特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

カルビさんトラサンを行く(その2)

2005-09-10 21:30:43 | 都羅山(トラサン)を行く
 時々曇り。最低気温20.0度。最高気温28.2度(9/10の天気)。
 
 一昨日(9/8)に都羅山(トラサン=도라산)に行った時のレポート(その2)をお届けします。

  


 写真左が臨津江駅の駅舎です。ソウル方面から臨津江駅に到着した列車は駅舎の手前に停車しますが(写真右)、臨津江駅から都羅山駅へ向かう列車に乗車する場合は全員、駅舎内で軍の憲兵(Military Police)による身分証明書と乗車券(往復分)のチェック及び手荷物検査を受けなければなりません(都羅山駅までの片道乗車券だけでは列車に乗れないので注意しましょう)。DMZツアーに参加する場合はツアーを申し込んだ際に渡された参加者証を忘れずに首からかけておきましょう。参加者証をかけていないとMPから「都羅山でどちらに行かれますか?」と質問されます。都羅山駅だけを見学する場合は「I only visit a Dorasan station」と答えておきましょう。因みに都羅山も韓国領内ですから、税関や出入国審査のようなものはありません。
 

  


 左の写真「都羅山(トラサン)」行きの列車に掲げられている行先表示板です。
 それではいよいよ「都羅山(トラサン)駅」へ向かって出発です。車内は緊張と不安が入り混じった雰囲気に包まれています。右の写真は臨津江(イムジンガン)を渡る直前の列車を最後尾から写したものです(臨津閣の展望台から撮影)。
 車内は先ほどと同じく自由席です。お薦めの席は進行方向右側の窓側。「自由の橋(チャユエタリ=자유의 다리)」と朝鮮戦争の時に破壊された鉄橋の橋脚を車窓から眺められます。
 

  


 警笛を短く鳴らし、列車はいよいよ「臨津江(イムジンガン)」にかかる鉄橋に差し掛かりました。のんびりゆっくりというよりも、慎重に用心深く鉄橋を渡って行きます。右側の写真には板張りの「自由の橋(チャユエタリ)」が映っています。
 通路を挟んで私と並んで座っていらしたご年配の紳士が「一時間ぐらい乗るのかね?」と前に座っている方に尋ねました。尋ねられた男性は笑いながら「五分くらいですよ」と答えます。それを聞いたご年配の紳士は「たったの五分かね」と思いっきり拍子抜けされたようです。その気持ち分かる気がしました。MPによる身分証明書と乗車券のチェックに加え、手荷物検査を受けてようやく車内の人になったのですから。確かに「臨津江(イムジンガン)」と「都羅山(トラサン)」の間はたったの4kmしか離れていませんし、乗車時間も五分足らずですが、韓国の人たちにとっては「臨津江(イムジンガン)」を列車で越えるまでに五十年という歳月がかかったのです。皆さん感慨深げに車窓に広がる風景を眺めていらっしゃいました。
 

  


 「臨津江(イムジンガン)」を越えると、間もなく右手前方に「都羅山(トラサン)駅」が見えてきました。どうやら未だ駅舎は完全に出来上がっていないようです。列車はゆっくりと韓国最北端の駅に入って行きます(写真左)。
 右の写真の駅名表示板は次の駅が「平壌(ピョンヤン=평양)」になっていますが、もちろん今はまだ行くことが出来ません。もしかしたら先ほどの年配の紳士は「平壌(ピョンヤン)」まで行けると思っていたのかも知れません。
 さて「都羅山(トラサン)」に着くと、ホームでのんびり記念写真を撮っている暇はなさそうです(もちろんホームでの写真撮影自体は問題ありません)。ただ、先ほど「臨津江(イムジンガン)駅」から同乗してきたMPがホームに立ち微動だにせず、乗客の動きを監視しています。ライフルや拳銃などの火器は所持していませんが、「早く出口へ行け!」と体全体で乗客たちに訴えかけています。さっさと駅舎内を通って改札口へ向かうことにしましょう。人数確認のために出口にはバーが取り付けてあり、一人ずつバーを押して改札を出ます。出口では乗車券を回収しますので、乗車券を手元に用意しておきましょう。

