取得にかかった費用は以下の通り。
 筆記試験:4,000ウォン
 実技試験:54,000ウォン
 実技練習:350,000ウォン(希望者のみ3時間受講)
 免許証郵送代:1,700ウォン
 マークシート用サインペン:500ウォン
 総   計:410,200ウォン(およそ41,020円)

 写真は今まで四回足を運び、職員の皆さんに大変お世話になったソウルのモーターボート操縦免許試験場(今朝、実技試験前に撮影)。

 追記(5/3):“メンチ”ではなくて、“ミンチ”ではないか?という貴重なご意見を戴きました。たしかに“ミンチ”と言いますが辞書には“ミンチ=メンチ”とありますので両方とも許容されているようです。私は『ミンチカツ』よりも『メンチカツ』というほうがしっくりくる古い世代なのかも知れません・・・。

韓国のモーターボート免許試験体験記(2)筆記試験編

2005-04-30 15:41:12 | 韓国のボート免許試験体験記
 晴れ。。最低気温19度。最高気温29.8度。百年ぶりに4月の最高気温の記録を更新したとのこと。

 いよいよ筆記試験当日がやってきた。

 家を八時半過ぎに出て試験場へ向かう。家を出たときは太陽も顔を出していなかったが、試験場に着く頃には気温も上がり強い陽射しが燦々(さんさん)と降り注いでいた。昨日(4/29)とは違って今日は湿度が高いようだ。風自体はそれほど強くないが、ジメッとした風が体にまとわりついてくる。

 十時集合の十時半試験開始。試験開始二十分前には受験票と身分証明書そしてマークシート用サインペン以外は全てしまわなければならない。
 受験生は一級が十五名。私が受検する二級は十九名の合わせて三十四名だ。年齢層は学生から年配の方まで様々だ。うち外国人は私とアメリカ人の合わせて二人。今年度(2005年)から筆記試験は英語での受検が可能になったので、アメリカの方は英語の試験問題で受検。試験は四者択一のマークシート方式で行われる。出題は五十問で試験時間は五十分。試験官は海洋警察庁の職員が三名。回答方法の説明のあとに一級、二級受験者の代表がそれぞれ試験官に呼ばれて、箱に入ったピンポン球を引く。そのピンポン球には番号が書いてあって、その番号の試験問題を全員が解くことになる。試験官の話しでは二級は10類型(種類)の問題用紙があるそうだ。今回二級の試験は9類型の問題を解くことになった。

 出題用紙は使いまわしをするので、ビニールシートで覆われている。大きさはA2判で両面に問題が印刷されている。マークシート用のサインペンでビニールの上に書き込むのは構わない。問題を提出する際に、ウェットティッシュでサインペンで書き込んだものをきれいに拭き取れば良い(ウェットティッシュは試験中に配布される)。

 いくらマークシート式とはいえ、問題と回答をのんびり読んでいるとそれだけで時間が足りなくなるので、予想問題集には必ず最初から最後までくまなく目を通しておく必要がある。そうすれば問題の一部を読んだだけで、どんな問題かが把握できるからだ。予想問題集を解かずに、いきなり筆記試験に臨んでも合格は難しいだろう。

 それにしても予想以上に手こずった。一回で正答を選べなかった問題が四問あった。問題集に載っていない問題も何問か出題されていたからである。とりあえず答えが判らない問題は後回しにして先に進んだ。何せ一問あたり一分で回答してゆかなければならない。最後の問題までたどり着くのが先決だ。結局四十分ほどで五十問目までを終え、答えが判らなかった問題に再度取り組んだ。それでも結局答えは定まらず、「回答することに意義がある!」とばかりマークシートを塗りつぶした。

 結果発表はマークシートを読み取りにかけて、試験終了後すぐ行われる。
 日本のそれに比べて、精神衛生上非常によろしい。試験結果を思いあぐねる必要も無い。結果は七十八点で無事合格だった。何と今回二級を受検した人は全員六十点以上で合格!合格率100%だ(英語で受検したアメリカの方は何と90点という優秀な成績!)。一級は十五名中十二名が合格した。試験官もさすがに二級受験者の全員合格には驚いていた。いくら合格率の高い筆記試験とはいえ、めったに無いようである。

