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追憶の彼方。

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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年03月28日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(6)


スイス・ローザンヌにある経営開発国際研究所「IMD」が毎年発表している「国際競争力ランキング」、総合点で1989年から4年間、日本はアメリカを抜いて第1位であったが、2002年には30位に後退し、現在もそのままの状態で低迷しており、『失われた30年』と言われている。
項目別に見ると【*GDP】では1997年、アメリカに次いで日本は2位であったが、2017年には中国が伸長率12.4倍で2位となり、日本は伸長率1.1倍とほぼ横ばいで3位となった。アメリカの伸長率は2.3倍、4位のドイツは1.7倍であった。次に【*一人当たりGDP】では1997年、日本は4位、アメリカ6位であったが、2017年にはアメリカ8位(伸長率1.9倍)に対し日本は25位(伸長率1.1倍)に後退した。
総合順位は下記の4項目から算出されるが、日本は世界第三の経済大国であることを考えれば経済力とインフラの評価が共に15位と言うのは、必ずしも褒められた順位ではない。悲しむべきはビジネス効率性と政府効率性の評価が目を覆うばかりで、大きく足を引っ張る結果となっている事である
*経済力(国内外経済、国際投資)・・・15位、 *インフラ(インフラおよび教育、環境)・・・15位、 *ビジネス効率性(生産性、労働市場)・・・36位、 *政府効率性(財政、政策)・・・41位、技術・物作りは世界一流、政治は4流、5流と言われて久しいが、当に我々日本人が常日頃実感している事柄が数字になって現れている。労働生産性はG7で47年連続最下位であるが、その背景には高品質・低価格政策による競争力強化と言う日本式経営の為、労働者の年間労働時間の長さと低賃金に加えて、日本全体のデジタル化の遅れがあり、日本人の効率化に対する意識の低さが伺える。労働時間に関しては同じような産業構造のドイツに比べ年間300時間も多くなっている。
日本の科学技術力も、この30年で大きく衰退してしまった。 日本の研究者が発表した論文がどれだけほかの論文に引用されているのかを示す「TOP10%補正論文数」というデータでも、1989年前後には世界第3位だったのだが、2015年にはすでに第9位へと落ちてしまっている。このほかにも、ここ30年で順位を落としてしまった国際ランキングは数知れない。ほとんどの部分で日本以外の先進国や中国に代表される新興国に抜かれてしまっている。日本は今や先進国とは名ばかりの状態なのかもしれない。その多くの原因が全く進歩が無く41位にランクされる無能・無為・無策の政治による所が大きい。プロ集団として世界の評価が高い台湾は、国家の長期的発展にも関連する『政府の効率性』が5位に入っているが、各界分野のプロでなければ大臣にはなれないと言う極めて当たり前の台湾政治システムが最大の理由である。
PCに触ったこともない元土建屋社長がサイバーセキュリティ大臣に任命される様な国際社会では口に出すのも憚られる様なことが平然と行われる。日本ではお金の計算が出来ず庶民感覚ゼロの財務相、法律を知らない法相、選挙民買収を平気で行う法相とそれをバックアップする首相始め政権幹部、英語が全く出来ない外務相、タバコ推進の厚労相、NTT始め業界主要会社のトップと贈収賄紛いの会食を繰り返し、子供騙しの弁解で恥じる様子もない歴代総務大臣、数えだしたら限が無い。
とりわけ無知・無能、反知性主義を絵に描いた様な葉茶滅茶・安倍前総理のme-1st、私利私欲の為に(国税の無駄使いのやり放題、嘘つき放題)が世間に蔓延し、モラル無き日本社会を作り上げてしまった。総務省、農水省、文科省、次々発覚する汚職事件とそれを取り繕う為の幼稚な嘘発言、今や日本の国会は男女を問わず百鬼夜行、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈する場に成り果てた。政治が足を引っ張り総合順位を一段と下げる事は間違いない。
