今日(5月14日)から3日間、インドのモディ首相が中国を訪問する予定だ。中印両国は経済協力の強化が焦点としている。インドは今後5年間で鉄道の近代化のために、1,370億ドルの投資を行う予定で、インド鉄道相は鉄道案件に関する両国の合意が近いことを示唆している。
しかし中印両国トップの会談は、経済協力のみには留まらない。Modi has a more hard-nosed China policy, and China has noticed「モディ首相は(これまでのインドの首相に較べて)より鼻っ柱の強い対中国政策を持っていて、そのことは中国も知っている」と前インド国防評議会のメンバーで中国エキスパートのRande氏は述べている(WSJによる)
Hard-nosedは「鼻っ柱が強い」というイディオムだが、「鼻っ柱が強い」という意味の他に「実利的な」という意味がある。Tough minded「意思が強い・現実的な」と同じようなニュアンスと考えてよいだろう。
モディ首相は就任後、伝統的な非同盟政策路線を転換し、米国との連携や日本やベトナムとの軍事的連携を強化してきた。
インドはインドと敵対関係にあるパキスタンに中国」がパキスタンに460億ドルの投資を行い、一帯一路政策に基づく「経済的回廊」を構築するプランに神経を尖らせている。
中国は昨年11月にスリランカに潜水艦を寄港させた。これは「真珠の首飾り」戦略string of pearlsと呼ばれる戦略の一環だ。中国はネパール・スリランカ・バングラディシュ・パキスタン・ミヤンマーへの投資を増やすことでインド包囲網を構築しつつある。また最近ではアフガニスタンでも存在感を高めている。
これに対するインドの対抗策はイランのチャーバハール(3つの経済特区の中の1つ)に港湾を建築するという計画だ。インドは覇権を目指すほどの国力はないだろうし、また今のところその意思もないと思われる。しかし中国の覇権に対する一つの抑止力になることは間違いない。
外交に絶対的な勝利はない。もし6割の成果を収めることができれば、大成果と考えるべきだろう。鼻っ柱の強さと実利のバランスが肝要なのだ。あるアナリストはモディ首相は「中国とアメリカの関係」を参考にしながら、外交アプローチをとろうとしていると分析する。つまり「経済的には緊密な関係にありながら、お互いが相手の影響力を緩和させようとするアプローチだ。
興味深いモディ首相の最初の公式訪中である。
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