労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

わが友、『日本経済新聞』氏へ

2006-07-21 01:59:48 | Weblog

 今日の日経新聞の一面を見て驚いた。何と、あの日経が昭和天皇の発言を載せているではないか。もちろん内容は昭和天皇が靖国神社に参拝しなかったのはA級戦犯が祭られているからであるという昔から言われていたことで、あまり目新しい発言ではない。  

  こういう昔から言い古されてきた話を蒸し返さなければならないほど現在の良心的ブルジョア諸氏の苦境のほどがしのばれるのだが、残念ながら時すでに遅しであり、昭和ははるか彼方である。  

 そもそもがだ、わが友、『日本経済新聞』氏は、われわれが現在の排外主義的民族主義者のことをわざわざ「バカ右翼」と「バカ」をつけて呼んでいるのかまるで分かっていない。これは修辞ではなく、言葉の本当の意味でそうなのだ。  

  わが友、『日本経済新聞』氏は、彼らのうち、「大御心」を「おおみこころ」と読める人間が果たして何人いると思っているのか、そしてその意味を正しく理解できる人間が果たして何人いると思っているのか。  

  はっきりいってゼロだ。彼らは「昭和時代」の排外主義的民族主義者ではなく、21世紀のそれなのだから、「大御心が発せられたのである」などといわれても、「あの人はあの人、自分は自分、だから関係ない」(小泉純一郎の言)などと平気で言えるのである。  

  基本的に彼らは戦後民主主義の中で生まれ育ってきた“鬼っ子”で、民主主義の爛熟と退廃の産物であり、その否定物でしかない。彼らはブルジョア民主主義に社会の分裂のみを見て、自分たちの心のよりどころを日本国家に求めているのだが、その日本国家というのは、現実の日本国ではなく、自分の観念の中にある日本国家なのであって、自分の都合のいいように観念化された日本国家でしかない。その観念の中でのみ、日本は「強く、正しく、美しい」国であるのだが、現実はそれとは正反対で、あまり強くもなければ、正しくもないし、美しくもない。だから現実そのものが彼らの自尊心をひどく傷つけるのであって、傷つけられた自尊心はますます狭隘な排外主義と民族主義に転化していく。  

  その彼らがもうすぐ政権を手に入れる。われわれは強制収容所で餓死する決意ができているが、わが友、『日本経済新聞』氏はどうなのか?今問われていることはそういうことであろう。


日本は乱気流の中へ

2006-07-17 04:16:29 | Weblog
 1 時にはカサンドラのように
 
 われわれは予言者ではないからトロイア戦争の到来とトロイアの滅亡を予言し、誰もその予言を信じなかったがゆえに悲劇的な最期を遂げた女王カサンドラのようなことはやらない。
 
 しかし差し迫る危機について、その結果がどうあろうと労働者に語る責務はわれわれには確かにあるのである。
 
 「今後1年間、日本に何事もなければ、日本は日本のままであり続けることができるであろう。しかし、そうでなければ日本と世界はこれまでとは違ったものとなるであろう。」
 
 これがわれわれの予言である。
 
 2 予測は必ずしも予測通りには行かない
 
 もっとくわしく述べよう。
 
 現在の日本の政治過程はそれほど難しくはない。小泉内閣は9月で退陣し、自民党の総裁選挙で総裁に選ばれた人物が首相になる。首相候補としては安倍晋三がもっとも有力である。
 
 そして来年、07年の7月には参議院選挙が行われて、この選挙では自民党が単独過半数を割り込み、次期内閣は衆議院で多数派、参議院で少数派というねじれ現象が起こる可能性が高い、そして政界は混乱の中で衆議院の総選挙が行われて、自民党は参議院でも少数派、衆議院でも少数派となり、自民党政治は終焉を迎え、小沢民主党内閣が誕生する。
 
 これが、大方の政界ウオッチャーの見解である。
 
 では、この通りに行くかというと必ずしもそのように進むとは考えにくい。
 
 というのは、このような予測が存在するのであれば、そのような予測に反して、それに逆らうような運動もまた生まれてくるからである。
 
 例えば、1933年にドイツで保守派とナチス党の連立内閣が成立してヒトラーが首相に就任したとき、誰もがヒトラー内閣の短命を予想していた。資本家の党である保守党は台頭するドイツ共産党と社会民主党に対抗するためにヒトラーのナチス党を利用しようとしただけであり、用が済めばヒトラー政権は本格的な保守派政権と入れ替わるものと考えられていた。
 