デジタル庁設置等現政権が力をいれている『電子政府の推進』がお題目通り成功すれば、今迄全く進まなかった行政改革に道が開け、『行政自身のスリム化・効率化』と『民間部門に対する行政サービス提供の効率化』に大きく寄与すると同時に、兎角問題の大きかった行政の『簡素・透明・効率』化が進み、歳出抑制と財政赤字の削減にも寄与しうると期待されるところが大きい。
しかし電子政府推進の前に立ちはだかる大きな障害がる。その成功の為に越えなければならない障害の中で最大の山は、電子政府推進によって、デジタル化の時代の流れに取り残され、既得権益侵害を恐れる世襲・族議員や省益・天下りを重視する官僚の抵抗である。
早くもデジタル化1丁目1番地である行政手続きでのハンコ廃止も【ハンコ議連】と言う族議員の後押しで明治以来の慣習尊重と言う錦の御旗を押し立て、法務大臣・法務省が婚姻届け等にハンコを残す可能性を示唆している。本気でデジタル化を進めるなら総理が法務大臣を罷免するぐらいの覚悟が必要だろう。
デジタル化には元号廃止が大前提だが、(なんちゃって右翼の安倍)の様な自民党右翼の支持母体、頭が固いだけが取り柄、天皇の政治利用を目論む【日本会議】が猛反対することが予想される。しかしこれが出来なければデジタル化は100%失敗に終わる。果たして菅総理が自らの首をかけて正面突破できるだけの本気度を見せられるかにかかっている。
1945年太平洋戦争敗戦時に明治・昭和の悪弊を断ち切り、政治・行政の抜本的改革を行う絶好の機会であったが、アメリカの思惑と日本の旧体制維持派によってそのチャンスを失った。今回の電子政府を成功させる事が2回目のチャンス到来である。
期待される河野・行革担当大臣が設置した「行政改革目安箱」に、僅か半日で4000通が殺到したように、国民の期待は極めて大きい。
電子政府推進の為にも先ず行うべき事を記してみたい。
(A)国会議員の既得権打破
昨年12月「テルテル総理ご都合主義の改革路線」...(3)で取り上げた通り、国会議員に与えられた特権は収入も含め余りにも大きすぎる。
【乞食と坊主は三日やればやめられず】の諺も巷では乞食・坊主共に政治家に置き換えて喧伝されるようになった。この恵まれた待遇・特権を一度経験し旨味を味わってしまうと、何とかこれを稼業化し子々孫々迄残して置きたいと考え、世襲化の為に【地盤・看板・鞄(かばん)】獲得に狂奔する。挙句の果て安倍の桜問題の様に、国税を使って選挙民の買収迄行うと言う様な国税横領、泥棒紛いの事を平気でするようになる。選挙民買収事件が後を断たないのは議員議席の稼業化・世襲化に原因が有る。文書・通信・交通・滞在費として年1200万円も支給されているにも拘わらず、JR全線特急・グリーン付無料パス、航空機月4往復が支給されるが、これは彼等が選挙区の盆踊り・新年会、有力者の冠婚葬祭等に出席する等の選挙運動支援に他ならない。自分達で稼業化・世襲化を促進する方策を制度化しているのである。
更に世襲化推進制度として相続税特権がる。普通親から子に財産相続する場合、相続税が発生するが、政治団体を親から子に引き継いでも課税されることはない。親が個人資産を年間1千万円を限度に無税で政治団体に寄付することが出来る為、その政治団体の財産が年数を経て幾ら巨額に積み上がっても相続税を回避出来る制度である。葉茶滅茶安倍は、地元山口県で岸信介、佐藤栄作という両元宰相の地盤を引き継ぎ、父の故・晋太郎元外相から、地盤、看板と共にその政治団体が保有していた7億円以上の政治資金も一銭の税金も納めず相続したのである。
会食文化も国会議員の特権に起因する。彼等は金銭的・時間的に余裕があり過ぎるのだ。世界一高い報酬、監獄に居ても支給される給与・ボーナス、実務は官僚や秘書任せ、無能を絵に描いた様な議員が碌な仕事もせず高級料亭・クラブで遊び惚けている、諸悪の根源は恵まれ過ぎた国会議員特権・待遇にあるのだ。日本はモノづくりや文化は一流だが政治と政治家は4流5流、政治家報酬は断トツの世界一、当に政治家天国の国である。
