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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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アフガン支援50億ドル、足元を見られるのじゃないか?

2009年11月11日 | 国際・政治

日本政府は11月10日にインド洋給油支援活動を打ち切る替わりに、アフガニスタンに向こう5年間で50億ドル(4,500億円)の支援を行うと発表した。これは年率換算して今までの4倍の金額だ。

来日前にNHKの単独インタビューに応じたオバマ大統領がstalwart ally(熱烈な~あるいは忠実な~同盟者)と賞賛したから、期待以上の支援額だったのかもしれない。

アフガンに対する金銭的支援とインド洋給油支援を金額の多寡だけで天秤にかけるつもりはないが、金の話をするとインド洋給油活動の日本の支出額については2007年に国会答弁で「2001年から2007年にかけて217億円弱の支出」と政府が回答している。金銭的には給油支援の方が桁違いに負担が軽いことは間違いない。

それにしてもGDPの倍近い借金を抱え返済の道筋すら立てていない国としては随分大盤振る舞いを決めたものである。

民主党政権内の議論や判断を推測すると次のようなことなのだろう。

* 民主党政権は普天間基地の移転問題の白紙見直しを求めてきたが、ゲーツ国防長官から厳しく拒否された。岡田外相と北沢防衛相は基地問題の年内解決を目指すというが、鳩山首相は沖縄県民の意思を尊重し年内解決に拘らないという。民主党首脳はバラバラの状態だ。

*オバマ大統領来日が迫る中で、米国から民主党政権は日米安全保障の根幹を揺さぶるつもりか?という暗黙の脅しが来る。そこで民主党政権はいわば「忠誠の証」としてアフガンに50億ドルの支援を発表し、基地問題でオバマ・鳩山の直接交渉を避けた。

ところがオバマ大統領はちゃっかりしたもので、Mr Obama also made clear that he expects the new Japanese government to bow to Washington’s wishes on plans to move a military base. と言っている。つまり「(50億ドルのアフガン支援は評価するけれど)新政権が基地移転に関する米国政権の希望に従うことを希望していることをオバマ大統領は明らかにした」

Bowという動詞は「おじぎをする。屈服する。決定に従う」などの意味があるが、日本がアメリカに屈服するという意味なので余り好ましくない表現だと私は感じている。むしろ「日本が以前決めた二国間合意を守ることを希望する」というべきではなかったか・・・・

ところで日本政府が支援を決めた50億ドルだが具体的な使い道は決まっていない。FTは「アフガニスタンの治安状況、政府の管理能力不足、日本人派遣者が駐在していないことなどを考えると50億ドルを効果的に使うことは困難だろう」と警告を発している。

無政府状態に近い国では当たり前のことだだ、援助側のプロジェクトの企画や行程管理が不十分だと、援助金は現地の官僚が掠め取ったり、外国の業者が暴利をむさぼるからドブに捨てる可能性が高いのだ。

4500億円の支援金、米国政府からの時間稼ぎ以外大した効果を出さない可能性があることを私は懸念している。そして更なる懸念は外国から「日本って国は、少し脅かしたりおだてたりすると直ぐ金で解決したがる奴だ」と足元を見透かされることである。

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ルノー・日産はタタに勝てるか?

2009年11月11日 | 社会・経済

FTによるとルノー・日産のCEO・カルロス・ゴーン氏はニューデリーのワールド・エコノミック・フォーラムで「2012年にインドのバジャジ・オートと提携してタタ自動車のナノに対抗する格安車を作る」と発表した。

ゴーン氏はインドの自動車販売台数は現在の2百万台から次の10年には6百万台に増えると予想している。

タタ自動車の格安車ナノの一番安い車は約10万ルピー(2,150ドル)だ。業界アナリストによるとナノの損益分岐点は年間25万台だが、タタは西ベンガル州の農民の反対で工場を廃棄せざるを得なかったため、現在のところ生産台数は10万台にとどまっている。そこに他の自動車メーカーの参入余地が生じた訳だ。

ゴーン氏は格安車の値段をあきらかにしていないが、市場で一番安い車と表現しているからナノを下回る価格で新車をぶつけてくることは間違いなさそうだ。

業界アナリストは「ルノー・日産・バジャジの新しい車のコストはプロジェクトの効率性と如何に原材料を安く入手できるかという資材調達の効率性および税制優遇のある地域に工場を設置できるかどうかにかかっている」と述べている。

加えてマーケッティングとブランド確立を担当するルノー・日産がインド国内での販売に加えて、アフリカ・アジアの一部・ラテンアメリカなど新興国でどれだけ市場を獲得できるかも大きなポイントだろう。

もし20万円前後の自動車が新興国市場でシェアを急拡大する時代がくると、世界の自動車メーカーは戦略を大きく変える必要がある。日本の自動車メーカーのみならず下請企業等にも大きな影響がでそうだ。

それにしても4つの「たまころ」とエンジンが付いた自動車が、ちょっとしたスポーツ自転車の2,3倍の値段~高級自転車の中にはナノより高いものも多いが~で大量に販売される時代が近づいているということは、なんとも凄いことだと思わざるを得ない。

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