 筆記試験の際の注意事項は、「船酔いに注意!」である。何故ならソウルの試験会場は漢江(ハンガン)の河面に浮かんでいる(昨日(4/29)のブログの写真参照)ので船に乗っているのと同じ状態になるのだ。軽微なローリング(横揺れ)が断続的に続く。そんな中で細かい文字を追いながらマークシートを塗りつぶすという作業は意外と疲れる。試験中は緊張と集中で気にならないのだが、終わった途端に試験疲れとともに軽い船酔いが襲って来た。乗り物酔いとは全く縁のない私だが、やはり何だかんだ言って体が疲れているようだ。船酔いする人はボートの免許は取らないかも知れないが、念のため。

 自動車に酔う人も自分がハンドルを握っている時は大丈夫という場合が多いように、ボートに酔う人に代わりに舵を握ってもらうと不思議と船酔いをしないものだ(自動車と違って船の場合は、免許を持っている人が同乗していれば、免許が無くても操船が可能である)。

 成績発表後、早速実技試験の申し込みをした。実技試験は来週の月曜日五月二日の朝九時半から。今から楽しみである。この勢いで実技試験も合格するぞ

 写真は韓国のモーターボート実技試験に使われる試験艇(筆記試験終了後撮影)。背後の橋は城山大橋(ソンサンデギョ)。

韓国のモーターボート免許試験体験記(1)実技練習編

2005-04-29 17:33:40 | 韓国のボート免許試験体験記
 晴れ。最低気温13度。最高気温25度。真夏のような強い陽射し。絶好のボート日和だ!

 モーターボート免許の筆記試験がいよいよ明日(4/30)に迫った。

 今日は朝から実技の練習。ソウルワールドカップスタジアムからあるいて三十分。漢江(ハンガン)市民公園にある韓国水上レジャー安全連合会(ボート免許試験場)で久しぶりにモーターボートの舵を握った。日本で乗っていたボートは韓国に来る前に売ってしまったので、実に四年ぶりのことになる。

 ここで韓国のモーターボート免許を取ろうという私のような奇特な方むけに、実技試験でのポイントをご紹介(一般の人を対象とした2級免許の場合)。

 受験資格は満14歳以上の者。筆記試験に合格(60点以上)すれば実技試験が受けられる(実技試験も60点以上で合格)。
 まず何よりモーターボートに関する専門知識が無いと、それだけで大きなハンディになる。何せ普段耳にしない専門用語が多いからだ。韓国語の実力とは全く別の問題だ。その点、専門知識がありさえすれば、漢字語が多いので日本語話者には比較的有利と言える。

 実技試験の内容は日本とほとんど変わらない。ただ、方位測定やロープワークそして船上での口頭試問が無い分、簡単ではある。出航前点検、離岸、進路維持、滑走、蛇行、停止、後進、人命救助そして着岸の順に行われる。試験艇は日本のものとほぼ同じだが、エンジンは船内外機ではなく船外機だ。従ってエンジン音がかなり大きい。試験官からの指示が聞き取りづらいこともあった。 
 また日本と違うのは蛇行に入る際に、一時停止してから滑走するのではないということ。蛇行に入る大分前から滑走状態を維持したまま、三つのブイが一直線に並ぶ位置に針路を取らねばならない。ブイを目視でよく確認しながら落ち着いて臨めば問題無い。ブイの間隔も日本よりも短いので、どうしてもハンドル操作が急になりがちだ。一番ブイを右舷に見て、二番ブイは左舷、三番ブイは再び右舷に見て蛇行する。ブイを通過する際は一番ブイを除いて、通過したブイが真横に来た時点で、大きくゆったりと舵を切ってやればよい。