政権の御用評論家として名高い田崎史郎(別名スシロー)が、朝日新聞・耕論欄で恥かしげも無く政治家の会食擁護論をぶち上げていたが説得力皆無、国会議員は「人の意見を聞く仕事」であるから会食は必要、全面禁止は実行しがたい、というのが国会議員やそのおこぼれ頂戴の取巻き連中の主張である。しかし、会食しなくとも有権者や識者の意見を聞くことはできる。ステーキを堪能し、ワインや酒が入らないとお互いに本音が言い合えないとか、コンパニオンがいないと場が盛り上がらないと言う事は、そもそも当人のコミュニケーション能力が貧弱・幼稚な事の証左である。政治家にこんな事を許しているのは日本だけである。
財政的な意味も含め日本の危機的状況から脱却を図るには、デジタル化の前に国会議員の報酬を始め特権を思い切って半減させる程の荒療治が必要である。 

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年03月10日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)

政府は今国会で「特例公債改正案」を可決した。現行財政法では借金に頼った財政運営は禁止されているが、税収不足を補う為に1年限りの特例法を設け赤字国債の発行を認める事にしたものである。しかし今年度はコロナ関連、社会保障関連の支出増加に対応するものとして5年間、審議無しで赤字国債発行を認めようと言う野放図極まりない法案なのである。 
今年度はコロナの影響で税収が落ち、赤字国債は前年の約3倍、90兆円、建設国債などを含めた国債発行残高は今年度末には984兆円と言う天文学的数字になる。脳天気葉茶滅茶安倍政権の財政規律無視の流れを受け、今や与野党共に歳出拡大一辺倒、「エ~じゃないか、エ~じゃないか」の掛け声にかき消され、財政再建・無駄な支出抑制と言う声が全く聞こえてこない。
中小企業に支給する「持続化給付金」の民間事務委託費1600億円、「Go Toキャンペーン」の事務委託費3100億円、国会でも問題視されたが結局明確な説明がないまま電通やJTBに巨額な税金が注ぎ込まれる結果となっている。全て闇の中に消えた税金、後世に付け回された借金である。
世界的異常気候変動の影響も受けて新たなパンデミックや災害大国・日本が大規模災害に見舞われ、膨大な財政支出が必要な事態に陥る可能性は絵空事ではないと懸念される。
此の儘、規律無視の財政運営を放置すれば、一寸した切っ掛けでデフレが一挙にインフレに転換し日銀の破綻、国家財政の破綻へと最悪のシナリオが現実味を帯びてくる。
インフレ要因の1つは実体経済における供給不足であるが、とりわけレアー・メタルの様な資源不足がボトルネックになって、需給ひっ迫の引き金になる可能性がある。世界経済の回復局面では有限の希少資源の奪い合いになり、資源輸入大国の日本は特に大きな影響を受け易い。
もう1つの要因は、「マネーの過剰供給」、「財政の急激な悪化」による通貨価値の下落である。
IMFによれば、日本の一般政府純債務の対GDP比率が177.1%に達し、主要先進国では際立って高い(2位の米は100%)。又、日銀の資産規模は保有国債大きく、GDPに対し134.0%に達し、この数字も米欧主要国を大きく上回っている(米は30%台)。
新型コロナ禍で世界的に財政拡大と量的金融緩和策が実施され、財政・金融「双子の肥満」が懸念されているが、日本の状況は突出している。この「双子の肥満」が原因で国債市況の急落、日銀のバランスシート悪化、国債や株式のパニック売り、日銀の収益悪化、その結果としてインフレに歯止めが効かなくなり国民経済は壊滅的な打撃を被る事になる。
NY州立大のS・ケルトン教授が提唱するMMT(現代貨幣理論)が話題になっている。日本の状況を引き合いに出し、「国は国債を発行し幾らでも借金をして良い」という考え方に与党を中心に同調気配も見られるが、このような超楽観的、根拠無き貨幣論に惑わされる事は危険極まりない。現状は政府が発行した国債を手元資金の運用難の銀行等・民間部門がこれを引き受け、満期が近づくと日銀が買い取り、「日銀乗換=一種の期日延長」と言うインチキ手法で政府が返済しなくても良いような仕組みになっているに過ぎない。デフレが止まれば今度はハイパーインフレを警戒し通貨発行が出来なくなる為、増税により国民が負担せざるを得なくなるのである。
