特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

映画「いま、会いにゆきます」を韓国で観る

2005-03-26 16:13:28 | 映画
 曇り。最低気温2度。最高気温14度。何となく肌寒い一日。

 韓国の映画館はエンディングロールが流れ始めると途端に照明を明るくしてしまう。観客もどっと席を立ち、出口へと向かう。映画の余韻を楽しみたい私としては、あれだけは止めて欲しい。今日も例外ではなかった。

 『いま、会いにゆきます』が昨日(3/25)から韓国で公開された。早速今朝一番で観に行って来た。地元、新村(シンチョン)の映画館で観たのだが、土曜日の朝一番ということでガラガラだった。
 昨夜一時四十五分からワールドカップアジア最終予選の韓国対サウジアラビア戦が行われ、0-2で韓国代表が完敗してしまったせいもあるだろう。今朝の街はやけに静かだった。

 『いま、会いにゆきます』は、昨年(2004年)末に日本国内で公開中に一度観ているので、今回は二度目だったが、やはり良かった。二度目にもかかわらず、まるで初めて観たような新鮮さがあった。逆に今回のほうが映画自体を存分に楽しめた気がする。前回観た時には見逃していた何気ない場面、一つ一つに込められているメッセージを読み取ることも出来た。

 ソウルに戻ってから原作本も読んだので、原作との違和感を感じるかなとも思ったが、自然と映画の世界に入り込めた。『ビューティフルライフ』、『GOOD RUCK!』そして『オレンジデイズ』などで演出を担当した土井裕泰(どいひろやす)が初めてメガホンを取っただけある。原作の味わいを決して損なうことなく、同時に独自の映像世界を形成している。そして何より観客の“ツボ”をしっかりと押さえている。これも数多くのテレビドラマ作りを通して培った土井監督ならではのものだろう。
 
 また『ちゅらさん』を初め、数多くのテレビドラマの脚本を手掛け、今回脚本を担当した岡田恵和(おかだよしかず)もこの作品の映像化にあたって非常に大きな貢献をしたと言って良いだろう。

 出演者の中では秋穂佑司(あいおゆうじ)役を演じた武井証(たけいあかし)の演技力が抜きん出ていた。今後の活躍が楽しみな、子役である。他にYOUが佑司のクラスの担任の先生役として出演していたこと。先日観たばかりの映画「誰も知らない」での母親役とは全く対照的な役柄だっただけに強く印象に残った。

 映画が始まる前に、韓国のお客さんたちのおしゃべりに耳を傾けていたら「日本映画だから、お客が全然入らないんじゃない?」なんていう声も聞こえたが、無視、無視。観たい人だけ観てくれればそれで良い。

 今朝の韓国の新聞「朝鮮日報」のA12面に「韓国パビリオン賑わう・・・“独島(トクト=竹島の韓国での名称)問題なんて知らない”」という見出しが躍った。昨日(3/25)開幕した「愛・地球博」の韓国館(パビリオン)に関する写真付きの記事が掲載されていた。記事の最後に、横浜から来場したという山本さん(女性・29歳)が「日韓両国の間にどんな外交問題があるのか、よく知らない」と述べた、とある。きっと日本国民の多くが、彼女と同じような言葉を口にすることだろう。
 
 日本国内では「竹島(独島)領有権問題」や「歴史教科書歪曲問題」に関心を持っている日本人が、韓国の人たちが考えるよりも“圧倒的に少ない”という事実を知らな過ぎると思う。残念ながら、それが現実だ。韓国内のマスコミ報道に煽られて、反日感情を露(あら)わにし、韓国の人たちが感情的な行動に走るのは得策ではないと思う。韓国が感情的になればなるほど、日本は“引いてしまう”し、何故韓国がそこまで“熱くなるのか”全く理解できない人がほとんどだ。

 同様に、日本のマスコミ報道のみに基づいて「韓国や韓国の人たちを単純に批判する」のは私達日本側にとっても百害あって一利なしであるということを、改めて述べておきたい。特に最近のネット上での韓国批判や攻撃は見るに耐えないものが多く、同じ日本人として、とても残念であると同時に恥ずかしく思う。

 写真は映画「いま、会いにゆきます」の韓国版ポスター。