金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米国の関税は物価をどれ位押し上げるか?

2018年07月13日 | 投資

昨日(7月12日)米国労働省が発表した5月の物価統計は、食料品・エネルギーを除いたコア物価ベースで前年比2.3%上昇した。

食料品・エネルギーを含む総合的な物価指数は2.9%上昇した。米国の消費者にとって影響の大きいガソリン価格は前年比24%上昇している。

燃料価格の上昇は、やがて航空運賃に上昇にはねてくるからレジャー好きのアメリカ人にとっては負担が大きくなる可能性が高い。

この物価の上昇率にかならずしも賃金の上昇率は追いついていない。

WSJによると、ブルーカラーを含む非管理層の実質賃金は1年前に較べて0.2%下落している。

このような状況の中でエコノミストたちは「トランプ政権の関税政策による物価牛上げは無視できないだろう」と述べている。

WSJはPantheon MacroeconomicsのチーフエコノミストShepherdson氏の「新たに課税される中国からの輸入品はコアCPIの6%を構成している。したがって10%の関税はコアCPI指数を0.6%引き上げる可能性がある」というコメントを紹介していた。

同エコノミストは従業員はインフレによる実質賃金の低下を防ぐため、事業者に対する賃金引上げ圧力がリーマンショック以降で最大の高まりを示す可能性があるという見方を示していた。

★   ★   ★

米連銀が金融政策決定上で重視する個人消費支出統計でも、5月の消費者物価は前年比2.3%上昇している(コア指数は2%上昇)。連銀は念願の物価上昇目標2%を達成した訳だが、物価という生き物は必ずしも連銀の望む水準にとどまってくれるとは限らないようだ。

低インフレに悩む日本政府や日銀にとっては、うらやましい話だろうが、消費者目線で見た場合うらやむべき話かどうかはcontroversialである。

インフレを目指す政府の真意は貨幣価値の下落を通じて、借金(国債)の返済負担を軽減することにある。また事業活動を行う人や物価上昇を相殺できる賃金上昇が望める勤労者にとって適度のインフレは悪いものではない。だがインフレヘッジ力の乏しい年金頼りのシニア層にとって物価上昇ほど生活を圧迫するものはあるまい・・・・

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 内外株式比率は2:8で良い | トップ | 旅プランの準備はエバーノー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

投資」カテゴリの最新記事