わが国のブルジョア諸氏は、お行儀がいいから間違っても、「恐れながら、お代官さま」などと、現在の世界秩序であるアメリカの軍事的な優越性にさからったりはしないはずであった。というのは、このアメリカの圧倒的ともいえる軍事的な優越性を基礎とした「世界システム」からもっとも利益をえているのはほかならない日本であるからである。
ところが、アメリカの大統領であるブッシュ氏が第三次世界大戦に言及し始めた頃から、「恐れながら、オスマン・トルコ帝国時代のアルメニア人迫害を今ごろアメリカ議会で非難決議するのはいかがなものでしょうか」とか言い出している。
もっとも、今日(10月29日)の社説では、イラン政府に対して「アメリカ様にさからったら、ただじゃすまないのだから、考え直しなさい」と忠実な子分の役割をかって出て、イランに忍従を説いている。
そして、「向こう数ヶ月が重要な節目である」とももらしている。
しかし、「重要な節目」はすでに通過しており、アメリカはあることを決意しており、その決意を遂行するために諸事は動き始めているのではないのだろうか?
その「あること」というのは、もちろん、ブッシュ氏が言うところの「第三次世界大戦」であり、具体的にはイランに対する戦争である。ブッシュ氏がイランに対する戦争が単にイランに対するのみならず、トルコからパキスタン(ひよっとするとスーダンとインドネシアを含むかも知れない)にいたるまでの広汎なイスラム圏の不安定化と混乱をもたらすかも知れないという危惧を持っているのは、まったく正しい判断といえるが、アメリカのブッシュ氏はそのような政治的な危険性を持った戦争挑発行為であるにもかかわらず、あえてやるというのだから、さすがの日本のブルジョア諸氏も二の足を踏んでいるのである。
このブッシュ氏の決断の背景にあるのは中東の“ベトナム化”である。イラクにおいても、アフガニスタンにおいても、レバノンにおいても、パレスチナにおいても、アメリカの戦略はすでに完全に行き詰まっており出口が見いだせない情況に陥っている。
このようにアメリカの軍事的な介入が成功しないのは、中東各地に強固な反米武装組織が形成されているからで、その武装組織に武器を供給しているのがイランであるとするなら、アメリカが諸戦争に勝利して退却するためには、イランをたたくしかないということになる。
これはベトナム戦争の末期に、「ホーチミンルート」に打撃を与えるという名目で、カンボジア・ラオスをつぎつぎに戦争に巻き込みベトナム戦争をインドシナ戦争に拡大することによって、ベトナムでの敗北を先延ばしにしようとしたことと同じであり、アメリカは今回、イラク、アフガニスタン、レバノン、パレスチナの戦争をイランとの戦争に転化することで各地における決定的な敗北を引き延ばそうとしているのである。
アメリカが想定しているのは、おそらく、イランの主要な軍事施設や原子力開発施設を攻撃するという限定的な、軍事戦略であろうが、はたしてそういうことに収まるのであろうか?まさにそれが問題なのである。
アメリカとイランは“ホメイニ革命”以来相互に憎み合い、イラ・イラ戦争(イラン・イラク戦争)時も、アメリカはイラクのフセインの支援をしながらも、イランとの直接的な交戦を避けてきた。だからこそ、世界の征服者たらんとするミスター・ブッシュはここで歴史に名前を残すために、あえてイランとの戦争に乗り出そうというのだが、歴代のアメリカの大統領がなぜイランとの直接的な交戦を避けてきたのか考えてみる必要がありそうだ。
そして、それ以上に問題なのは、最近の中近東諸国は政治的に非常に不安定になりつつあり、このアメリカの対イラン戦争は、もしそれが実行されれば、この地域全体を巻き込むような争乱にもなりかねないものがある。
だから、われわれのブログはしばらくの間、日本を離れて、中近東巡りをする必要がありそうだ。(賢明な日本のブルジョア諸氏は分かっていると思うが、アメリカの対イラン征服戦争が、もしそれが本当に敢行され、短期間に終わらなければ、すなわち、アメリカが短期間にイランを屈服させることができなければ、必ずホルムズ海峡は封鎖される。そうなったら、日本資本主義のみならず世界資本主義はおしまいだ。われわれ人類はそういう海域に進みつつある。)
ところが、アメリカの大統領であるブッシュ氏が第三次世界大戦に言及し始めた頃から、「恐れながら、オスマン・トルコ帝国時代のアルメニア人迫害を今ごろアメリカ議会で非難決議するのはいかがなものでしょうか」とか言い出している。
もっとも、今日(10月29日)の社説では、イラン政府に対して「アメリカ様にさからったら、ただじゃすまないのだから、考え直しなさい」と忠実な子分の役割をかって出て、イランに忍従を説いている。
そして、「向こう数ヶ月が重要な節目である」とももらしている。
しかし、「重要な節目」はすでに通過しており、アメリカはあることを決意しており、その決意を遂行するために諸事は動き始めているのではないのだろうか?
