アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官が更迭された。
オバマ政権は、努めて平静を装おうとし、マクリスタル司令官の更迭を彼の個人的問題としてあつかおうとしているが、アメリカ軍国主義(ミリタリズム)は朝鮮戦争時のマッカーサー更迭、ベトナム戦争時のマクナマラ国防長官の辞任のように、戦争がうまくいかなかった場合、その責任者を変えることによって、戦略の転換を図ってきた。
1951年に、北朝鮮軍と「中国人民志願軍」の反抗が本格化し、再び戦線を押し戻すようになった。このような状況を打開することを目的に、マッカーサーは中華人民共和国領となった旧満州に対する空爆、さらには同国への核攻撃の必要性を主張した。
しかしソ連との核戦争を恐れたトルーマン大統領は、マッカーサーを更迭することで朝鮮戦争を現状で固定し終息させる道を選んだ。
1968年には、南ベトナム解放戦線の“テト攻勢”で、ベトナムにおけるアメリカの勝利はないと確信した国防長官のマクナマラはジョンソン大統領に北爆の停止とベトナム戦争の段階的な終息を進言したが、拒絶されたために辞任した。
もちろん、戦争を止めようという人が辞めたのだから、ベトナム戦争はその後も続くことになるが、ベトナム戦争を牽引してきた人物が失意の中で辞めていったことでベトナム戦争は一つの分水嶺を越えたのだった。
アフガニスタンのマクリスタル司令官はどちらかといえば、マッカーサータイプで今年の夏にカンダハルの総攻撃を強行しようとするマクリスタル司令官はいくつもの障害に遭遇していた。
一つは、マクリスタル司令官がカンダハルの総攻撃に呼応するかたちで、カンダハルの兵站地になっているパキスタンの北ワジリスタン攻撃をするように説得、というよりも恫喝をしてきたがパキスタンはいまだに承諾していない。(パキスタン政府にとってワジリスタンの出兵はこの地の分離独立運動と隣接するイランを刺激するのでどうしても避けたい)
二つ目は、アフガニスタンのカルザイがこの地を拠点としているため、この地の部族長の承諾なくカンダハルを攻撃することに反対していること。
タリバンの拠点となっているカンダハルの攻撃をイラクの“ファルージャの戦い”のように徹底した焦土作戦として戦い、爆弾の雨を降らせて住民を老幼男女の区別なく皆殺しにすればアフガニスタンに平和が訪れると信じているマクリスタル司令官は、パキスタンやカルザイ政権の意向を無視してことを進めようとするが、そんなことをすればすべてがぶち壊しになることを知っているオバマ大統領はマクリスタル司令官を解任することでなんとか“アフガニスタンの危機”を乗りきろうというのだが、この場合、やはりアフガニスタンの戦争は一つの分水嶺をこえたと見るべきだろう。
オバマ政権は、努めて平静を装おうとし、マクリスタル司令官の更迭を彼の個人的問題としてあつかおうとしているが、アメリカ軍国主義(ミリタリズム)は朝鮮戦争時のマッカーサー更迭、ベトナム戦争時のマクナマラ国防長官の辞任のように、戦争がうまくいかなかった場合、その責任者を変えることによって、戦略の転換を図ってきた。
1951年に、北朝鮮軍と「中国人民志願軍」の反抗が本格化し、再び戦線を押し戻すようになった。このような状況を打開することを目的に、マッカーサーは中華人民共和国領となった旧満州に対する空爆、さらには同国への核攻撃の必要性を主張した。
しかしソ連との核戦争を恐れたトルーマン大統領は、マッカーサーを更迭することで朝鮮戦争を現状で固定し終息させる道を選んだ。
1968年には、南ベトナム解放戦線の“テト攻勢”で、ベトナムにおけるアメリカの勝利はないと確信した国防長官のマクナマラはジョンソン大統領に北爆の停止とベトナム戦争の段階的な終息を進言したが、拒絶されたために辞任した。
もちろん、戦争を止めようという人が辞めたのだから、ベトナム戦争はその後も続くことになるが、ベトナム戦争を牽引してきた人物が失意の中で辞めていったことでベトナム戦争は一つの分水嶺を越えたのだった。
アフガニスタンのマクリスタル司令官はどちらかといえば、マッカーサータイプで今年の夏にカンダハルの総攻撃を強行しようとするマクリスタル司令官はいくつもの障害に遭遇していた。
一つは、マクリスタル司令官がカンダハルの総攻撃に呼応するかたちで、カンダハルの兵站地になっているパキスタンの北ワジリスタン攻撃をするように説得、というよりも恫喝をしてきたがパキスタンはいまだに承諾していない。(パキスタン政府にとってワジリスタンの出兵はこの地の分離独立運動と隣接するイランを刺激するのでどうしても避けたい)
二つ目は、アフガニスタンのカルザイがこの地を拠点としているため、この地の部族長の承諾なくカンダハルを攻撃することに反対していること。
タリバンの拠点となっているカンダハルの攻撃をイラクの“ファルージャの戦い”のように徹底した焦土作戦として戦い、爆弾の雨を降らせて住民を老幼男女の区別なく皆殺しにすればアフガニスタンに平和が訪れると信じているマクリスタル司令官は、パキスタンやカルザイ政権の意向を無視してことを進めようとするが、そんなことをすればすべてがぶち壊しになることを知っているオバマ大統領はマクリスタル司令官を解任することでなんとか“アフガニスタンの危機”を乗りきろうというのだが、この場合、やはりアフガニスタンの戦争は一つの分水嶺をこえたと見るべきだろう。