金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

藤沢周平の世界展を見る

2005年09月19日 | まち歩き

三連休の最後の日(9月19日)に世田谷文学館に「藤沢周平の世界展」を見に行った。

setagayabun005 世田谷文学館http://www.setabun.or.jp/では10月30日まで「藤沢周平の世界展」をやっている。本日は敬老の日で60歳以上の方は無料で入館できるためか結構混んでいた。無料には少し年齢が足りない我々夫婦は一人600円払って入館。

藤沢周平の書斎や蔵書を見ることが出来るが「物をふやさず、むしろ少しずつ減らし、生きている痕跡をだんだんけしながら、やがてふっと消えるように生涯を終えることができたらしあわせだろうと時どき夢想する」(「書斎のことなど」)というだけあり、持ち物や暮らしはシンプルと見うける。

60歳代の藤沢周平の写真を見ると老けた感じとともに一種の透明感が漂っている気がしてくる。藤沢周平のように透明度の高い作品を書いていると人物にまで透明感が出てくるのだろうか?

後10日程で市川染五郎・木村佳乃をメインキャストとする蝉しぐれが上映される。その前にもう一度「蝉しぐれ」を読み返そうと私は考えているところである。

なお世田谷文学館の脇には清流が流れ鯉が泳いでいる。今回は時間がなくて文学館の周りを散策しなかったが、少し散歩してみると気持ちが良いような気がした。

(文学館横の清流)

setagayabun2

ところで昨日「今何故藤沢周平ブームなのか?」というブログ記事を書くと急にアクセスが増えた。どうして増えたのか?と調べてみるとブログ記事の中にある「内野聖陽」という言葉に検索エンジンが反応した様だ。そこで検索のキーになっている単語を調べてみたのだが、「藤沢周平」の藤沢も周平も出てこない。つまり藤沢周平ファンはインターネット世代とはずれている様だ。一方内野聖陽についてはネット時代の強力なファンがいそうだ。

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今何故藤沢周平ブームなのか?

2005年09月18日 | 本と雑誌

この10月1日から藤沢周平の「蝉しぐれ」http://www.semishigure.jp/top.htmlが東宝系で上映される。 いうまでもなくこの小説は藤沢周平の最高傑作であり私も数度本を読み返し、NHKの連続ドラマも見た。NHKの連続ドラマといえば今この作家の「秘太刀馬の骨」を内野 聖陽主演で連載中である。どうして今藤沢周平がこのようにブームになっているのか?これは藤沢文学の愛読者層である我々中年族が増えているからであろう。では中年族は藤沢文学の何に惹かれるのか?

一般論はさておき、私が藤沢周平に魅かれる理由はいくつかあるが今日は「人の世の桎梏と努力」「ものを持たないシンプルな生き方」について述べたい。

「蝉しぐれ」の終盤,主人公牧文四郎は初恋の人お福に彼女と結ばれなかったことを生涯の悔い」と述べる。それを聞いてお福は答える。「うれしい。でも、きっとこういうふうに終わるのですね。この世に悔いを持たぬ人などいないでしょうからね。はかない世の中・・・」そしてしばしの昔話の後二人は抱擁するのである。

殿の死後喪に服していたお福は落飾の前に文四郎に一度会うというリスクを取る。思うままに生きることができない封建時代の桎梏の中で精一杯生きる二人。その清冽な生き方が心を打つ。そしてこの長編小説の最後の一文が凛々しい。・・・・助左衛門(文四郎の現在の名前)は・・お福さまにあうことはもうあるまいと思った。・・・助左衛門は笠の紐をきつく結び直した。馬腹を蹴って、助左衛門は熱い光の中に走り出た。

江戸時代に比べれば何の桎梏もないような現代。では我々はそれほど自由に生きているのだろうか?答は必ずしもそうではないだろう。一見桎梏がないだけ人の欲望は広がり、広がった欲望を実現できないことに人は苦しむ。あるいはあふれるモノや人間関係に縛られ喘ぐ我々。この世は所詮はかないのである。