古来日本人の特性として「正常性バイアス」が強すぎ安全神話が蔓延して、戦争、災害、原発、コロナ等最悪のシナリオを想定し対策を立てることが出来ずに、結局被害を大きくし破局を招いてしまった様な苦い経験が数多くある。
大きな歳入増が期待出来ない現状、日本経済への壊滅的打撃を回避する為には、無駄な支出を抑え、天文学的な政府の債務残高の増加に歯止めをかける事が我々に課された次世代への大きな責任である。
歳出削減の話が出ると自公政権は社会保障費を削減すると言う様な、弱者国民の窮乏化政策に話を持って行きたがる傾向がみられるが、完全に方向が間違っている。国民に痛みを求める前にやるべきは徹底した「政治改革・行政改革」による行政システムのスリム化と効率化、「行政の無駄-無理・ムラ」排除による行政費の削減である。
河野行革担当大臣が公務員の働き方改革として、闇残業廃止の徹底を図ると胸を張って居たが、政治家の中で最も期待する行革担当大臣の発言としては極めてお寒い限りだ。担当大臣の任務は公務員の残業の原因を突き止め、行革に依りそれを除去して午後5時には帰宅できる環境を作る事である。行政費削減の為には公務員の削減も含め同時並行的に進める必要があり、抜本的な政治・行政改革が必要である。
最近優秀な学生の官僚離れが顕著になり、先行き行政の劣化を懸念する声が多くなった。学生の官僚離れの主たる原因が収入の多寡ではなく、職場が自己実現の場ではなくなってきていると言う点が挙げられている。河野大臣が問題にした官僚の深夜勤務の主たる原因が若手官僚の『野党からの質問取りと首相・閣僚の為の答弁書の作成』にある。首相の記者会見でも都度記者クラブメンバーから質問書を提出させ、官僚が答弁文書を作成する。漢字にはルビを振る事までせねばならない。一流の最高学府を優秀な成績で卒業した若手官僚が知性-教養・品位が無いばかりか、説明や演説と言った『コミュニケーション(プレゼン)能力』、『政策能力』、『行政組織運営能力』等すら持ち合わせない無能な国家議員の小守役で残業を強いられ、挙句人事権を振り回されて正当な意見を述べる事さえ制限される職場に嫌気がさすのは当然だろう。深夜残業の温床である『対面・口頭の質問取り』をオンラインや電話に切り替えるのに難色を示すのは国会議員の意識の低さと無能が原因である。
2001年1月に発表された政府の e - Japan 戦略の目玉、 「電子政府の実現」が掲げられていたが、漸く今国会3月9日に『デジタル改革関連法案』が審議入りに入った。そのキーワードが『民間人材』の活用であり、デジタル庁は、従来の省庁から人材を集める方式はとらず、まず民間から100人程度を集めて、システム作りなどを行うとしており、これにより兎角行政改革の障害として問題視された『縦割り行政、省益優先を排除する』と言う明確な意図が窺がえる。
電子政府の推進が成功すれば、「行政のスリム化・効率化」と「行政サービス提供における効率化」に大きく寄与するだけではなく 、老害世襲政治家や族議員に牛耳られてきた従来の政治的意思決定メカニズムを変え、 透明性とアカウンタビリティを高めることにも貢献する所が大きい。さらに電子政府は、行政の「簡素・透 明・効率」を追求することで、歳出抑制と経費再配分を実現し財政赤字を削減することにも寄与しうると期待されている。
しかし電子政府推進を成功させる為の鍵は2つある。
一つは電子政府推進によって、技術的にフォロー出来ない老害・世襲議員や既得権益を侵害される族議員、更には省益・天下りを最も重視する官僚達・抵抗勢力の妨害を如何に排除できるか、であり、
もう一つは情報管理に支障をきたす伝統社会の取り決めを如何にシステムから排除する事が出来るである。

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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年02月18日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)