 DMZツアーに参加する人は駅の待合室を出たところにバスが止まっています。MPの人が参加者証の色を見て「前のバスに乗って下さい」とか、「後ろのバスに乗って下さい」などと教えてくれますので、言われたバスに乗り込みます。参加者証にバスの座席番号がそれぞれ記載されていると前回書きましたが、予想通りバスの座席番号を守る人は見事に一人もいませんでした。乗車人数さえ合っていれば問題ないようなので、空いている席に適当に座ります。MPによる人数確認を済ませるとバスは出発します。運転手さんが左手にハンドル、右手にマイクを両手に握りながら韓国語でガイドをしてくれます。親切丁寧なガイドをしてくれるのは有り難いのですが、ガイドに夢中になり過ぎて何度か道を外れそうになりヒヤヒヤしました。何せ車道の両脇は地雷原という場所柄ですから・・・。
 駅の周辺は見事に何もありません。あるものといえば建設工事現場でしょうか。物流倉庫などあらゆる建物を建築中です。

 DMZツアーはおおよそ次のようなスケジュールです。①「都羅山(トラサン)駅」(13:35発)→②「第三地下トンネル(チェサムトンクウル=제3땅굴)」(13:45着/14:50発)→③「都羅展望台(トラジョンマンデ=도라전망대)」(15:00着/15:20発)→④「統一村(トンイルチョン=통일촌)」(15:30着/16:00発)→⑤「都羅山(トラサン)駅」(16:15着/16:43発列車でソウルへ)

 ②の「第三地下トンネル(チェサムトンクウル」は撮影禁止です。手荷物はロッカーに預け、各自ヘルメットを着用しなければなりません。このトンネルは北が韓国へ侵入するために掘られたトンネルです。以前は全行程徒歩による見学で、往復一時間半ほどかかったそうです。しかし、2002年のワールドカップを機に地元のパジュ(坡州=파주)市が見学者用に電動のケーブルカーを設置しました。そのため現在は地上と地下の間を片道七分ほどで結んでいます。ケーブルカーに乗り込み、ゆっくりとトンネルに入ってゆくと全身がひんやりとした空気に包まれます。地下トンネルに関する韓国語による解説を聞きながら傾斜十五度のレールの上を進みます。地下でケーブルカーを降りると、いよいよ北が掘ったトンネルが現れます。ここから各自徒歩で、約十分ほど進みます。至るところで岩盤が露出しており、場所によっては頭上から水がしたたり落ち、足元がぬかるんでいたり、水溜りもありますのでスニーカーなど汚れても良い歩きやすい靴を履いて行かれることをお薦めします。また、ケーブルカーには屋根がありません。トンネル内も非常に狭いので背の高い方は充分気を付けて下さい。
 トンネルの見学を終えると、非武装地帯を紹介する短い映画と展示を見ます。
 駐車場には売店やお手洗いもあります。
 

  


 上の写真は③「都羅展望台(トラジョンマンデ)」です。初めに写真左の建物の中にあるホールで韓国軍の担当者から非武装地帯に関するレクチャーを受けます。ホールの前方はガラス張りになっており、非武装地帯とその先に広がる北側の様子を一望することが出来ます。レクチャーを受ける時はなるべく前の席に座ったほうが、眺めも良いですし、説明も良く聞こえます。但し、軍事上の理由からホール内での写真やビデオ撮影は禁止されています。
 レクチャーが終わるとホール左前方の出口から外にある展望台に出ます(写真右)。展望台には東京タワーなどにあるような有料の双眼鏡が並んでいるのですが、左隅の三台は軍事観測用の双眼鏡なので覗いてはいけません。タダで見られるからと覗いていると注意を受けます。見学者の方々は双眼鏡が有料だと言うことを知ると「軍も商売をするのかね」と文句を言いながらも、きちんと小銭を入れて、眼下に広がる非武装地帯と北側の風景を熱心にご覧になっていました。この展望台からの撮影は右の写真にある黄色い「Photo Line」の内側からのみ可能です。この線より前で撮影していると、やはり注意されますので気をつけましょう。
 「都羅展望台(トラジョンマンデ)」の駐車場にもお菓子やお土産を置いている売店そしてお手洗いがあります。

 ④「統一村(トンイルチョン)」はバスの車窓からの見学と、「統一村(トンイルチョン)」にある村営の売店と食堂での休憩があります。「都羅山(トラサン)駅」には食堂がありませんので、お腹が空いた人はここで食事を済ませておくのが良いでしょう。売店には主に、統一村(トンイルチョン)で収穫された農産物などがおいてあります。いわゆる生協のようなお店です。北朝鮮産の平壌焼酎(2,500ウォン)や人参酒などもおみやげとして置いてあります。日本人の観光客の方々が何本も買い込んでいました。
 「統一村(トンイルチョン)」を出発するとDMZツアーも無事終了です。あとはバスで「都羅山(トラサン)駅」へ戻るだけです。
 