藤沢周平は随筆集「周平独言」(中公文庫)の中で「理由をはぶいて結論だけ言えば、私は所有する物は少なければ少ないほどいいと考えているのである。物をふやさず、むしろすこしずづ減らし、生きている痕跡をだんだん消しながら、やがてふっと消えるように生涯を終えることが出来たらしあわせだろうと時々夢想する。」(「書斎のことなど」)と述べる。

この感覚は兼好法師が徒然草で述べる「名利に使われて、閑かなる暇(いとま)なく、一生をおくるこそ、愚かなれ。・・・金(こがね)は山にすて、玉は淵に投ぐべし。利にまどうは、すぐれて愚かなる人なり」という感覚に近い。

私が藤沢周平に魅かれるのは「物よりも精神的な価値~「蝉しぐれ」では20年持ち続ける愛~を大事にしながら、この桎梏の多い世の中を精一杯生きる男女の姿」に心を打たれるからである。それはつい我々が見失いがちな精神の豊かさを重んじる日本の伝統文化にもしっかり繋がっているものである。

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昭和記念公園のコスモス

2005年09月17日 | まち歩き

連休初日の今日(9月17日)昭和記念公園にコスモスを見に出かけた。天気は晴、自転車で木立の中を走ると涼しくて気持ちが良い。秋はもうそこまで来ている。

cosmos1 
この写真は「みんなの原っぱ」の北側のコスモス畑で撮影したもの。昭和記念公園のコスモスは「コスモスの丘」の花が有名だが、そちらの方はまだちらほら咲きである。この写真は広角レンズ(Zuiko 11-22mm f2.8-3.5)で撮ったもの。

cosmos3   左の写真はコスモスとモンシロチョウでこちらは50mmのマクロで撮影。今日は風が少なく花の撮影はやり易い。

写真ファンの人が20,30人来ているが、コスモスのハイシーズン(10月中旬?)になるともっと多くのカメラマンでごった返すだろう。

蜜を吸うというとブンブンの一種も一心不乱にコスモスの蜜を吸っていた。

cosmos4

   

渓流広場付近の自転車道の脇でパンパグラスを見た。パンパグラスはアルゼンチンなど南米の草原(パンパ)を原産地とするイネ科コルタデリア属の多年草である。

青空をバックに大きく成長し、穂が密生したパンパグラスは見栄えが良い。

panpas このように9月中頃の昭和記念公園には中々見るべきところがある。なお昼食は渓流広場レストランで「冷やし中華」(つけ麺)を食べたが、つけ汁が大変すっぱく、具も内容が乏しい。これで900円は少し高いと感じた。お弁当でも買って行き、大きなスズカゲの木の下ででも食べるのが昭和記念公園の正しいお昼ご飯なのかもしれない。

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名古屋人は親切

2005年09月13日 | うんちく・小ネタ

この前の日曜日愛知万博に行った帰りに尾張瀬戸から栄まで名鉄に乗ったが、僕はその電車の中で財布を落してしまった。どうもカバンの外側のポケットに入れていた財布が滑り出てしまったらしい。電車を降りて20分程して気がつき、名鉄栄の駅に飛んで行き駅員さんに落し物の説明をしだしたところ、何と駅員さんの机の上に見慣れた茶色い革の財布がある。「あれ、あれです。あの財布です。」と僕は叫ぶ。駅員さんは財布の中の運転免許証で僕の顔を確認していたのだろうか、すぐ財布を渡してくれた。「親切に届けてくれた人がいてしかもお礼は放棄されたのですよ」と駅員さんは言う。本当に助かった。もし財布が見つからなかったら、僕はホテルで銀行やクレジット会社に電話をかけまくっていたろう・・・と思うと本当に正直で親切な方が届けて呉れて助かった。

