金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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ヘッジファンド~最近の状況

2005年04月21日 | 金融

最近のファイナンシャルタイムズ紙がヘッジファンドの最近の状況について簡単な記事を書いている。

タイトルは「ヘッジファンドのリターンはキャッシュ並」である。以下ポイント。

Ø          ヘッジファンドは2005年度失望させられるスタートを切っている。ヘッジファンドの平均リターンは第1四半期でたった1%である。米国または欧州の投資家にとってこれはキャッシュのリターンとほとんど変らない。英国の投資家なら貯蓄銀行に預金しておいた方が良かっただろう。

Ø          4月も又厳しい月になるだろう。ヘッジファンド調査会社アレンブリッジ社によれば、マネージドフーチャー(商品先物)ファンドが大きな損失を出している。CTA(商品先物業者)は第1四半期で4.3%の損失を出している。このCTAの分類にはAHL(最大級のヘッジファンド会社・マングループの一部門)やアスペクトグループのように最も良く知られたヘッジファンドを含んでいる。彼等は広範な資産についてコンピュータモデルで取引を行っている。しかし今年については米国国債が下落の前に急上昇する等市場がまとまりのない動きをしている。

Ø          しかしアレンブリッジ社によれば、市場のボラティリティ上昇は中期的にはヘッジファンドにプラスに働くと言う。ヘッジファンド業界は昨年初めボラティリティが低かったので大きなリターンを上げることが困難だったが、ブッシュ大統領再選に向けて市場でラリーがあったので回復した。

Ø          1四半期に苦戦しているもう一つの分野は、転換社債アービトラージファンドである。彼等は第1四半期に平均で2.9%の損失を出した。あるファンドオブファンズ・マネージャーによれば、信用スプレッドの拡大と投資家への償還で損失を蒙ったということだ。

Ø          しかし総てが悪いニュースばかりではない。ショート・ポジションに賭けたファンドは第1四半期に7.8%のリターンを上げている。またエマージング市場ファンドも3月に損失を出したが、第1四半期を通しては3%以上のリターンを上げている。

Ø          2000年から2002年の株式投資リターンの不振により、機関投資家のヘッジファンドへの関心が高まっている。しかしヘッジファンドへの大量の資金の流入は収益機会を減少させるかもしれない。アレンブリッジ社によれば「余りにも多くの資金が余りにも早いペースでヘッジファンドに流れ込んでいる」ということだ。

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