  


 写真は「都羅山(トラサン)駅」の駅舎を外側から写したものです。
 改札が始まるまでの15分ほど駅の待合室でしばし休憩です。待合室には飲み物やポップコーンなどを売る売店があります。絵葉書やキーホルダーなどのおみやげも置いてありますが、種類はさほど多くありません(売店のお兄さんは日本語が出来ました)。
 帰りの列車は乗り換えなしでソウル方面に向かいますので、お手洗いは「都羅山(トラサン)駅」で済ませておくのがいいでしょう(列車内にはお手洗いがありません)。
 改札は16時半から始まります。今回は身分証明書や手荷物検査などはありません。帰りの乗車券を手元に用意して、改札へ進みます。
 すでに列車はホームに停車しています。空いている席に着いたら、ソウルまではのんびり休みましょう。出発まで余裕があるので、ホームで記念写真を撮るのも良いでしょう。何度も来るような場所ではありませんから。
 平日の夕方は途中駅から会社や学校帰りの人達が多数乗り込んで来るので、車内は混雑しますが、こんな列車の旅もたまにはいいのではないでしょうか。

 DMZツアーは都羅山(トラサン)駅が出来る以前からあったものと変わりが無いようです。ですから外国人観光客にとってのメインイベントは、やはり臨津江(イムジンガン)を列車で渡り、都羅山(トラサン)駅へ行くというところに尽きると思います。
 今回、都羅山(トラサン)を訪れて、南北の交流が進んでいる現場を直接目にすることが出来ました。以前、板門店(パンムンジョム)を訪れた時のような緊張感は都羅山(トラサン)では全く感じられませんでした。ただ、南北が休戦状態にあることは事実であり、38度線に沿って南北2kmの非武装地帯を挟んで双方の軍が対峙していることに変わりありません。韓国内のマスコミでは南北和解に向けた動きが盛んに報道されていますが、個人的にはまだまだ南北の溝を埋めるのには時間と忍耐、そして何よりお金がかかると思いました。韓国内ではほとんど話題にのぼりませんが、南北統一にかかる費用は韓国のGDP(778.4兆ウォン=約85兆円)の30倍以上といわれています。
 来週から北京で六ヶ国協議が再開されるようです。協議の進展を期待するとともに、日本政府にも今まで以上に北をはじめ各国に対して断固とした態度で臨んで欲しいと思います。あとでお金だけ巻き上げられるのは目に見えていますから・・・。

 カルビの都羅山(トラサン)ツアーに最後までお付き合い戴き、ありがとうございました
 追記:毎週月曜日は都羅山(トラサン)駅が休業のため列車も臨津江(イムジンガン)駅止まりです!

カルビさんトラサンを行く(その1)

2005-09-08 21:20:02 | 都羅山(トラサン)を行く
 見事な秋晴れ。最低気温19.7度。最高気温28.7度。

 トラサンと言っても男はつらいよ寅さんではありません

 韓国と北朝鮮の間にある民間人統制区域内にある韓国側の最北端の駅「都羅山(トラサン=도라산)」のことです。2002年に京義線(韓国ソウル(서울)-北朝鮮の新義州(신의주)を結ぶ鉄道)の韓国側の終着駅として開業し、駅付近の「第三地下トンネル(チェサムトンクウル=제3땅굴)」や「都羅展望台(トラジョンマンデ=도라전망대)」そして「統一村(トンイルチョン=통일촌)」をバスで巡るDMZツアーが実施されています。
 
 民間人統制区域といえば一番に思い浮かべるのが、DMZ(Demilitarized Zone)と呼ばれる非武装地帯に位置する「板門店(パムムンジョム=판문점)」でしょう。韓国映画『共同警備区域JSA(Joint Security Area)』でもお馴染みですね。外国人向けには以前から団体ツアーがあり、南北が対峙する緊張感溢れる現場を肌で感じることが出来ました。しかし、韓国の人たちは外国人のツアー客のように自由に「板門店(パムムンジョム)」を訪れることが出来ません(以前に比べると規制は緩和されましたが、事前の身元審査など見学許可を得るまでに時間がかかります)。その反面「都羅山(トラサン)」は簡単な身分証明書のチェックさえ受ければ、誰でも行くことが出来る民間人統制区域であると同時に、南北が対峙する現場を肌で体験できる観光スポットとして韓国の人たちの人気を集めています。
 板門店(パムムンジョム)は二回訪れたことがありますが、「都羅山(トラサン)」は私も今回が初めてです。
 
