本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『ニッポン硬貨の謎』

2006年06月29日 | 
北村薫がエラリー・クイーンのパスティーシュを書いた、
と聞けば読まないわけにはいかない!

図書館で借りた『ニッポン硬貨の謎』、
先に読了した夫の感想は、
「う~ん…。(クイーンが)好きな人にしか、向かないかも」
ということでしたが。
分からなくてもいいや!と開き直ってページをめくる。

日本を舞台にした、クイーンの未発表原稿の翻訳という体裁で、
ちゃんと翻訳権の表示までありました。
(この大人のお遊び感覚、
シャーロック・ホームズのパスティーシュのノリですね

エラリーが来日した時に、実は連続殺人事件に巻き込まれていた、
というお話ですが。
そこに北村薫氏のクイーン論と、
かつて『競作 五十円玉二十枚の謎』で取り上げられていた
ミステリーへの解答がからみ、
趣向を凝らしたマニア好みの一品、となっています。

本作で描かれる日本は、他国人から見た姿を想定して書いた、
ということで、実際とは微妙にズレがあります。
山口雅也の『日本殺人事件』とか、
清水義範の『スシとニンジャ』などを彷彿とさせたり。
刑事が座禅でハリコミって…ないない(笑)。

謎解きのくだりも「そんなばかな…」てな感じですが、
独特の雰囲気は出ていると思います。
(偏った日本の知識を元にトリックを考えた他国人の作品、
という形式なんでしょうね)

クイーン本人の『ニッポン樫鳥の謎』より面白いや…
なんて言ったら、ファンの方に怒られちゃうかな。

でも本当にエラリーが、この国で活躍してたら嬉しいよね。
たとえ舞台がトンデモ日本でもっ。

『ニッポン硬貨の謎』北村薫 東京創元社 2005




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