しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密」  トマス・H・クック

2020年04月16日 | 読書
「ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密」  トマス・H・クック  ハヤカワ・ミステリ   
 The Crime of Julian Wells           駒月雅子・訳

「ジュリアン・ウェルズという真摯な作家がいた。あの日、彼は自殺した―彼はかけがえのない友だった」
犯罪・虐殺を取材し、その本質を抉る作品を発表したジュリアンは、死の直前もロシアの殺人犯に関する資料調査に没頭していたという。
執筆意欲のあった彼がなぜ死を選んだのか?
親友の文芸評論家フィリップは、やがて友の周囲でかつて一人の女性が行方不明になっていたことを知る。
フィリップはジュリアンの妹とともに手掛かりを追うが…。
友情という名のかたちのないものをめぐる、巨匠の異色ミステリ。 
    <裏表紙より>







自殺した友人の、その理由を知ろうとする物語。
謎解きの面白さもあるが、それ以上に気持ちが重い。
物語は丁寧に、そして淡々と進んで行く。
不穏な空気感がありそれが重苦しい。
それは背景にアルゼンチンのやるせない歴史があるから。
知らない事がまだまだたくさんある。
そして、ジュリアンが書いた本の内容も興味深い。
残酷な事件を扱っているが、その加害者や犠牲者の心情に迫る内容。
それは、ジュリアンが自分の行動に対する贖罪なのか弁解なのか。
自殺の原因はやがて分かる。
ずっと悔いて自分を責めたジュリアンの気持ちは、計り知れない。

その原因の時、ジュリアンとフィリップは一緒にアルゼンチンにいたのだが。
フィリップは、その時のことはあまり深く考えていなかったのだろうか。
詳細は知らなくても、同じ風景を見ていたのに。

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