人類は幾度となく大きなパンデミックを経験し、世の中を大きく変革させる契機となったが、とりわけその影響が大きかったのは14世紀ヨーロッパで流行した黒死病(ペスト)である。ドイツ・バイエルン州のアルプスに囲まれた小さな村では10年に一度、村人総出で世界最大規模の「キリスト受難劇」を上演する。村人がペストの猛威に慄き、神に救いを求めたが、その記憶を留め置こうと、「キリストの受難と死と復活の劇」を10年に一度上演すると誓ったことに始まり、今に至るまで、400年近く続いている。それほど、ペストの恐怖は、ヨーロッパ人の記憶に深く刻まれている。そのペストによって労働力・人材が急激に減少し、農民の流動化や、荘園制の崩壊加速に繋がり、新たな人材の登用も招来した。更にペストの脅威を防ぐことのできなかった教会がその権威を失った事も手伝い、封建的身分制度は実質的に解体へと向かった。それは人々に新しい価値観を芽生えさせ、イタリアを中心にルネサンスの契機となって、文化的発展に繋がった。封建社会と神中心の世界観の束縛から解き放たれ、人間性の自由・ヒューマニズムと個性の尊重という近代社会の原理を生み出す源となった。ペスト以前と比較すれば、ヨーロッパ社会は中世が終焉、近代を迎えて全く異なった社会へ大きな変貌を遂げたのである。
今回の新型コロナのパンデミックも今迄とは異なる世界出現の予兆を感じさせる。変化の度合いは国によって異なるけれども、後進性を色濃く抱える日本ではヨーロッパのペストによってもたらされた「旧秩序(アンシャンレジーム)」の変革に迫るものになる可能性も強い。
パンデミックは社会にはびこる格差・不平等・差別主義・価値観の相違・政治家の能力差、日本の場合は国家システムの後進性・老朽化等を顕在化した。
エッセンシャル・ワークが正当な評価を得られず、ブルシット・ジョブが社会を席巻し大きな報酬・富を得て不平等、格差を拡大している事も明らかになり、それを知った多くの人が自らの価値観を変革し始めた兆候も見られる。
麻生副総理は昨年6月、日本のコロナ死者数が欧米と比較して少ないのは、「民度のレベルが違う」と胸を張った。この発言を受けて建築家で名古屋工大名誉教授・若山滋氏は「このウイルスに対する各国の対応とその成否から、国家の『権力』と『民力』の実態が見えてくる、日本の「権力」は弱く「民力」は強い、国の内外で多くの人々がそう感じている」と述べている。「民力」とは麻生の言う「民度=国民の判断力・行動力・モラル」とすれば、「権力=政府の政策力と統制力」であり、如何に「高い民力」が「低劣な日本の権力」をカバーし何とか均衡を保ち得ているのだと言う結論に辿り着く。
コロナと闘う世界各国のリーダーの中で、成果を出せずに『精いっぱい取り組んでいる』と言い訳するのは、恐らく菅首相ただ一人、一生懸命が通用するのは凡そ小・中学生位迄で、以降の年代では無能を推し量るバロメーターとなると言う声も聞こえる。菅は一国の指導者というより政治家失格、「失礼じゃないですか」の逆切れ発言に拍手喝采をする自公議員達、全く同じ低レベルの「権力」集団と言う他ない。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39歳)、台湾の蔡英文総統(63歳)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(65歳)、フィンランドのサンナ・マリン首相(34歳)、アイスランドのカトリーン・ヤコブスドッティル首相(44歳)、ノルウェーのアンナ・ソールバルグ首相(59歳)、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(42歳)、世界的に見て、このコロナ危機に上手に対処している国のリーダーに女性が多いということに注目が集まっている。彼女達に共通する特質は男性と女性の長所である「強さと優しさ」を兼ね備え、特に注目すべきはその卓越したコミュニケーション能力である。国民の恐怖・不安を感じとる想像力、人々に寄り添い励ます共感力、滲み出る知性、それらに裏打ちされた自分の頭で考えた言葉を発するからこそ、国民の信頼を得、高い支持率となって現れるのである。
「自助・共助・公助」「最終的には生活保護がある」、想像力・共感力は皆無、無味乾燥で愛情の欠片も見えない日本の菅首相発言、呂律もおかしく注意深く聞けば奇妙な日本語を発し、挙句原稿の棒読みでは国民の共感など得られる筈も無い。緊急事態宣言発表の最後に「今一度、ご協力を賜ります事をお願いして(私からの挨拶)とさせて頂きます」と言う結婚式紛いの演説を聞いた国民の多くが唖然とし「大丈夫か?」と不安を搔き立てられるようでは、リーダー失格である。
