「三時間の導線」 アンデシュ・ルースルンド ハヤカワ・ミステリ文庫 上・下巻
Tre Timmar 清水由貴子 喜多代恵理子・訳
ストックホルム南病院の遺体安置所から遺体が1体多いと連絡が入る。
エーヴェルト・グレーンスが現場に駆け付ける。
身元の分からない男はアフリカ系で死因は窒息死で死後1日ほどたっていた。
その翌日、もう1体、今度は身元不明の女性の遺体が見つかる。
どこから遺体が運び込まれたのか、防犯カメラには何も映っていなかった。
エーヴェルトは、以前取り組んだ事件から、遺体がどこから来るのか探し当て、追跡する。
やがてヴァータハムネン港に辿り着き、放置されたコンテナを発見する。
中には68名の遺体があった。
そして放置された服の山から1台の衛星電話が発見される。
その衛星電話に付いていた指紋は2人。
1人は始めに病院で見つかった男性で、もう1人はピート・ホフマン・コズロウだった。
思いがけない名前に出会い戸惑うエーヴェルト。
ホフマンとは2度と会わないはずだったが、この事件の解決の為、ホフマンに会いに行く。
エーヴェルトとピート・ホフマン。
2度と係る事がないはずだった2人が協力し合う事になる。
協力と言うより、エーヴェルトが警察の権力を振りかざして脅したのだったが。
しかし、任務として動くピートの心境もエーヴェルトと同じになっていくので、協力でも良いかも知れない。
エーヴェルトがピートの2人の息子と心通わせるシーンもある。
息子との付き合い方に戸惑っているピートとは対照的だが、それは側にいてあげられないから。
それを思うと、エーヴェルトの命令で帰国出来なくなったのに、その間にちゃっかり仲良くなっているエーヴェルトはずるいかも知れない。
2人が係わったのは、難民問題でかなり悲惨な様相を呈する。
このシリーズは社会問題が書かれるので、それはいつもと同じことだが。
こんなに人生は不公平なのか。
しかし、無事に着く人々もいるのに、今回はどうしてこんな事になったのだろう。
その辺りの説明はなかったような。
日本は難民を受け入れないので、実際に係る事はなく、馴染みがないのは事実。
みんながもっと深く考えられる社会になると良い。
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