 韓国旅行ガイドのサイト『○○の歩き方』などのガイドブックにも「都羅山(トラサン)」観光のことは詳しく載っていると思いますが、特上カルビがご案内する「都羅山(トラサン)」観光にもお付き合いして戴ければ幸いに存じます。

 さて、今日(9/8)は絶好の外出日和ですね。朝9時半に家を出て、国鉄の「新村駅(シンチョンキチャヨク=신촌기차역)」から9時58分発の「臨津江(イムジンガン=임진강)」行き通勤列車に乗り込みます。自動券売機なんて洒落たものはありませんから、窓口で「トラサンまで往復!(トラサンカジ ワンボギヨ!=도라산까지 왕복이요!)」と叫んで2,800ウォンを出して乗車券をゲットしましょう。もちろん「トラサンまで往復下さい(トラサンカジ ワンボク ジュセヨ=도라산까지 왕복 주세요)」と言っても通じますが、ネイティブの人は切符などを買うときに「○○ください(○○ジュセヨ)」という言い方はあまりしないようです。旅慣れたあなたならここで格好よく決めましょう

  


 国鉄の新村(シンチョン)駅の駅舎はこじんまりしています(写真左)。新村(シンチョン)駅に入ってきた「臨津江(イムジンガン)」行きの通勤列車(写真右)。
 「都羅山(トラサン)」へには、それぞれ国鉄の「ソウル」もしくは「新村(シンチョン)」から「臨津江(イムジンガン)」行きの列車に乗り、「臨津江(イムジンガン)」で「都羅山(トラサン)」行きの列車に乗り換えなければなりません。「都羅山(トラサン)」行きの列車は一日三本のだけなので注意が必要です。運行ダイヤは次の通りです(2005年9月8日現在)。
 追記:毎週月曜日は都羅山(トラサン)駅が休業のため列車も臨津江(イムジンガン)駅止まりです!
 ①ソウル駅発07:50/新村駅発07:58/臨津江駅着09:13/臨津江駅発10:23/都羅山駅着10:28(DMZ観光可能)
 ②ソウル駅発09:50/新村駅発09:58/臨津江駅着11:13/臨津江駅発12:23/都羅山駅着12:28(駅舎内のみ観光可能)
 ③ソウル駅発10:50/新村駅発10:58/臨津江駅着12:13/臨津江駅発13:23/都羅山駅着13:28(DMZ観光可能)
 なお②の都羅山駅着12:28の列車では都羅山駅舎内の見学は可能ですが、DMZ観光が出来ません。「都羅山(トラサン)」でのDMZ観光に参加する場合は、「臨津江(イムジンガン)駅」で③の13:23発の列車まで待たなければなりません(「都羅山(トラサン)」での個人行動は認められていません)。
 
 「ソウル」及び「新村(シンチョン)」から「都羅山(トラサン)」までの運賃はともに片道1,400ウォンです(2005年9月8日現在)。通勤電車なので座席指定はありません。空いている席に座りましょう。前方の車両が比較的空いているようです。「都羅山(トラサン)」に向かう乗客は「臨津江(イムジンガン)駅」で一旦全員下車しなければなりません。ソウル市内から「臨津江(イムジンガン)駅」まではのんびり各駅停車の旅です。車窓に広がるソウル近郊ののどかな景色を満喫しましょう。
 「臨津江(イムジンガン)駅」に着くとホームを出たところに、「都羅山(トラサン)」に向かう乗客のための申請窓口がありますので、「都羅山(トラサン)駅」に向かう乗客は身分証明書(旅券か外国人登録証)と「都羅山(トラサン)駅」までの乗車券を提示しチェックを受けなければなりません。「都羅山(トラサン)駅」でDMZツアーに参加する場合は同じ窓口でツアー代金を払い、申し込みをすませましょう(ツアー代金は大人11,200ウォンで現金のみ支払い可能です)。ツアーは定員が決められているので定員に達すると締め切られてしまいます。気をつけて下さい(週末などツアー参加者が多い日は早めに並んで申し込みましょう)。
 

