金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

老後に関する通説の5つの誤り

2014年12月04日 | うんちく・小ネタ

このところボランティア関係の雑事が重なり、あまりブログを書く時間がない。雑事というのは、相続学会の社員に総会準備やネパールに学校を作るNPO法人から依頼を受けたリーフレット作成などである。「多少パソコンを触ることができる」ということでおだてられ、雑用を押し付けられるのである。と少々ぼやいてみたが、あてにされることは悪いことではないだろう。「あてにされる」といことは、raison d'etreがあるということだから。Raison d'etreの問題を考えていくと老後のあり方の問題にもつながっていく・・・・

さて今日の話はWSJに載っていた「老後に関する通説の誤り」についてだ。

第1は「歳をとれば憂鬱が増える」という通説の誤りについて

一般的には年をとると健康状態は悪化するし、友達や家族で身体に不具合のある人や更には亡くなる人が増えるので、前向きな精神状態を維持することは困難だと考えられ勝ちだ。だが最近のスタンフォード大学などの研究によると、感情的な幸福感は70代まで上昇を続け、その後平衡状態になるという。それは人は年をとるとともに、置かれた環境と上手く付き合っていく知恵がついてくるので、心配事や怒りが少なくなり、幸福感が高まると解されている。

第2は「歳をとるにつれ認知能力が低下する」という通説の誤りについて

これについては通説が総て誤っている訳ではない。歳をとると脳は古くなったコンピュータと同様に情報処理能力は低下し、記憶した情報を思い出すのに時間がかかることは事実だ。だからある種の仕事~例えば問題を解決する新しい手法の発見~能力は確実に低下する。しかし実際世の中で起きる様々な問題に対処するには「積み重ねてきた知識と経験」がものをいう場合が多い。従って認知能力や処理能力テストで判断されるより、実社会においては「年寄りの判断力は高い」ことが幾つかの研究で明らかになっている。

第3は「高齢の労働者は生産性が低い」という通説の誤りについて

これについてはアクロン大学の学部長が「多くの研究が年齢とパフォーマンスの間には何の相関関係もないことを示している」と断言している。実際高齢のベテラン作業員は若い作業員より重大なミスを避けるノウハウを持っているので生産性が高いというベンツの組み立て工場で実証された例もある。

第4は「年寄りは孤立しやすい」という通説の誤りについて

年を取るとともに、社会的つながりの輪は縮んでいくというのは事実だが、そのことは高齢者が孤独であるということは意味しないと記事は述べる。それは50歳位まで人々は社会的なつながりを拡大するが、それから先は薄いつながりの知人を排除して、本当に大事だと思う人との関係を深めるからだと解される。この点については自分の経験からも同感できるところがある。例えば毎日仕事に行っていたころは「それほど親しくないけれど毎日顔を合わせる人とは時々飲みに行く」「年賀状位はやり取りする」という付き合いがあった。だがサラリーマンをやめるとそんな付き合いは減り、本当に気の合う人たちとだけ付き合うようになってくる。

一つ飛ばして最後は「運動すればするほど健康に良い」という通説の誤りについて

「一般に運動は健康改善と長生きの鍵」と言われてきたが、最近の研究で運動のやり過ぎは身体に良いとは限らないということが彰かになってきた。適度な運動が長寿に貢献することは間違いないだろう。たとえばコペンハーゲンで40年近く行われてきた研究結果では、ランニングをする人はしない人に較べて男性で6.2年、女性で5.6年長生きすることが実証されている。

しかし運動をやり過ぎる人、例えば時速7マイル(約11km)で毎週4時間以上走るような運動をしている人は長寿効果をかなり損なっているということが最近の研究で明らかになっている。これに較べて時速8km-11km程度で毎週1-2.4時間ほど走り、毎週最低でも2日は激しい運動を避けるという人の運動効果が最高のようだ。

何事も過ぎたるは及ばざるがごとし、ということなのだろう。今年の秋はかなり頑張って国内外の山を歩いて、多少そのことを誇らしげに感じたりもした。だがミズーリ・カンサス大学のo'keefe教授によるとLong-term strenuos endurance exercise may cause "overuse injury" to the heart.だそうだ。

来年はもう少しのんびりした山歩きをしよう。その方が仲間も増えるかもしれないなどと考え始めている。

 

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