数分後僕は栄の地下街を歩いていた。栄の地下街には呉服屋や和菓子屋等伝統的な店が色々入っている。それに人の混み方も程々で歩き良い。名古屋の地下街はやはり東京の地下街とは違い、落ち着いていて懐が深い・・・と僕はすっかり名古屋が好きになっていた。実はその日一日万博の暑さに名古屋の気候の悪さを呪っていたことも忘れて・・・・

お財布を拾っていただいた方へ

お礼を申しあげることもできませんが、本当にありがとうございました。あなたのご親切が今一人の名古屋ファンを生みました。

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自民党圧勝に関する海外メディアの論評

2005年09月13日 | 政治

9月11日の総選挙に関する海外メディアの論評は日本の新聞にも紹介されている。私もネットでざっと英米の新聞・雑誌に目を通したが、日本のマスコミに較べて概ね素直に自民党勝利を歓迎しているところが特徴的だ。日本のマスコミはややもすれば自民党は勝利におごるな的論評があるが、海外メディアは圧倒的勝利を梃子に構造改革を一気に進めろ的論評が多い。この素直にものを見るところが私は海外メディアの一つの良いところだと感じている。素直にものを見ることと深くものを見ることは矛盾しない。素直にかつ深くものを見る姿勢を日本のマスコミはもっと学んで欲しい。

例えばファイナンシャルタイムズ紙は自民党国対委員長中川 秀直氏のコメント「今回の地すべり的勝利は英国のマーガレット・サッチャー元首相やロナルド・レーガン元米大統領の選挙戦での勝利に比較しうる。その時投票者は小さな政府を支持し、社会主義に反対した。このトレンドは20年遅れて日本に来た」を引用して日本に「小さな政府」改革が行なわれる可能性を示唆している。

もっともエコノミスト誌になると、その論調はもう少し複雑である。ポイントを見ておこう。

  • 郵政民営化が推進されることは明らかだが、その他の改革はそれ程はっきり見えていない。
  • 民主党がこのまま力を失うと構造改革上マイナスとなる可能性が高い。何故なら小泉首相は来年9月で辞任すると言っているが、その後継者が構造改革の意向やカリスマ性が低い場合、構造改革が頓挫する可能性は高い。つまり自民党は圧倒的多数を保つため、二大政党の相手方である民主党がしっかりしていないと「緩んでしまう」という訳である。
  • HSBCのエコノミスト ピーター・モルガン氏によれば郵政民営化により簡保・郵貯は約200兆円の日本国債を売却し、企業融資や個人向け融資を行なうことになる。もっともそのインパクトは銀行や他の投資家が国債を買うので弱められる。
  • 改革支持派はもっと多くの改革を求めている。彼等は郵政民営化の速度アップを希望しているし、郵貯・簡保の規模縮小や民営化前により厳密な競争ルールの適用を求めている。
  • 年金や健康保険の改革の他、政府系金融機関の改革や税制改正、地方への権限委譲等で日本は構造改革のメリットを得る可能性がある。
  • しかし郵政民営化は政治的・経済的に大きな一歩前進である長い歴史の中で初めて日本の指導者は重要な問題について正面から戦い、妥協を拒否したのである。そして投票者はその勇気に対して褒賞を与えたのである。

以下は私見であるが、自民党が衆院で絶対多数を取った責任は極めて大きい。つまり解散がなければ向こう4年間自民党は憲法改正以外のことは衆院の絶対多数を以って何でも行うことができる。それ故構造改革の全責任は自民党にかかってきた。

構造改革は英国の例を見ても10年はかかる大仕事であり、その間サッチャーは政権を取り続けた。小泉首相は来年9月に辞任する意向が強い様だが、構造改革を推進する真のリーダーを後継者に選べるかどうかが次の大きな課題になってきた。万一後継者が力量不足の場合、続投することも首相の責任の取り方かもしれない。さもないと日本丸の進路はぶれ過ぎることになる。

なお投資の観点から言うと、国債の市場消化促進が大きなテーマになってくるだろう。従って国債金利は上昇含みと見ておきたい。個人投資の観点からは変動利付国債の比率を高めたいところだ。

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