大手の投資家は、現在のところ米国株の先行きをポジティブにとらえている向きが多いが、日本株に対してもある程度関心を高めているだろう。
ところで日本株への関心の高まりとともに、投資家の懸念材料も高まるとFTは指摘する。それは「インサイダー取引」だ。
金融危機に際して起きた英米でのインサイダー取引に対する規制強化は、日本ではまだ実施されていない。3月に中央三井アセット銀行(当時)が、課徴金支払勧告を受け、先週は公募増資公表前の情報を顧客に流したとして、SMBC日興証券が業務改善命令を受けたが、これは少数の例外だ。
ここでFTはIT会社SCSKの2月6日の市場終了後の株価の動きを紹介し、多くの投資家は懸念を抱いていると述べる。
SCSK株式海外売り出しの終了に伴い、SCSKの第2の大株主が12%の持分を売却するというニュースが流れ、翌日SCSKの株価は6%下落した。また取引高は前月取引平均の25倍にのぼった。同社の株式海外売り出しのブックランナーだったドイチェ銀行・野村はノーコメントであった。従ってこの取引の背景に何があったかは謎だが、市場参加者の間では取引を知っていた人間から情報が流れたと信じられている。
一連のインサイダー疑惑により「日本の株式市場は少数の投資家が日常的にインサイダー情報により、利益を得る市場だ」という見方が再び海外投資家の間に広がりつつある。