新新☆もこほじゃほろみ日記

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世の終わりのための四重奏曲

2009-03-07 | 芸術
このところ唯識とメシアンの間を行ったり来たりしている。

「オルガン作品全集」を一通り聴いて感銘を受けた勢いで、今度は「世の終わりのための四重奏曲」を10年ぶり?ぐらいで引っ張り出して聴いている。

この曲の解説を読むとメシアンとカトリックの不可分な関係がよくわかる。
タイトルの「世の終わり」とは「ヨハネ黙示録」第10章で「御使いが第七のラッパを吹き鳴らすと神の奥義が成就する」ことを意味する。「その音楽語法は本質的に非物質的、精神的、カトリック的」と作曲者自身が述べている。

1940年6月、第2次大戦中にドイツ軍に捕らえられ、ドイツ東部ザクセンの俘虜収容所に送られたフランス兵メシアンは、収容先でヴァイオリニストのジャン・ル・ブーレール、クラリネット奏者のアンリ・アコカと出会う。さらにチェリストのエティエンヌ・パスキエが弦の一本切れたチェロを調達して仲間に加わり、メシアン自身がおんぼろのピアノを弾き、1941年1月極寒の収容所中庭で捕虜たちの前でこの曲は初演されたという。

するってぇと、ドイツ軍は彼らに音楽をする自由を与えていたわけである。ナチス・ドイツの軍人というと映画「戦場のピアニスト」で描かれているように、人の命を虫けらほどにも思わぬような残虐非道の連中ばかりだったかというと、そうでもなかったのだろうか。そういえば「戦場のピアニスト」にも主人公を助ける音楽好きのドイツ軍将校が出てくるが。

全体は8つの楽章からなるが、それらにまことにカトリック的なタイトルがつけられている。

1.水晶の典礼
2.世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ
3.鳥たちの深淵
4.間奏曲
5.イエスの永遠なることへの頌歌
6.7つのラッパのための狂乱の踊り
7.世の終わりを告げる天使のための虹の迷彩
8.イエスの不滅なることへの頌歌

私の聴いたCD
ルーベン・ヨルダノフ(ヴァイオリン)、アルベール・テタール(チェロ)、クロード・デスルモン(クラリネット)、ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
録音監修:オリヴィエ・メシアン 1978年4月パリで録音 ドイツ・グラモフォン

感想を簡単に言うと、オルガン曲でも聞き覚えのあるメシアンらしい音楽語法が見られ、「知らぬうちに不可能性の魅力」にとらわれ、「神学的虹」に到達する。ってこれ(「」内)メシアンの言葉そのまんまじゃない!(笑)