 しかし、そうはならなかった。ヒトラーが政権につくとすぐに国会議事堂炎上事件が起こり、ヒトラーはこの事件を契機に共産党を非合法化して大弾圧に乗り出し、全権委任法を制定して、ゲシュタポ(秘密警察)の恐怖支配が始まり、ドイツでは民主主義そのものが死滅してしまったからである。
 
 また、1851年にはルイ・ナポレオン大統領が提出した、大統領の任期4年制と重任を禁止する規定を削除する憲法改正案を議会が否定したとき、誰もがルイ・ナポレオンの支配はもうすぐ終わると考えたが、そうはならなかった。ルイ・ナポレオンはクーデターに訴え、国民議会を解散してしまったからである。
 
 野心のある人間にとって、自分に不利な予測はどんな手段を使ってもひっくり返すしかないし、そのような策動を行ってきた。
 
 3 日本にはクーデターは起きない
 
 もちろん、議会制民主主義が根付いている日本ではヒトラーやルイ・ナポレオンのような強権的な議会制民主主義の圧殺はないであろう。
 
 しかし、今度、誕生するかもしれない安倍晋三政権は「打倒、中国、韓国、北朝鮮、台湾」を掲げる民族主義政権である。だから、この4ヶ国のうちどこか一国と何かの事件が起これば、日本国憲法があるなしにかかわらず、日本対中・朝・韓・台という深刻な地域対立に発展し、日本は準戦時国へと移行していく可能性がある。そしてこのような排外主義的、民族主義的な集団ヒステリー状態と緊張下で行われる参議院選挙は当然、自民党の敗北とはならない可能性がある。
 
 もちろん、北東アジアのどの国も戦争を望んでいる国はない。しかし、外交とは自国の利益を守って戦うことであり、日本以外の北東アジアの国は日本の権益を侵害しようとしているからこれと対抗しなければならないとしか考えることができない政権が日本に誕生すれば、日本と中・朝・韓・台との関係は必然的に悪化し、これらのどの国と何が起こっても不思議ではない情況が生まれるだろう。
 
 中・朝・韓・台の民族主義の台頭が日本の民族主義を刺激しているのか、日本の民族主義の台頭が中・朝・韓・台の民族主義を刺激しているのかということは、卵が先か鶏が先かという議論でしかない。民族主義がブルジョア的なものである以上、これらの国の資本主義的な発展と成熟が偏狭な民族主義の源泉であることには変わりがないからである。
 
 かつては北東アジアでは日本資本主義のみが卓抜した工業生産力を持っており、この地域は日本資本主義の影響下で各国が資本主義を発展させてきたが、その各国が資本主義的発展を遂げるにつれて、しだいに自立を強め、経済的に自立するにしたがって、民族主義的な傾向を深めており、日本資本主義は、かつての弟分が、今では、兄貴であり、教師であった自分の言うことをさっぱり聞かなくなったことに焦燥感を強めているのである。
 
 ここで注意しなければならないのは、日本はこの「打倒、中・朝・韓・台」の闘いの同盟者としてアメリカを想定していることである。しかし、アメリカはおそらくこの地域対立では、中立者、傍観者もしくは日本の敵対者となるであろう。
 
 理由は簡単だ。なぜならアメリカにとって日本は「踏まれてもついていく下駄の雪」のような国でしかないからだ。だから、北東アジアに対立があって、どちらかが譲歩しなければならないとしたら、誰が譲歩するかは、アメリカにとっては、はじめから明らかなのである。
 
 だから自分たちにはアメリカがついているから少しぐらい強硬な姿勢をとっても大丈夫だろうとタカをくくっていると、日本はいつの間にか、再び“世界の孤児”になっていたということもありうるわけである。
 
