最近自分のブログのタイトルを無視するかのように、山の記事が少なかった。この理由の一つは今年の異常気象にある。つまりこの冬・春は気象条件が悪くて、山に登るチャンスに恵まれなかったということだ。
さて先週週末(4月8日、9日)はメインコースを白毛門・朝日岳スキーツアー、サブコースを丸沼高原から日光白根山往復とした登山計画を建てた。8日土曜日相棒のM君の車で午前6時20分に田無を出発。今回のメンバーは恒例のM君に大学山岳会の後輩N君を加え都合3名である。
最初に土合に向かうが、水上ICを降りたところから既に雨模様。それでも未練がましく白毛門の登り口まで行く。白毛門の駐車場は完全に雪の下である。積雪は優に2mは超えている。東黒沢から何本かスキーのシュプールが続いていた。この雪の量があれば東黒沢を滑降できることが分かっただけでも収穫としよう。雨は完全に本降りになったので日光白根に転進を決めて沼田に戻る。
沼田街道も雨だったが、丸沼高原の手前から雪に変わった。1,200円払ってゴンドラに乗りゴンドラ終点のレストランで昼食。正午に七色平の避難小屋を目指してシールを着けて出発。僅かにトレースなトレースの上に新雪が積もっている。午後1時15分頃避難小屋に到着。しかし避難小屋は余り快適でなさそうなので、向かい側の樹林帯にテントを張る。
このテントは最近好日山荘で買った4人用テントだ。値段は4万円台の半ばでとても軽い。それでも50代半ばとなると、テントを担いで雪山を登るのは少しこたえる。今日の様に1,2時間の登りが良いところだろう。テントを張ってからも森々と雪が降り続いた。
夜はカレー屋さんを経営するN君が工夫したハンバーグ、ベーコン等をつまみにワインを飲む。
明けて4月9日手元の高度計の高度がどんどん下がっていく。気圧が高くなっているのだ。天気の回復が見込めそうだ。7時30分日光白根山に向けて出発。まず座禅山と白根山の鞍部に向かう沢をシールで登る。昨夜来の雪が50cm程積もっているので結構なラッセルである。小1時間程登ったところでM君が「手が凍傷になりそうだ」と言いテントに引き返す。N君と私は登山を続行。
鞍部からはアイゼンを着けて急な雪の斜面を登りだす。クラストした斜面と膝を没する軟雪が交互で出てきて結構厄介だ。途中から右手の夏道にトラバースする。
夏道に出ると激しい風をもろに受けた。白根山は独立峰なので風が強い。時々ピッケルを打ち込み耐風姿勢を取る必要がある位の風になった。午前9時50分高度差100mを残して登頂を断念する。
写真は折り返し点で手を振るN君だ。
座禅山のコルからは登ってきた狭い谷を滑る。樹林が多いが今回はショートスキー(フリートレック)なので、快適に狭い木立の中を滑り降りることが出来た。同行のN君は170cmのノーマルな板を使っているので少し苦労した様だ。それでも転倒1回で降りたとのこと。中々立派である。11時テント着。
12時40分 ゴンドラ頂上駅着。
写真はゴンドラ終点から見た白根山。座禅山ルートは左の稜線だ。写真を撮っていると年配のご婦人に声をかけられた。「白根山に登ったのですか?」「ええ、でも頂上の手前で引き返しました。風がきつかったので。」「ここから見ていると穏やかそうなのにね。」たしかに今の天候なら問題なく登っただろう。山の天気の移り変わりは激しい。
ご婦人が続けて言う。「白馬乗鞍で山スキーヤーが遭難したそうですよ。ニュースで言っていました。」そうか・・この週末も結構天気が不安定だったからなぁ。
午後1時駐車場に向けて滑降開始。17,8kgの荷物を担ぐと華麗にウエデルンとはいかないが、大きめのパラレルターンを繰り返しながら僕はゆっくりとゲレンデを滑っていった。長年の夢だった日光白根山のスキー登山の余韻をかみしめながら。
日光白根山・・・・僕のひそかなプロジェクトは日本百名山に名前を連ねる山をスキーで滑ることで、当然この山も候補に入っていた。頂上の岩が露出しているところはスキーは無理とすれば今回ほぼ目標を達したかなぁと思っている。もし次の機会があれば湯元側から登りたいものである。
6時前に帰宅すると、ニュースであちこちの雪山で山スキーヤーの遭難を報じていた。気象の変化が激しく雪崩が頻発した様だ。美しい雪山は常に危険と隣り合わせである。