本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『おちゃめなパッティ』

2006年05月25日 | 

学生寮、というもの。
共同生活が苦手な人間には、全く向きません。
わたしは一年ほど寮生活をしたことがあるのですが、
陰気で打ち解けない神経質な性格なので、
同室者に多大な迷惑をかけ、
己もストレスで押しつぶされそうになりました。

自室でもひとりにはなれない、
適当に暮らせない(また相手のルーズさを受け入れなければならない)、
広く浅い社交性を持たなければならない、
門限や入室制限(男性を招いてはダメ)を守らなければならない、
などなど、それなりに規則や束縛があるので、
無事退寮し一人暮らしを始めた時には、
なんと晴れ晴れとしたこと!

多分、もう少し大人で、もう少し長く寮生活を続けていれば、
得るものがたくさんあったんでしょうね~。
数ある苦労も今では思い出ですが。
あの頃に決して戻りたくはないです(笑)。

 さて、昔読んだ欧米の少女小説には、
女子寮を舞台にしたものが結構ありました。
バーネットの『小公女』も寄宿学校だし。
クーリッジの『すてきなケティの寮生活』もそう。

ブライトンのクレア学院シリーズ(『おちゃめなふたご』等)も、
真夜中のパーティーや、思いがけない友情といった、
いかにも“女の子”らしい、可愛い側面が描かれていました。
しかし改めて考えてみると、
人見知りはなかなか馴染めないとか、いつのまにか派閥ができるとか、
噂話が広がるのは早いとか、
結構シビアなことも書かれているんですよね。
古今東西、人間性と言うものは変わらないらしい。

ウェブスターには『あしながおじさん』の他に、
『おちゃめなパッティ』という女子寮の話があります。
この間、復刊した名訳を図書館で借りてきました。
わたしが以前読んだのは、細部を端折った子供向けの訳だったので、
今回初めて目にする章もあり、新鮮!
20世紀初頭に発表された作品なのに、
色褪せない面白さを持っているんです。
きっとパッティのようなタイプなら、寮生活が楽しいだろうなぁ~。

『おちゃめなパッティ』ジーン・ウェブスター ブッキング 2004
 主人公のパッティは明るく元気溌剌。親友のプリシラやコニーとともに、奇抜な思いつきや、とんでもないいたずらで聖アーシュラ学園に騒動を起こす。

パッティはユーモアがありすぎて、
無邪気ないたずらでは済まされないことをしでかすけれど、
すごくいきいきして悪びれないんですよね。
その辺の度胸の良さ、豪放磊落なところが羨ましい。

でも彼女、パワフルなのはいいけど周囲を巻き込む傾向があるので、
もし同時代に生まれて、よしんば同じ寮だったとしても、
仲良くはなれなかったろうなぁ、と思います。
おそらくお互いに苦手なヒトだと感じることでしょう。
遠くで見ている分には平和なんですけどね!
そう。集団生活は距離が微妙なんです。ほんとに。
これも社会性を養う、いい機会なんでしょうけどね。

相変わらず人間関係が下手なわたしが、
寮で一番学んだことは…お洒落心、かな。
それまで化粧もしたことがなかったし、
人間は中身が勝負だからと本ばかり読んで、
見た目をおろそかにしておりました。
「君子は和して同ぜず」を座右の銘とする、
生意気な小娘だったのです(恥ずかしっ)。

ところが寮に入ったら、
賢い女の子たちが、皆綺麗にしているじゃないですか。
初めて客観的な価値というものを考えたのです。
もうちょっと身なりに気をくばろう、と胸に誓いました。
(お洒落を始めたばかりの数年間は、自分らしさがつかめず
とんちんかんな格好も多かったです。しかし何事も自学自習なのです!)

あと、寮で覚えたことは…恋の話?
四六時中好きな男の子の話をしあう楽しさと言ったら!
おかげで耳年増になりました(笑)。
パッティたちの寮でも、ロマンス話に人気が集まるのですね。
誰それに好きだって言われた、とか。
体験談が始まるとすごい盛り上がるんだけど。
女子寮恒例なのかしら。




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