 そういう点では、今の日本は1931年の満州事変当時の情況に非常に似てきている。
 
 4 何もしなくとも危機はやってくる
 
 もちろんこれらのことは単なる推測であり、現実はこのように進むとは限らない、何もなく07年の7月を迎えることも可能である。
 
 しかし、それでも大きな懸念材料は残っている。それは現在の世界経済の変調である。
 
 世界的にインフレ懸念が言われているが、実はインフレはそれほど大きな脅威ではない。世界資本主義は長年の経験からインフレを終息させる方法をすでに知っているのである。
 
 インフレの進行は再生産過程を攪乱するために、やはり世界各国は金利を上げて景気を引き締めざるをえない。問題はその先である。信用が膨張し、景気が過熱しているときそこにはすでに過剰生産力が形成されているのである。そしてインフレを終息させるために金利を上げ、信用の膨張にストップをかけると当然この過剰生産力が露呈することになる。
 
 人も設備も資本も商品も過剰であることが明るみに出るとき、そこには潜在的な恐慌の可能性が存在する。管理通貨時代以前ならここで世界恐慌となって爆発したであろうが、現在では必ずしもそのようにはならない。
 
 では永遠にそうならないのかというと、資本主義が資本主義である以上、過剰生産力が恐慌となって爆発する可能性は否定できない。
 
 特に、現在はアメリカと中国に大きな過剰生産力が形成されている。なかでも中国の過剰生産力は世界資本主義にとって規模が大きいだけに相当深刻な問題である。これを放置すれば過剰生産力→過剰商品→過剰輸出というように、中国が過剰生産圧力から逃れるために安価な商品を世界市場に向けて大量に放出すれば、世界資本主義は大混乱に陥る可能性があり、アメリカの景気後退による消費の収縮と相まって世界恐慌もないとは断言できない状態になっている。
 
 加熱している中国経済をソフトランディングさせるためには、先輩であり、何度も“構造不況”を乗り越えてきた日本資本主義の助言、アドバイス、支援、援助は欠かせないのだが、保守反動の日本政府が中国の苦境を救うために何かをするということを考えるのは、およそ無意味であろう。
 
 したがってこの場合もやはり、中国経済に何かが起これば自由落下状態となり、それを引き金にして中国の経済危機が世界に拡散することになるかもしれない。
 
 どちらにせよ、日本資本主義はいやな空域に突入しようとしており、乱気流による突然の急降下、急上昇に対する警戒が必要な1年間であるということだけは警告申し上げたい。
 
           

金正日と安倍晋三の冒険主義

2006-07-14 01:40:56 | Weblog
1 気分はもう戦争?
 
 北朝鮮のミサイル発射以来、日本国内ではまるで戦争前夜のような発言が相継いでいる。
 
 「たとえ日本にミサイルが発射され、日本人に死傷者が出たとしても、闘う朝鮮人民に連帯する」云々。
 
 「ミサイル発射を防止する先制攻撃も認められるべきだ」云々。
 
 皆さん、いったい何を考えているのだか?別に、日本と北朝鮮は開戦前夜にあるわけではないのだ。このことはきちんと理解しなければならない。
 
 実際に起こったことは、北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験をしないという約束を反故にして、無警告で弾道ミサイルを7発も発射して、沿海州の公海を航行している航空機と船舶に危険をもたらしたということであり、それ以上ではない。
 
 北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射したり、日本の領土・領海内に着弾させたという事実はない。北朝鮮政府はミサイルで日本を攻撃するという恫喝もしていないし、そのような示唆もしていない。
 
 現在の日本の状況は明らかに過剰反応であり、一種の集団ヒステリーが日本を覆っている。
 
2 北朝鮮はアメリカと交渉をしたがっている
 
 北朝鮮政府が今回ミサイル発射に踏み切ったのは、アメリカを二国間協議に引き込むためであり、北朝鮮政府はアメリカと二国間協議を欲しているのである。
 
 彼らは自分たちを放置しておくと大変なことになるというメッセージをアメリカに送りたかったのである。
 
 このメッセージがアメリカに伝わらなければ、ほどなく彼らは地下核実験という最後のカードを切らなければならないことになる。しかしそれは二国間協議を永久に開催不可能とするであろう。
 
3 北朝鮮政府は、なぜアメリカと交渉をしたいのか?
 