政治家の言葉は人が共感し、協力しようと奮い立たせるものでなければならないが、残念ながら森・小泉・安倍・麻生・菅・二階、この十数年日本の政治を動かしてきた“oldboysclub”代表格の様な連中には、上記の様な女性政治家やフランス・イタリーのトップにみられるような知性に裏打ちされた発信力など凡そ期待できない。曽て森は選挙に際し「無党派層は関心が無いと言って寝ててくれば良い」と暴言を吐き世の顰蹙を買ったが、この連中は同程度の頭脳回路、非難されると「誤解を受けたとすれば遺憾」と他人に責任転嫁し、自己の「発信力・表現力・知性の欠如」の露呈に全く恥じるところがない。小泉元首相の「ワンフレーズ・ポリティクス」の流れを汲み、短い言葉で断言して物事を単純化、丁寧な説明を軽視し国会は数の力で押し切る強引な手法が定着した。政権トップは軽薄・乱暴な言葉に恥じることが無く、権力をメデイアの口封じに乱用された。コロナ対策が後手後手だとの批判に二階は「一々政府にケチをつけるもんじゃない」と恫喝して話題になったが批判を「ケチをつける」程度にしか考えられない意識の低さである。
上に挙げた女性リーダーが国民の強い支持を得るのは彼女達が「国民の生命・財産や自由・人権を守り不安や恐怖から解放する」と言う政治の基本を忠実に実行しようとする姿勢・熱意に溢れるのと同時に、トランプや日本の政治家の様なme-first(自分第一)の気配が微塵も感じられないという事も大きなポイントとしてあげられている。
この10数年日本を牛耳って来た日本の政治指導者達は「優秀な女性を排除する男性優位の温室の中で最初から下駄をはかせてもらい」「地盤・看板・カバン」によって自分達に都合のいい聖域を作り上げ、私利私欲・利権まみれの政治行って来たが、最早現体制による政治支配は財政的にも持続不可能状況が見えて来た。ともすると「ボケ疑惑」が浮上するレベルのoldboysclubメンバーには早々に舞台から退場願い、女性を中心にした斬新なメンバーの登場が日本を破滅から救う道であろう。そもそも男性が女性より優れて居ると言うような根拠は何もない。古来サッチャーの様な例外を除き、戦争を始めるのは短絡脳の持ち主・ギャンブル好きな男性である。女性の政治家は(いちかばちか)の賭けに出て国家・国民を破滅させ死に追いやるような戦争など先ず考えない。国民を幸せにするのは女性政治家の方が確立が高いのは最近のコロナ対応でも明らかになった。
国連は2015年、持続可能な開発目標一つとして2030年までに真のジェンダー(男女区別)平等の実現を掲げた。女性の社会的地位向上は道徳的には勿論の事、経済的にも大きなメリットがある事が判明した。最近の調査報告では、男女格差が多大なコストを生んで居り、国家が男女間の社会的平等を進めれば、教育・健康面の改善や1人当たり所得の増加、経済成長の加速、国際競争力の強化などに繋がると指摘している。特に日本や韓国、ペルシャ湾岸諸国など、女性の就業率が低い国々では格差解消によりGDP(国内総生産)を2桁押し上げる事が可能だと迄述べている。
そんな中で飛び出したのが森・東京オリ・パラ組織委員会長の女性蔑視発言と後継指名問題のドタバタ劇である。この問題で明らかになったのは、森に限らずoldboysclubメンバーである日本の指導層のジェンダー意識の低さと後任使命時に見せた意思決定の不透明さである。森会長が規約を無視し元日本サッカー協会会長の川淵氏(84)を後任に要請した経緯が「密室」との批判を受けて設置された検討委も、検討内容は一切非公開、結局は路線に沿って森会長の息がかかった五輪相の橋本聖子氏(56)に決定し森の院政体制が維持される事になった。森にとっては自民党以来今に至る迄やってきた事を其の儘踏襲しただけで罪悪感など微塵も無い。そこに問題の根の深さ、問題の大きさがある。
