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「王城の護衛者」 司馬遼太郎

2024年06月10日 | 読書
「王城の護衛者」 司馬遼太郎  講談社文庫 

5編からなる短編集

 「王城の護衛者」
会津藩主、松平容保の物語。

「加茂の水」
玉松操。
岩倉具視の謀将。
鳥羽・伏見の戦いで薩摩と長州に錦旗を掲げさせる案を考え、その錦旗を作った人物。

「鬼謀の人」
大村益次郎の物語。

「英雄児」
長岡藩、河井継之助の物語。
北越戦争の抵抗の中核であった。
兵法で強力な武装をするが、それが仇になり、城下を焼いてしまう。

「人斬り以蔵」
土佐藩の武市半平太の下で働いた岡田以蔵。
しかし、武市から認められない事が憎悪となる。





幕末を舞台にした5編。
同じ時代を違う立場から見ているので、あの裏ではこんな事が行われていたのかと立体的に感じられる。
なぜ会津藩はあんなに攻められなければならなかったのかを知る為に、「王城の護衛者」を読む為に手にした。
「王城の護衛者」は松平容保の性格から、なぜそうなっていったかが考察される。
しかし、何故あそこまで壊滅させられたかは、容保の側ではなく、薩摩長州の側にあるようだ。
京都の恨みと、新政府を立ち上げる為に、戦って勝ち取ったという相手が欲しかった。
徳川慶喜が早々に、逃げ出しているのにと思ったが、容保が忠義を尽くす相手は慶喜ではなく、徳川家。個人ではないと言う事。
なにしろ、その慶喜に利用され、捨てられているのだから。
しかも、国許の戦になる前に京都方に嘆願書を送っているのに、無視される。
攻めて来る以上は戦わない訳にはいかないのだ。
政治的な考えがないからと言って、上の命令を実直に守っての果て。
しかし、戦争はどの時代にもそうだが、結局容保は生き残る。
死んで行くのは下の兵士たちなのだ。
大村益次郎が居なければ、彰義隊は江戸で勝ちを収めたのだろうか。
勝たなくても、何か違いがでて、会津まで京都側が攻めこむことはなかったのか。
そして、鳥羽・伏見の戦いで掲げられた錦の旗が贋者だったとは。
会津に同情しながら読むので、その後の官軍と言われる人たちの事は、より胡散臭く思われてしまう。

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