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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

槍ヶ岳猿談義

2012年09月24日 | うんちく・小ネタ

山で猿を見かけることが多くなっている。猿が増えているのか、餌が少なくなって人間世界に足を踏み入れる結果、猿を見る機会が増えているのか、その原因は知らないが。

先週末出かけた槍ヶ岳でも多くの猿を見かけた。最初の群れはババ平の少し上、大きな残雪が残っているところにいた。

Monkey_3

立ち止まっている登山者に聞くと「猿が邪魔して通れません」という。私が先頭になり、金属音を出す笛を吹いて猿をどかそうとしたが、猿は驚くどころか牙をむいて我々の方を睨んでいた。子猿がいたので警戒レベルを高めていたのだ。猿の群れを刺激しないように静々と歩き事なきを得たが。

槍ヶ岳と猿というと、1,2年前にNHKの地球・不思議大自然という番組で槍ヶ岳に登るニホンザルの一群を追いかけた番組を見たことがある。その猿は槍ヶ岳の北側つまり高瀬川の上流から槍の頂上を目指して餌を採りながら移動していた。

人間は遊びのために槍ヶ岳に登るけれど、猿は生きるために槍ヶ岳に登るのである。猿の威嚇の方が迫力があるのは当然かもしれない。人間は作物を荒らす動物を害獣と呼ぶが、猿からすると自分たちの領域に侵入してくる人間は害人と呼びたいかもしれない。

二度目に大きな群れを見たのは、横尾から徳沢に下山する時だ。雨の中を沢山の猿が登山道を横尾に向けて移動していた。そこは梓川の河原が大きく広がったところで、河原を歩く猿も多くいたが、一部の猿は人間との接触を恐れず登山道を歩いてくるのである。

初しぐれ猿も小蓑をほしげなり 芭蕉

という句があるが、梓川の猿は丸々と太っていて少々の雨など物ともせず堂々と歩いていた。今日の朝刊に餌がなくてガリガリに痩せた北海道のヒグマの写真が出ていたが、梓川の猿は食物事情は良さそうに見えた。

芭蕉の猿の句というと、

猿を聞く人捨て子に秋の風いかに という句がある。

古来漢語では猿の声は断腸の思いをさせるものとしてきた。句の意味は「猿の声にすら断腸の思いを抱く詩人たちよ。あなたがたは秋風の中で命が絶えそうになっている捨て子の声を何と聞くか」というところだ。

猿の鳴き声は今回も一二度聞いたが、中国の詩人でない私に断腸の思いはわかない。子猿を背中に乗せて悠々と歩く猿を見ると、捨て子などいない猿の方が人間より幸せなのか?という気がしてきた。

槍ヶ岳の猿は色々なことを考えさせる猿だった。

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槍ヶ岳の秋は稜線から

2012年09月24日 | 

お彼岸の時期に槍ヶ岳に登ってきた。メンバーは某ロータリークラブ・トレッキング同好会の中の精鋭メンバー二人だ。昨年10月に常念岳に登った人たちの一部で、そこから眺めた槍ヶ岳の凛々しさに魅せられて挑戦となった次第。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、霧の中の槍ヶ岳は涼しさを通り越してやや寒い位だった。

9月21日金曜日・晴時々曇り。新宿7時ジャスト発のあずさ1号で松本へ(私はいつものとおり立川から乗車)。予約しておいた馴染みのYタクシーに乗り上高地へ。バスターミナルで昼食を済ませ、11時30分槍沢ロッジに向けて出発。歩き始めた頃から雲は上がっていき、明神岳がくっきり見えてきた。

Myoujin

徳沢、横尾と順調に進み、午後3時頃槍ヶ岳の穂先が見える槍見河原に着いたが、槍は雲の中だった。午後3時半槍沢ロッジ到着。3人の足並みがそろっていたので上高地から4時間で到着(コースタイムは5時間程度)。槍沢ロッジには風呂があり汗を流してさっぱりした。

9月22日土曜日・晴れ時々曇り。午前6時4分槍沢ロッジ出発。6時29分ババ平到着。槍沢の奥までくっきり見えた。快適な一日になりそうだ。

Babadaira

ババ平から数分登ると残雪が出てきて、その横で男女数名の先行パーティが立ち止まっていた。猿がいて道をふさいでいるという。猿待ちをしている訳にもいかないので、私がトップに出て笛を吹きながら進んでいった。ところが笛程度では猿は驚かず、時々牙をむいて威嚇する。子猿を連れているので気がたっていたようだ。(猿談義は別のブログで)

Monkey

7時42分天狗原分岐到着。

Tengu_2

8時40分ヒュッテ大槍分岐付近。槍の穂先はくっきり見えるが薄雲が広がってきた。

Ooyaribunnki

10時9分槍ヶ岳山荘到着。4時間で高度差1,300mを登ってきた。さあ、槍の穂先に向かおうと思うとガスが広がり、気温が下がってきた。登り始めると少しガスが晴れて、小槍の先に硫黄尾根が見えた。

Koyari

10時45分頂上到着。15分程天候回復を待つが期待していた360度の眺望は得られず。指先が冷たくなる程の気温だった。槍ヶ岳山荘でカレーなどの昼食を食べ12時に槍沢ロッジに向けて下山開始。当初計画では、疲労度が激しい場合は槍ヶ岳山荘泊まりとし、元気な場合は槍沢ロッジに下る、としていたが、全員元気なので槍沢ロッジまで下ることにした。これは大正解だった。というのは翌日は夜中から雨。槍ヶ岳頂上付近では白いものが混じっていたという。山では目標を達成した後はできるだけ下っておくというのが安全上の鉄則なのだ。

下り始めるとまた天気が良くなり、槍の穂先が秋空に突き刺さっていた。

Yari2

槍沢の上部の草は茶色くなり秋の到来を告げていた。

Kusamomiji

ナナカマドの葉も色付いてきた。

Nanakamado

遅くまで咲き残ったアザミの中を下っていく。槍の秋は近い。

Azami

午後3時槍沢ロッジ到着。足並みの揃ったメンバーによる9時間登山は快適だった。1,300mを一日で往復してもさほど疲労感を感じなかったのは、さわやかな天気と槍沢の登り易い登山道のお陰だ。今年の夏は何回か9時間、10時間登山をやったが槍ヶ岳往復が一番楽だと思った。

9月23日朝4時頃ふと目が覚めるとトタン屋根を叩く雨の音がした。6時37分雨具に身を固めて上高地を目指して出発。徳沢でYタクシーに電話(徳沢ではドコモ携帯繋がらず。公衆電話利用)。10時30分上高地。竜神の湯で冷えた体を温めて松本に向かった。

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