 人命救助もブイの引き揚げは試験官がやってくれるので、ブイの手前までゆっくり近づき、操縦レバーを中立にして舵を思いっきり左に切ればほぼ100%成功する。日本の試験ではブイの引き揚げを同乗している受験者が行わなければならないので、同乗者も緊張を強いられるのだがその心配は無い(ブイの引き揚げは必ず右舷側から行う)。

 右舷に人命救助用のブイが投下された場合は右舷に舵を切り、操縦レバーは微速前進にする。左舷に人命救助用のブイが投下された場合は操縦レバーを中立(エンジン停止)にして、左舷に舵を切り、微速前進で救助に向かう。

 ソウルでの実技試験は海上で行わないので、波よりも風力と風向に留意して操船すべし。もう一つ気をつけなければならないのは船内のコンパスの方位が操縦席から非常に見づらいという点。コンパスの方位と併せて、変針方向の目標物を予め頭に入れておくと良いだろう。

 昨日ボート関係の雑誌をちらっと読んだのだが、韓国内でモーターボートの免許制度が導入されたのは今から五年前の2000年からだそうだ。当初は合格率が75%と信じられないほど高かったそうだが、現在は65%台で落ち着いているとのこと。

 少し前まで「試験を受けさえすれば合格するのがモーターボート免許だ」と言われていたそうだ。日本に比べてマリンレジャー人口が圧倒的に少ないので、マリンレジャー人口を増やすのも大事かもしれない。しかし、それ以上に安全教育などの制度面の整備を急ぐべきだ。何せボートの上での事故は即生命にかかわると言っても過言ではないからだ。

 因みに韓国のボート免許には現在のところ更新制度が無いので、一度取得すれば一生有効だ。

 さぁ、まずは明日の筆記試験!合格するぞ

 写真は漢江(ハンガン)にあるソウルのモーターボート免許試験場。ここで筆記試験と実技試験が行われる。

取るぞ!韓国のモーターボート免許

2005-04-08 23:49:40 | 韓国のボート免許試験体験記
 晴れ。最低気温度。最高気温度。最高の天気!春本番

 昨夜(4/7)NHK「経済最前線」という番組を観た。“より効率よく!様変わりする新人研修”と題した特集だった。以前、職場で人事や総務を担当したこともある私にはとても興味深いものだった。
 
 新入社員教育の負担を軽減すると同時に効率の良い研修を行なうかが企業の大きな課題になりつつあるそうだ。番組内では、研修担当者が三名しかいないために、入社時期を二月、四月、六月の三回に分けて実施している人材派遣会社などが取り上げられた。

 六月入社の社員には自己研修費として三十万円を支給し、自己研修計画書に基づいて新入社員自らが考えて研修を行うのだ。自己研修費を使い、インドへボランティア活動に行くという女性社員の例が紹介されていた。
  その会社の担当者はインタビューで「二ヶ月という限られた時間をぜひ有効に使い、実りのあるものにして今後の仕事に生かして欲しい」と話していた。
 
 番組を見終わってからふと、もし自分がこの二ヶ月に何か出来ることはないだろうか?と考えた。韓国語の勉強は今もやっている。英語も少しずつ勉強しているけれども、二ヶ月で格段に目に見えるような結果は望めなさそうだ・・・。

 そういえば最近読んだ中谷彰宏(なかたにあきひろ)氏の『なぜあの人は集中力があるのか』という本のまえがきにこんなことが書いてあった。

 「好きなことに熱中する」とよく言います。
 「熱中」というのは集中してやることです。
 集中してやれることが、その人の好きなことです。
 だから、好きなことをやると成功します。

 そうだ、「好きなこと」をやってみよう!そう思い立った。
 色々な思いを巡らしているうちに「韓国でモーターボートの免許を取る」というのが頭に浮かんだ(仕事や勉強には役立つか甚だ疑問だが、目標を立てることに意義があるのだ。)。日本でも免許を取り、中古のモーターボートを手に入れて思いっきりハマった。ぜひ韓国でも自分の手でボートを走らせて見たい。思い立つ日が吉日という。早速、韓国でのモーターボート免許制度について調べた。韓国では海洋警察庁(日本の海上保安庁に該当)が管轄しているようだ。