菅首相は一連の問題を問われ、「私が判断する問題ではない、組織委で人事を決める。独立した法人しての判断を尊重する立場だ。」と啖呵を切ったが、それでは日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否との整合性をどうとるのか。学術会議は10億円の税金を投入している政府機関であり、会員は公務員であるから、政府には任命する責任がると述べていたが、大会組織委員の役職員は見做し公務員であり、オリ・パラ大会には膨大な税金が投入されている。明らかにダブルスタンダード、ご都合主義の最たるものである。

次回は政治改革を中心に
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(6)へ続く

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年02月08日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(4)

昨年9月、59歳という若さで早世したアメリカの社会人類学者デヴィッド・グレーバーの著作『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』が静かなブームになっている。
2017-9-2、小生ブログ「慈善資本主義」の冒頭で触れた(We are the 99%=私たちは99%だ) のスローガンの考案者こそ、このデヴィッド・グレーバーである。彼によれば、世界のテクノロジーは近年飛躍的に進化したが、その多くが無意味な仕事(「クソな仕事」=”bullshit job”)を作り出す為に使われ、必ずしも社会の役に立っているとは思えない。20世紀になり急拡大した金融サービスや広告・テレマーケティングなどの新しい情報関連産業、企業法務、人事、広報といった管理系のホワイトカラーの仕事の中には消え無くなってしまっても、左程困らないし、寧ろそのほうが社会が良くなるかも知れない類の仕事が多く含まれていると述べている。コロナ禍での看護師不足が深刻化する中で、その報酬が仕事に見合っていないという声が強いが、看護師同様、社会的価値がある仕事をしている人たちの賃金が低いのは何故なのか、世の中に蔓延する「どうでもいい仕事」が高い報酬を食むメカニズムの中でこれを解明している。
多種多様な職業の社会的価値を、すべて測定することは至難の業であるが、幾人かのアメリカの経済学者によって、夫々の職業が経済全体に対し、「どれだけの量の価値」を「追加」、或いは「減額」しているかを計測しようと多くの文献調査を進め、2017年にその結果を発表した。彼らの結論では、中には測定不可能なものもあるが、貢献度を計算できるものの内で最も社会的に価値のある労働者は「医療研究者」であり、その職業についている人びとは「1ドルの給料につき社会に9ドル分の価値を追加」していると言う結論を、コロナ蔓延以前に導き出していた。片や金融部門で働いている人達は平均して1ドルの報酬につき社会から1ドル以上の価値を差し引いているにも拘らず彼等は大抵極めて高い報酬を得ていると指摘している。分析結果の全容は、次のようなものである。(▲はマイナス)
【•研究者 +9  •教師 +1  •エンジニア +0.2  •コンサルタントとIT専門家 0  •弁護士 ▲0.2  •広告マーケティング専門家 ▲0.3  •マネジャー ▲0.8   •金融部門 ▲1.5 】 
おそらくリストの中で、教師は少なくとも平均値において最も賃金の低い労働者であり、研究者の多数はギリギリのところで生活しているのが実情である、とも指摘している。
一方同じような調査がイギリスのニューエコノミクス財団が行っており、「社会的投資収益率分析」と呼ばれる手法を用いて、「3つの高収入の職業」と「3つの低収入の職業」、合計6つの代表的な職業が検証されている。その結果を要約すれば、次のようになる。
1) シティの銀行家 年収約500万ポンド、1ポンドを稼ぐごとに推定7ポンドの社会的価値を破壊。
2) 広告担当役員 年収約50万ポンド、給与1ポンドを受け取るごとに推定11.50ポンドの社会的価値を破壊。
3) 税理士 年収約12万5000ポンド、給与1ポンドを受け取るごとに推定11.20ポンドの社会的価値を破壊。
4) 病院の清掃員 年収約1万3000ポンド(時給6.26ポンド)、給与1ポンドを受け取るごとに推定10ポンドの社会的価値を産出。