 これほどまでにして北朝鮮政府がアメリカとの交渉を望むのは、二国間協議によって、核兵器とミサイルの開発を放棄する代わりに、アメリカから金王朝体制存続の保証と経済封鎖の解除と経済援助を引き出すためである。
 
 金王朝というのは金正日はすでに金正哲に権力の委譲を考えており、金正日から金正哲への権力委譲がスムーズに行われるような、アメリカが金正哲政権を承認するような、保証を取り付けたいと思っているからである。
 
4 北朝鮮政府は不可能なことを望んでいる
 
 しかしこれらの試みがうまくいく見込みはまったくない。
 
 なぜなら、第1に北朝鮮政府はすでに歴史的な命脈が尽きているからである。
 
 かつては「自主独立」の国として、ソ連と中国のバランスをとりながら、その両方から経済援助を取り付けてきた北朝鮮であったが、90年にソ連が崩壊し、中国が資本主義化するなかで、90年代には北朝鮮の経済は深刻な打撃を受け、食糧難から子供たちの餓死者まで出した。
 
 ユニセフの会合で北朝鮮政府が発表した統計によると、1993年から1999年に国民の平均寿命は73.2才から66.8才に下がり、5才未満の幼児の死亡率は1000人あたり27から48に新生児の死亡率は14.0から22.5に上昇した。国民一人あたりの国民総生産は年額991ドルから457ドルに低下した。
 
 つまり、国民総生産はほぼ半額となり、食糧不足が蔓延しているのである。この状態は少しずつ改善されているが、経済の急激な落ち込みからの回復のめどは立っていない。
 
 生産設備の老朽化、エネルギー、原資財、外貨の不足が北朝鮮経済を発展の足を引っ張っており、そのどれもが現北朝鮮政府には解決できない問題である。つまり、現在の北朝鮮政府はすでに統治能力を喪失し始めているのである。
 
 したがって北朝鮮にはいたるところで稼働できない工場が巨大な廃墟となっており、産業のインフラが破壊されたままになっているのである。
 
 北朝鮮政府が自立的な経済運営をする能力がないことが明らかになるにつれて、北朝鮮政府は韓国と中国に援助を求めざるをえなくなっているが、実は、韓国も中国も北朝鮮経済を支えきることができないでいる。
 
 そこで金正日政権はアメリカと日本に援助を求めたいと考えているのであるが、日本は核問題と拉致問題が解決されないかぎり援助をすることができない。北朝鮮政府が戦後数十人、または数百人の日本人を日本国内やヨーロッパから拉致したことはすでに明白であり、主権国家として自国民を誘拐奪取されてそのままにするということは、いくら日本人が寛容であるからといって政府として容認はできないであろう。
 
 しかし、北朝鮮政府は拉致問題を解決することはできない。拉致問題を解決するということは、これまで北朝鮮が行ってきたすべての犯罪行為を明るみに出すことになるのだが、そんなことをすれば日本の世論は沸騰して、北朝鮮政府への悪感情をつのらせ、それこそ国交断絶にならざるをえない。(つい最近まで、日本は北朝鮮政府の“仮想敵国”であり、北朝鮮政府は“仮想敵国”に対しては何をやってもいいという態度をとってきた。そしてこの“何をやっても”という中には、覚醒剤の密売とか、拉致監禁とか、殺人とか、ありとあらゆる卑劣な犯罪行為が含まれている。こういうことを精算するということは金正日政権の支配を精算することであり、政権の交代なくしてなしえない。)
 
 これに対して、アメリカには若干の温度差がある。アメリカは北朝鮮政府の非合法活動の舞台とはなっていないので、それほど直接的な被害はない。せいぜい北朝鮮がニセドル紙幣を製造しそれを世界各地にばらまいたことぐらいである。だから、アメリカは北朝鮮政府が、核兵器とミサイルの開発を放棄し、ニセドル紙幣の密造をしないと約束すれば、北朝鮮が国際社会に復帰することを黙認するかも知れない。
 
