金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ホラーストーリーが跋扈する日本のコロナ対策

2022年02月10日 | ニュース
 昨日(2月9日)日本では「まん延防止等重点措置」を東京都など13都道府県で来月3日まで延長するという発表があった。
 同じ日アメリカでニューヨーク州など9つの州が屋内でもマスク着用義務やワクチン接種証明の提示を求める規制を廃止すると発表した。なお公共交通機関や医療機関は対象外で引き続きマスクの着用が求められる。
 WSJによると今回マスク規制廃止に動くのは大統領選でバイデン大統領を支持した民主党系の州だが、それらの州が政府(アメリカ疾病予防管理センター)が推奨するマスク着用規制に従わない態度を示したところが興味深い。
 ニューヨークのホークル知事はThe Covid clouds are parting.と述べている。直訳すると「コロナの暗雲は去りつつある」というところか。
 アメリカ人はコロナに疲れ、マスク着用に疲れている。
 感染拡大が鈍化してきたタイミングで各州の知事たちが州民の空気を読んで屋内でもマスク着用義務の廃止に動いたと私は見ているが如何なものだろうか?
 これに対して日本では「ホラーストーリー」が幅を利かせているので、マスク着用義務の廃止など簡単に口に出せる雰囲気ではない。
 ホラーストーリーというのはサクセスストーリーの反対語でいずれもマーケッティング戦術だ。ホラーストーリーというのは、「医療保険に入っていないと大きな医療費がかかった時大変なことになりますよ」という類の人々の恐怖をあおることである製品やサービスを売り込む手法だ。一方サクセスストーリーというのは「このサプリメントを飲むと膝や腰の痛みがなくなります」という成功体験に基づく売り込み手法だ。
 行動経済学などの知見によると「人を安心させるより人を不安にさせる方がたやすい」ので、ホラーストーリーの方が成功確率が高いという話だ。
 最近のテレビ番組を見ていると街頭インタビューなどで「コロナ感染拡大の不安の声」を拾っていることが多く、マスクを取り去り、以前のように活気のある日常に戻ろうという声などは聞こえてこない。
 これはホラーストリーが日本人のメンタルに合っているからかもしれないが。
 おそらくアメリカでは「致死率が低いオミクロンの感染自体をどこまで忌避する必要があるのか?」といったことが議論されてきたのだろうが、日本ではそのような議論はし難いようだ。これはマスコミも識者も政治家も「感染者数抑制のため我慢しましょう」とか「人手が減らないのは気の緩みのせい・・」などとお題目を唱えている方が楽だからなのだ。きっと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする