OECDの統計によるとダントツのワーカーホリックの韓国。韓国の平均労働時間は2,256時間で日本の3割弱は働いている(日本は1,772時間)。
その韓国で働き過ぎ是正のため、2週間の連続休暇を取ろうという政府がバックアップするキャンペーンが活発化しているという記事がFTに出ていた。
記事によると韓国最大の銀行・新韓銀行では、連続休暇を取っている従業員のコンピュータへのアクセスを遮断するという力ずくの対策を取っている。
韓国の労働者は休みを取ってリフレッシュする代わりに、ボーナスと評価を求めて一生懸命働くが、多くの従業員は上司が変えるまで「付き合い残業」をしているのだとFTは喝破する。
実際労働時間と生産性は比例しない。例えばドイツの年間平均労働時間は、1,430時間でオランダのそれは1,389時間に過ぎないが、一人当たりの名目的生産額は韓国の約倍だ。
「リフレッシュ休暇運動」を推進する国営の韓国観光公社の李会長は「企業は60年代70年代の急速な工業化の過程で形成された哲学を変えないといけない」と述べる。
韓国人は年平均11日の休暇を取っているが、典型的には細切れの休みを取っている。
もっとも新韓銀行が2週間の連続休暇を推進する理由の一部には内部統制の強化がある。何故なら2週間の連続休暇で汚職等の不正がしばしば発覚するからだ。
だがFTは韓国社会に詳しい専門家の「韓国人が長い休暇を取らないのは、自らを企業や機関の中の小さな歯車と感じ、長い休みを取ると回りの人間から不要な人間と見られることを恐れていることが主な障害だ」という言葉で記事を結んでいた。
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韓国の現在の労働時間のレベルは日本の1970年とほぼ同じレベルだ。日本は90年代に労働時間の削減が進み、いまでは米国より若干短くなっている。
だが休暇の質という点から考えると、私は日本の休暇の質も欧米に較べるとかなり低いと考えている。休暇の質というのは「取りたい時に安心して、2週間程度の連続休暇が取れる」ということだ。
私が今いる会社は非常に体質が古い会社なので、女性従業員も「お休みを頂きましてありがとうございます」と挨拶され、面を食らうことがある。今時給料を貰う度「お給料を頂きありがとうございます」という人はいないように、休みも権利なのだから堂々と取れば良いと思うのだが。
韓国の働き過ぎ問題も同じ軌道の話かもしれない。
節電が求められる日本に話を戻すと日本の会社も「質の高い休暇」を取ることを促進してはどうだろうか?少ない人数で効率良く仕事をすることを体感できるはずだ。