 ただアメリカが恐れているのは、二国間協議に応じることで、核もミサイルも全部放棄する、何でもいうことを聞くから、金王朝の北朝鮮支配を認めて経済援助をしてくれと北朝鮮政府に、にじり寄られることである。そのような約束はアメリカはできない、なぜなら自分たちが“ならず者国家”と呼んでいる政権を経済的に支え、金正日から金正哲への権力世襲に保証を与えることなどできるはずもないことである。
 
 だから、アメリカは北朝鮮問題ではつねに一歩引いて、傍観者の立場をとりたがっている。
 
5 安倍晋三の冒険主義
 
 日本の政府代表者は小泉純一郎のはずだが、どういうわけか、この問題では最初から安倍晋三が全面に躍り出ている。
 
 日本は国連の安保理に北朝鮮の制裁決議を持ちだして、それを採択させようと画策している。アメリカの国連大使はあの“嫌われ者”のボルトンなので、国連ではアメリカと共同歩調をとって制裁決議を採択させるはずであったが、土壇場になってボルトンの意向は必ずしもアメリカ政府の意向を反映したものではないことが明らかになった。
 
 アメリカは安倍晋三の冒険主義に危うさを感じたのである。
 
 安倍晋三によれば、経済制裁は、「対話と圧力」の「圧力」の部分なのだそうだが、忘れてはならないのは、経済制裁には戦争の前段階という側面もあるということである。経済制裁という扉を開ければ、その向こうにあるのは開戦という扉なのである。
 
 これは戦前の日米関係を見れば明らかであろう、アメリカの対日経済制裁が日本を開戦に追い込んでいったということぐらいはバカ右翼でも知っていることである。
 
 はたして、日本政府の何人が北朝鮮と現実に戦争をやる決意ができているのであろうか。一人もいないというのであれば、無責任にもほどがある。
 
 国連を通じて、北朝鮮を経済制裁によってしめあげ日本は一体何をしようというのであろうか?もし制裁によって北朝鮮が参りましたなどと言うと考えているとしたらそれは大きな間違いであろう。過去において経済制裁が奏功した例はあまりない、それよりも経済制裁が戦争の前奏曲であった例の方がはるかに多いのである。
 
 アメリカが90年代後半に国連を舞台にイラクのフセイン政権をいろいろな制裁決議で追いつめていったのは、当然、現実にイラクに対するアメリカの戦争計画があり、その戦争に向けての準備が行われており、その戦争準備の一環としてであった。
 
 安倍晋三は、北朝鮮を国連決議で経済制裁に追い込み、戦争へと駆りたてようとしたのだが、その場合、想定している戦争当事国は日本と北朝鮮ではなく、アメリカと北朝鮮なのである。
 
 アメリカは、今回のミサイル騒動で安倍晋三が、ボルトンという愚か者を使って、アメリカが望みもしない戦争へとアメリカを駆りたてようとしたと言うことを軽くは見ていない。それは、イギリス、フランスも同様である。
 
 ましてや中国、ロシア、韓国は安倍晋三に非常に危険なものを感じている。
 
6 安倍政権の誕生は世界の不安定要因となる
 
 要するに、安倍晋三は国際政治の舞台への登場に完全に失敗したのである。
 
 ところが、国内政治では安倍晋三政権の誕生はかなり確率が高いものと見られている。
 
労働者はそもそも自民党政治そのものに反対なのだから、だれが総理総裁になっても関係はないのだが、それでもこの時期に極端な冒険主義者が政権を担当するのは、世界にとって大きな不幸となるかもしれないということは指摘しないわけにはいかない。        

北朝鮮のミサイル発射

2006-07-07 22:07:01 | Weblog

 北朝鮮の金正日政権がミサイルの発射実験を行った。本当はワールドカップのドイツ・イタリア戦を楽しみにしていたが、朝起きてみると、テポドンがどうのこうのという話ばかりである。  

  この北朝鮮のミサイル発射は日本の反動派のブルジョア的民族主義をいたく刺激し、東アジは本格的な民族国家間の対立の場となりつつある。  

  たとえそれが拉致監禁、ニセ札作り、覚醒剤の密造と密売、旅客機爆破等々のありとあらゆる犯罪行為に手を染めている犯罪者国家、労働者を搾取し抑圧し収奪し、反対するものに強制収容所での餓死を強要する非情な労働者弾圧国家、政治生活のすべてがウソとペテンで塗り固められている偽善的独裁国家、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国というこの国家の名称は、いかなる「民主主義」とも、「人民」とも、「共和国」とも無縁であるこの国家に対して使われるべきではない)であったとしても問題は単に北朝鮮だけの問題ではすまない。  