 アメリカなど、外国では個人で楽しむ、いわゆるプレジャーボートの操船については免許がいらない場合が多い。原付の免許が無い韓国のことだ。モーターボートの免許もいらないか、あるいは日本のボート免許を書き換えられるのでは?と淡い期待を抱いたが、その期待は見事に裏切られた。担当部署の水上レジャー係のホームページにアクセスした。何と日本同様、筆記と実技試験が課されるようだ。但し、日本に比べて受験料が格段に安い。筆記試験4,000ウォン(400円)、実技試験54,000ウォン(5,400円)で合わせて58,000ウォン(5,800円)だ。

 という訳で、今朝ソウルを東西に縦断する漢江(ハンガン)沿いにあるソウルの「操縦免許試験場」に出かけた。近くにはソウルワールドカップスタジアムや公園などもあり、緑の比較的多い場所だ。地図を片手に最寄り駅の地下鉄6号線「ワールドカップ競技場」から歩いて行った。地図には車でのアクセス方法ばかり詳しくかいてあり、地下鉄を利用した場合は駅から徒歩30分と書いてあった。ワールドカップ競技場は漢江(ハンガン)べりにあるという印象があったので、まさかそんなにはかからないだろうと甘い気持ちで駅から歩いた。すると本当に30分以上かかった。ようやくたどり着いたときには汗だくで、脱水症状寸前だった
 
 何せ駅周辺を抜けるとお店らしいお店は無く、コンビにはおろか自動販売機も無い。頭上から照り付ける太陽とアスファルトからの照り返しも強い。もちろん日陰などない。どうりで車でのアクセス方法が詳しく書かれている訳だ。歩いて来る人はよっぽど奇特な人だ。試験場周辺の河岸はキャンピングエリアになっており、平日の昼間ということもあってか、人影はまばらでウォーキングやサイクリングそしてローラーブレイドを楽しんでいる人が何人かいるだけだった。

 試験場と言っても、灰色に塗られた巨大なコンテナが二つ並んで河に浮かんでいるだけだ。中に入って受付で筆記試験の問題集(15,000ウォン(1,500円))を買い、その場で四月三十日の筆記試験を申し込んだ。筆記試験に合格すれば翌日に実技試験がある。筆記試験も実技試験の内容も日本のそれとほぼ同じだ。ただし、筆記試験はさして問題なくとも、実技試験は試験官の指示に韓国語で答え、出航前の点検から、試験終了まで韓国語で行わなければならない。当たり前と言えば当たり前なのだが、覚えなければならない用語も多いので初心に戻ってイメージトレーニング。勉強のし直しだ。

 問題集の中に「操縦制限船(そうじゅうせいげんせん)」の定義が書いてあった。
 「操縦制限船」とは簡単に言えば航路への航路標識(ブイ)の設置や海底ケーブルそしてパイプラインの敷設などの作業を行っているために、他の船を避けることが困難な船のことだ。定義自体は国際法で決められているので世界共通なのだが、「操縦制限船」の例として挙げられている船に日本のテキストでは決してお目にかかれないものがあった。「機雷除去作業中の船」がそれである。モーターボート免許の試験問題にも、“北と対峙している”という韓国の現実(いま)が垣間見られた。

 試験場前の漢江(ハンガン)では、実技試験の練習のためにボートが一艇、気持ちよさそうに走っていた。あ~私も早くボートの免許が欲しい!春の日差しにきらきらと輝く穏やかな川面を眺めながら合格を誓った。

 筆記試験まで残り三週間。何としてでも合格して今年の夏は漢江(ハンガン)でボートを気持ちよく走らせたいものだ。もちろんボートはレンタルだ。

 写真は韓国のモーターボート筆記試験試験問題集。表紙には『動力水上レジャー機具-最新改訂版-Ⅰ・Ⅱ級予想問題集』と書いてある。