その「あること」というのは、もちろん、ブッシュ氏が言うところの「第三次世界大戦」であり、具体的にはイランに対する戦争である。ブッシュ氏がイランに対する戦争が単にイランに対するのみならず、トルコからパキスタン(ひよっとするとスーダンとインドネシアを含むかも知れない)にいたるまでの広汎なイスラム圏の不安定化と混乱をもたらすかも知れないという危惧を持っているのは、まったく正しい判断といえるが、アメリカのブッシュ氏はそのような政治的な危険性を持った戦争挑発行為であるにもかかわらず、あえてやるというのだから、さすがの日本のブルジョア諸氏も二の足を踏んでいるのである。
このブッシュ氏の決断の背景にあるのは中東の“ベトナム化”である。イラクにおいても、アフガニスタンにおいても、レバノンにおいても、パレスチナにおいても、アメリカの戦略はすでに完全に行き詰まっており出口が見いだせない情況に陥っている。
このようにアメリカの軍事的な介入が成功しないのは、中東各地に強固な反米武装組織が形成されているからで、その武装組織に武器を供給しているのがイランであるとするなら、アメリカが諸戦争に勝利して退却するためには、イランをたたくしかないということになる。
これはベトナム戦争の末期に、「ホーチミンルート」に打撃を与えるという名目で、カンボジア・ラオスをつぎつぎに戦争に巻き込みベトナム戦争をインドシナ戦争に拡大することによって、ベトナムでの敗北を先延ばしにしようとしたことと同じであり、アメリカは今回、イラク、アフガニスタン、レバノン、パレスチナの戦争をイランとの戦争に転化することで各地における決定的な敗北を引き延ばそうとしているのである。
アメリカが想定しているのは、おそらく、イランの主要な軍事施設や原子力開発施設を攻撃するという限定的な、軍事戦略であろうが、はたしてそういうことに収まるのであろうか?まさにそれが問題なのである。
アメリカとイランは“ホメイニ革命”以来相互に憎み合い、イラ・イラ戦争(イラン・イラク戦争)時も、アメリカはイラクのフセインの支援をしながらも、イランとの直接的な交戦を避けてきた。だからこそ、世界の征服者たらんとするミスター・ブッシュはここで歴史に名前を残すために、あえてイランとの戦争に乗り出そうというのだが、歴代のアメリカの大統領がなぜイランとの直接的な交戦を避けてきたのか考えてみる必要がありそうだ。
そして、それ以上に問題なのは、最近の中近東諸国は政治的に非常に不安定になりつつあり、このアメリカの対イラン戦争は、もしそれが実行されれば、この地域全体を巻き込むような争乱にもなりかねないものがある。
だから、われわれのブログはしばらくの間、日本を離れて、中近東巡りをする必要がありそうだ。(賢明な日本のブルジョア諸氏は分かっていると思うが、アメリカの対イラン征服戦争が、もしそれが本当に敢行され、短期間に終わらなければ、すなわち、アメリカが短期間にイランを屈服させることができなければ、必ずホルムズ海峡は封鎖される。そうなったら、日本資本主義のみならず世界資本主義はおしまいだ。われわれ人類はそういう海域に進みつつある。)