  現に、今回の北朝鮮の愚行は日本にも反射して、日本の保守反動派は勢いづいている。彼らは「報復」、「制裁」を呼号して日本の軍国主義をさらに促進しようと画策を始めている。  

  そして中国資本主義をも引き込んで東アジア一帯を排外主義的な民族主義によって引き裂かれた地域に変えつつある。  

  90年代以降の世界経済の中心は東アジアであり、中国を中心とする東アジアの高い経済成長が世界経済をここまで牽引してきた、そのエンジンが空中分解しそうである。(この成長エンジンが何らかの理由で止まってしまえば、世界は地獄を見なければならないことを人々はまだ知らない)  

  ここまで金正日が考えていたとしたら、立派といわれようが、実際には、金正日政権は自分たちのいうことを聞かなければ、悪いことをするぞ、とダダをこねているだけである。しかし、悪いことをしたって日本やアメリカは平気だし、むしろ北朝鮮に悪いことをしてもらった方が、安倍晋三にしても、ブッシュにしてもありがたいのである。なぜなら、彼らは東アジアの緊張が高まれば、高まるほど自分たちの保守反動政治が高く売れることをよく知っているからである。  

  だから今回の北朝鮮のミサイル発射は、安倍晋三保守反動政権の“前祝いの祝砲”のようなものであり、やがて日・中・韓・朝・台に排外主義的民族主義政権が出そろうことになるであろう。これも一つの歴史的必然なのかも知れない。      


帝国の落日

2006-07-04 12:19:47 | Weblog

 別にヒマをもてあましているわけではないが、現在サッカーのワールドカップをやっているので、深夜にサッカーの試合をよく見る。  

  日本の初戦、対オーストラリア戦は完全な戦略負け、次のクロアチア戦は力量不足、最後の対ブラジル戦はその両方が出た。  

 人は叩かれて身の程を知る。われわれの世代は、機動隊に警棒で頭を叩かれて身の丈のほどを思いっきり教えてもらった世代だから、ケンカ一般のやり方はよく知っている。  

 そういう点では、日本のサッカーはこれからというところだろうと思っていたら、次は日本サッカーの主力選手の突然の引退劇である。  

  その引退表明は感傷的で饒舌(じょうぜつ)である。読んでいてこの人は何か大きな勘違いをしているのではないかと思ったが、もっとよく考えるとこれはこの世代に特有なものであるということに気がついた。  

  最近、経済犯罪で摘発された堀江某にしろ、村上某にしろ、最近この世代の“挫折”が何かと話題になっている。この名前だけは有名なサッカー選手もこれからハーバード大学でM何とかという資格を取って、実業界に転身するというのであるから、根っこには彼らと同じようなものがあるのであろう。  

  基本的には、彼らは何も分かってはいないのである。これまで彼らがその実力とは別のところでチヤホヤされていたのは、日本資本主義がそれを望んだからである。90年代にバブル経済の破綻によって深刻な経済危機に陥った時、日本の総資本は若い力を自分たちのもとに組み入れることによって社会を活性化しようと試みた。  

  しかしこれら日本の若きリーダーたちは、自分たちに社会の脚光があてられたことに舞い上がってしまい、自分が何か特別の人間であるかのような錯覚に陥り、尊大となり、我を忘れた。(大変失礼な話であるが、この有名選手も実はサッカーがそれほどうまいわけではない。客観的にいえば、世界レベルで見て、二流でしかない。)  

  そして、小さな岩があるだけでそれにつまずいて、起きあがれない、つまり、再起不能であるというのである。はっきりいって、こんな無力で軟弱な世代にできることは何もないであろう。しかし、老害のかたまりとなった日本の既成社会はこんなダメ世代でも頼りにしなければならないというのであるから、日本資本主義の先は見えているとしかいえないであろう。