亡命、不可能に

　あの名古屋市長の下で、名古屋市民をやっている我慢強さをもっと評価してほしいのだが、実を言うとわが家は名古屋市の外れで、数十メートル離れるとそこは大治町で、そこは空気さえ自由な気がした。

　ところがだ、今度の町長選挙で「みんなの党」の岩本が町長になってしまったので、今や、大治町の自由は風前の灯火だ。

　当選した岩本はさっそく河村市長を訪問して名古屋市との合併をお願いしている。

　みんなの党の渡辺と名古屋の河村と大阪の橋下と「在特会」がどういう関係があるのか分からないが、今回の選挙を見ると悪党どもは何らかの地下茎で相互につながっているような気がする。

　ところで今回、岩本が勝利したのは、岩本が名古屋市への合併を掲げ、他の候補が海部東部四町の合併を掲げたからで、河村名古屋市長が岩本を応援することで、名古屋市との合併を望む大治町民にとって、希望が現実になるかもしれないという期待を抱かせたからだ。

　名古屋市と合併すれば、中村公園から地下鉄が延長されて大治町まで来る（これは大ウソ）、名古屋市が大治町の借金６００億円を肩代わりしてくれる（これもまゆつば）等々の夢のような計画が語られて、無名の岩本は町長に当選した。

　しかし、大治町と名古屋市の合併はあったとしても大治町の植民地化というかたちでしか行われないだろう。

　そして、これも不思議な話なのだが、ここでも河村が狙っているのは、「水」だ。

　大治町には名古屋市水道局の大治浄水場があり、名古屋市の西部一帯に水を供給している。要するに、大治浄水場は満鉄のようなもので、名古屋市外にある名古屋市の“特殊権益”であり、これを排他的に独占するために、河村名古屋市長は大治町を侵略して植民地化しようというのである。

　本当に悪党は悪いことしか考えない。