しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ロストボーイ “It”と呼ばれた子 少年期」 デイヴ・ペルザー  

2006年04月22日 | 読書
「“It”と呼ばれた子」の続編で、フォスターチャイルド(里子)として過ごした、12歳から18歳までの話。
保護された後、デイビッドはこのまま「被後見人」になるか、母親の保護下に戻されるかの裁判に出席する。
混乱する気持ちの中で、「あの家には帰りたくない」としっかり発言し、デイビッドの里子での生活が始まる。
しかし、いつかは母親の元に返されるのではないかと怯え、自分が悪かったのではと責める。
反対に解放された喜びではしゃぎ過ぎたり、一般の生活になかなか適応出来ない。
里子と言う事だけで偏見の目を向けられ、虐待されていた時の知恵は一般社会では通用しない事もあった。
里親もずっと同じ家に居られる訳ではなく、転々とする時期もあった。
しかし、自立する事が大切と考えるデイビッドは、早くから働いて、お金を稼ぐ。
なかなか会えない父親の存在を心配し、探し、会いに行くと父は仕事も辞め、酒におぼれていた。
「自分のようになるな」それが、父親の言葉だった。
自分の将来を見詰め、デイビッドはアメリカ空軍に入隊する。


「なぜ?」自分がこんな目にあったのか、デイビッドもその答えを知りたがる。
同時に、自分もそうなる可能性があるのか、悩む。しかし、「なぜ?」は分からない。
この本は、事実を受け止めて、知っていく事が大切な事を教えてくれる。
救い出されたからと言って、それで終わりではない、心の深い傷をどうしたら癒せるのだろう。
揺れ動く心を感じて受け止める事の難しさ、大切さ。
ひたすら相手に寄り添う事しか出来ないのだろうか。
愛情を持ち、ひたすらその愛情を信じる里親に敬意を表したい。
日本はまだまだこういうケアが遅れている。しかし、問題はアメリカに負けないくらいあるだろう。

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