特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

未来は前にあるのか後ろにあるのか?

2009-03-05 17:57:40 | チャンマル(雑談)
晴れ.最低気温5度. 最高気温11度.

“ネイティブ・アメリカンのホピ族の言葉では,過去は視界の前方にあり,未来は頭の後方にあるというのだそうだ.なぜなら,過去は近いものほどよく見え,遠いものでもかすかに見えるからだ.しかし,未来のことは頭の後ろにあって,何も見えない.
 僕ら現代の日本人は,未来は前方にあって,過去は置き去りにしてきたものとして後ろにあると思っている.きっと,未来のことも見えているように感じているのだ.”


上の文章は,先日読んだ,望月昭(もちづきあきら)著『こんなツレでコメンナサイ。』(文藝春秋)【写真】の中(p242)にあったものだ.

ちなみに著者の望月昭氏は『ツレがうつになりまして』(幻冬舎)で有名な漫画家,細川貂々(ほそかわてんてん)さんのツレ(ご主人)である.そのツレの手による,うつ病の闘病記を含んだ半生記のライト・エッセイが,先の著書『こんなツレでゴメンナサイ。』である.随所に細川貂々さんのイラストが入っていて楽しい.

望月昭氏はうつ病との闘病生活を振り返り,次のように結んでいる.

“未来は頭の後ろにある.そこには何があるのか,後ろに目がついていないから,ちっともわからないのだ.”(p246)

「なるほど,そうなのか!」と思わず膝を打った.
私は今まで“前を向いているようで,実際のところ後ろを向いていた”のだ.

うつの闘病記ものを読むと,今までの体験がフラッシュバックして,より陰鬱な気持ちになることもあるが,この本は『ツレがうつに―』同様,楽しく読めた.著者が1964年東京生まれという,同世代の同郷,同性であるというところにも親近感を覚える.

それに,世に言う「前向きに検討します」とか,「前向きに善処します」といった常套句が,全く逆の意味になる理由も,何となく解った気がする(ちと,違うか?).

漫画『めぐみ』韓国語版を読む

2009-03-01 20:44:01 | チャンマル(雑談)
曇り一時雨.最低気温5度. 最高気温8度.

早いもので今日から3月.今月もすてきな一ヶ月となりますように.

こんなマンガを読んだ.

図書館の「新しく入った本」のコーナーで偶然見つけたのだ.
背表紙に大書きされた메구미というハングル文字が目を引く.
装丁が思いっきり少女マンガしているので,40歳のオジサンにはこのマンガを手に取るのにも,借りるのにもちょっぴり勇気がいった.私は普段マンガを読まないけれど,最近のストーリーマンガの装丁はこれが普通なのだろうか?

【写真】政府拉致問題対策本部が作成した漫画『めぐみ』の韓国語版

拉致問題に対する理解も深まったのと同時に,韓国語の勉強にもなった.
何といってもマンガはセリフの言い回しや,擬態語・擬声語を自然に学べるところが良い.
擬態語や擬声語がただ羅列されているだけではなかなか理解しづらいが,情景描写もされているマンガなら頭に入りやすい.

外国語版(中国語・英語・韓国語)の市販は行わず,国外からの賓客への贈呈,各国にある日本大使館や総領事館などを通じて世界中に配布されるそうだ.440ページ余りのマンガを読み終えて思ったことは,マンガを外国語に翻訳して国内外に配布する前に,そのお金と労力を拉致事件の抜本的な解決のために注ぐべきではないかということだ.

なぜなら採算の問題を度外視すればマンガの翻訳と国内外での出版や販売は民間の力だけでも十分できるからだ.,政府は,政府にしかできない国家間の外交交渉などに専念してもらいたい.そして一日も早い拉致被害者の救出と事件解決を実現してほしい.