  


 「臨津江(イムジンガン)駅」にある窓口で「都羅山(トラサン)」でのDMZツアーを申し込むとチケット(写真左)と参加者証(写真右)を一人一枚ずつ渡されます。参加者証は各自、「都羅山(トラサン)駅」行きの列車に乗る時から常に首からかけておかなければなりません。また、DMZツアーの際に乗車するバスごとに色違いになっており、バスの座席番号がそれぞれ記載されています。チケットは提示する必要はありませんので、無くさないように財布の中にでも入れておきましょう。

 私は②の列車で「臨津江(イムジンガン)駅」に着いたので、DMZツアーの申し込みを済ませてから13:23発の列車まで待つことになりました。「臨津江(イムジンガン)駅」のホームを出たところにある売店で3,000ウォンのうどんを食べてから、自由の橋などがある「臨津閣(イムジンカク=임진각)」まで歩いて行きました(徒歩十分)。「臨津閣(イムジンカク)」は民間人統制区域に一般の人が立ち入ることが禁止されていた頃には、目の前を流れる「臨津江(イムジンガン=임진강)」を臨む韓国最北端の場所として多くの人々が訪れました。現在は遊園地なども併設されすっかり様子が変わってしまいました。展望台も綺麗に建て直され、コンビニやレストランそして記念品販売店などが入っています。お腹が空いたり、飲み物などを買いたい時には「臨津閣(イムジンカク)」を利用するのが便利です。お手洗いも清掃が行き届いていて綺麗でした。
 

  


 「臨津江(イムジンガン)駅」から「臨津閣(イムジンカク)」へ向かう途中に「鉄道中断点(チョルドチュンダンチョム=철도중단점)」の碑(写真左)と蒸気機関車が展示されています(写真右)。
 現在、南北の鉄路は再び結ばれ、来月(2005年10月)には南北双方で試運転が行われる予定とのことですが、南北の対立が深刻だった頃は南北分断の悲劇を物語るシンボルとなっていました。しかし今では蒸気機関車の後ろに客車が三両連結され、ビヤホールや食堂として営業されています。それだけ南北間の交流が促進されたということであり喜ばしいのすが、昔の姿を知っている私としては何とも複雑な気持ちになりました。「鉄道中断点(チョルドチュンダンチョム=철도중단점)」の碑にはめ込まれている「鉄馬は走りたい(チョルマヌン タルリゴシプタ=철마는 달리고 싶다)」という文字も心なしか以前に比べて色あせて見えました。

  


 「臨津江(イムジンガン)」の河岸にかかる「自由の橋(チャユエタリ=자유의 다리)」です(写真左)。この橋は「板門店(パンムンジョム)」へ向かう車両の道路として使用されていたため、2000年1月に開放されるまで民間人の立ち入りが許されていませんでした。写真右は「自由の橋(チャユエタリ=자유의 다리)」が開放されたことを記念するプレートです。プレートには「여기까지 오기에 50년(ここまで来るのに50年)」と刻まれています。「自由の橋(チャユエタリ=자유의 다리)」の先は「都羅山(トラサン)駅」へ向かう線路になっています。線路に面した金網には南北統一への願いを込めた黄色いリボンや思い思いのメッセージが書き込まれた旗などがびっしりと結び付けられています。

  


 「自由の橋(チャユエタリ=자유의 다리)」から眺めた「臨津江(イムジンガン)」に架かる鉄橋です。この鉄橋の先が「都羅山(トラサン)駅」そして北と鉄路で結ばれています。この鉄橋も線路が敷かれる以前は「板門店(パンムンジョム)」へと向かう車両の往来に使われていました。ところで、右の写真をよく見ると鉄橋の右側に橋脚だけが一列に並んで残っているのが分かると思います。そこには南北が分断されるまで鉄橋が架かっていたのですが、朝鮮戦争の際に敵の進撃を防ぐために破壊されたそうです。朝鮮戦争の傷跡がいたるところに残っています。

 さて、そろそろ12時50分です。「臨津江(イムジンガン)駅」を13時23分に出発し「都羅山(トラサン)駅」へ向かう列車の改札は13時から開始されます。「臨津閣(イムジンカク)」を後にして臨津江駅まで戻ることにしましょう。(つづく)