「厳冬之棺」 孫沁文 ハヤカワ・ミステリ文庫
阿井幸作・訳
湖のほとりに建つ陸家の半地下の貯蔵室で、当主陸仁(ルー・レン)の遺体が発見された。
この地下小屋は大雨により数日間水没していたにもかかわらず、その床は乾いており、誰かが外から侵入した形跡はない。
まさに完全な密室状態だった。
そして殺害現場には、なぜか嬰児のへその緒が。
梁良(リャン・リャン)刑事は直ちに捜査を開始するが、それを嘲笑うかのように新たな密室殺人が陸家を襲う・・・・・・。
<文庫本裏カバーより>
探偵役が漫画家の安じぇん(アン・ジェン)で、刑事や他の人たちが全然分からない事をあっさりと解き明かしていく。
安が捜査に参加する事になったのが、自分の原作のアニメの声優に適役の女性、鐘可(ジョン・クゥ)が、この家に下宿していたから。
ああ、現代の物語だなと、しみじみ思ったりして。
その安が飄々として、いい味を出している。
起こる殺人は3つでどれも密室。
密室のトリックはなるほどと思うのもあるが、それは無理だろうと思うのも。
最初のは、水の力はもっと強いだろう、と。
どれほどの粘着力があるものだったら勝るだろう。
探偵役の安は頭が良いが、犯人も頭が良く、かなり考えられた計画で楽しめた。
なぜ殺人に至ったのかの理由も、過去の物語や(呪いに見立てる為の)策略も色々出て来た。
本格推理らしく、謎を1つ1つ検証していくのも丁寧だ。
名前の読みがなかなか覚えられなくて苦労した。
はやり、正しく読んでいきたいと思うから。
フリガナが多めに再掲載されるのだが。
昔の方がもっと良く覚えられた気がするが、これも年を取った証拠かな。
紙に名前と読み仮名を書いて栞代わりにすれば良かったが、旅行先だったので出来なかった。
カバーの見返しに書いてあったのだが、カバーを掛けていたので気が付かなかった。
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