しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「“It(それ)”と呼ばれた子 幼年期」 デイヴ・ペルザー  

2006年04月22日 | 読書
1973年3月5日、デイビッドは母親の虐待から保護される。
そして、過去を振り返る。
この本はアメリカで1995年の出版されている。
ディビッドは4、5歳の頃、突然母親から、「悪い子」と言われお仕置きをされ始める。
それは段々エスカレートする。
暴力をふるわれ、食べ物を与えられず、奴隷のように働かされる。
ガスレンジで腕を焼かれ、アンモニアや漂白剤を飲まさせ、命の危険にさらされる事もある。
かばってくれた父も見ぬ振りをし、姿を消してしまう。
そんな状況の中でデイビッドは食べる為に盗みをし、命を守る為、虐待から身を守る術を考えはじめていく。
母親には負けない、死にはしないと。


この話は当時のディビッドの気持ちでかかれているので、直接話を聞いている気持ちになる。
あとがきで、著者はこの本は、「生きる闘いついての話というだけではない。魂の勝利とそれを讃える話」と。
「どれほど暗く救いのない場面であっても、心はけっして征服されない。体が生き抜く事も大切だが、人間の精神が打ち勝つ方がもっと意味がある」と。

普通には信じられない事が書かれている。しかし、今虐待で命を落とす子ども達のニュースが多く報じられ、今なら信じられる気がするが、まだ、実態が知られていない時なら、信じられない人も多い気がする。
人間として、信じたくないと言う気持ちもあるだろう。
それが、子どもを救いの道から遠ざけていた。
だから、その中でデイビッドが負けまいと頑張っている姿が余計に心に痛い。
なぜ周りの人もっと早く助けてあげないのだろうと苛立ちを感じる。
子どもを虐待するのも大人なら、守るのも大人なのだ。

しかし、母親は何故そんな精神になってしまったのだろ。
虐待をする側の心理も知って、親も救いそして子どもを守っていくことが大切なのだと思う。
難しい事だが。社会のストレスが生み出している病気なのかも知れない。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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読みました (●●●)
2011-10-13 19:07:12
私も「Itと呼ばれた子」読みました。とても感動しました。はじめは軽いキモチで読んでいたけれどだんだん真剣に読み始めました。どんなに虐待が酷い事か、デイビットはどんなキモチなのか・・・
いろいろ考えるようになりました。自分がもしデイビットならどういうふうに考えるか。いろいろ考えました。デイビットは生きることを大切にしていると思うととても感動しました。
虐待に負けないというデイビットの心に打たれました。
涙もでそうになりました。デイビットの母は何を考えているのだろうとも考えました。今も私はこの本をなんども読んでいます。
ほんとに酷くかわいそうです。デイビットの母はありえないことをしたと認めているのでしょうか?
私はこの本を読んで命、生きることは大切と思いました。あと、人間として、生きているうちはこんなことをしないで、正直に人間らしく生きようと思いました。
世界中のみなさまにもっとこの本が広がると嬉しいです。
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この本を読んで欲しい (しましましっぽ)
2011-10-17 23:08:23
コメント、ありがとうございます。
この本をたくさんの人に読んで欲しいと、本当のそう思います。
事実として知り、自分だったらと置き換えて考えたりすることが、きっと役に立つ気がします。
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