5) リサイクル業に従事する労働者 年収約1万2500ポンド(時給6.10ポンド)、給与1ポンドを受け取るごとに12ポンドの社会的価値を産出。
6) 保育士 年収約1万1500ポンド、給与1ポンドを受け取るごとに推定7ポンドの社会的価値を産出。
 調査者達は、このような計算は往々にして、主観的であること(特に税理士には疑問符が付くが、イギリスでは彼等が暴利をむさぼっていると言う社会的背景があるのだろう)、この研究が収入規模の点でトップとボトムに集中しているということを認めている。その結果、報酬の面ではおおよそ中位で、ほとんどの場合、少なくともその社会的便益がポジティブでもネガティブでもなくゼロのあたりをうろついている大多数の仕事を除外してしまっているが、それでも「他者のためになる労働であればあるほど、受け取る報酬がより少なくなるという一般的原則」が、強力に裏づけられていると指摘している。この原則には当然例外が存在するが、その典型は医者である。彼らの給与額は、アメリカでは、最上位を占める傾向にあり、それ相当の有用な役割をはたしているように見える。しかしながら、それを否定する医療従事者達も多い。 例えば薬剤師の中には、多くの医者が人類の健康や幸福には極僅かの貢献しかしておらず、いんちき薬(=プラシーボ)の自動販売機と化しているという確信を持つ人達が多い。確かに1900年以降の人間の寿命は延びたが、その圧倒的部分が医者の功績と言うより、実際には衛生学や栄養学、そして公衆衛生が改善されたことによるところが大きいと言うことが、しばしば引き合いに出される。病院では「極めて給与の低い看護師や清掃員」こそが、「極めて高額の収入を受け取っている医者達」よりも、実際には健康状態の維持・改善により大きな貢献をしていると言うのである。確かに私自身の経験からも、薬剤師の方がより有用なアドバイスを提供して呉れるし、患者の状態を考慮せず無暗に薬剤を投与したがる藪医者が多いのは事実である。
今回のパンデミック危機を通して、我々にとって最も必須の労働(エッセンシャル・ワーク)の殆どは、何らかの種類の「ケア労働」であることが明らかになった。他の人びとの世話をし、病人を看護し、生徒に教える仕事。物の移動や修理、清掃や整備に関わる仕事である。
生産を中核に据えた経済体制が衰退し始め、非製造部門が支配的になっていくというイメージが強かったが、サービス労働は実はそれほど増えておらず、むしろ管理部門(ブルシット・ジョブの巣くう所)の肥大を招いていること、そして、サービス労働をふくむケア部門の意義が大きくなっていることが浮かび上がったのである。
私たちが今まで「当たり前」だと思っていた生活は、エッセンシャルワーカーの弛みない努力により支えられて来た事、「当たり前」と思っていた事が、実は本当に「有難い!」という事なのだと言う事に改めて気づかされたと言えるだろう。今こそ、エッセンシャルワーカーの重要性をより理解し、社会がその支援に繋げる潮流を作っていく事が極めて重要である。
尚、エッセンシャルワーカの一例として次のような職業が該当すると考えられている。
●医療福祉…医師/看護師/薬剤師/介護士
●公共インフラ…水道局職員/電力会社職員/通信会社職員
●保安…警察官/消防士
●行政…市役所、区役所職員
●一次産業…農家/漁師/酪農畜産
●製造業…食品製造業/日用品製造業
●運輸物流…交通局職員/JR職員/バスドライバー/トラックドライバー/宅配スタッフ/倉庫内作業
●流通…コンビニ店員/スーパー店員/ドラッグストア店員
●保育…保育士

この様な視点に立って日本の現状を見た場合、安定的に極めて高収入を得ているにも拘らず、社会的価値を作るどころか大きく棄損している典型は自公政権の国会議員達とそれに群がり甘い汁を吸う人間達であろう。
1月28日オーストラリアの有力シンクタンクが、世界98カ国が新型コロナにどの程度うまく対応できたかを感染者数、死者数、検査数、陽性率等で評価しランキングにまとめた。 トップはニュージーランド、2位ベトナム、3位台湾、オーストラリア8位、シンガポール13位、アジア太平洋勢がトップ10のうち6カ国を占めた。これらの国は早い時期にコロナを抑え込み、経済活動を再開して国民の痛みの軽減に成功している。日本は情けないことに45位、葉茶滅茶が「日本モデル」と豪語したのは一体何だったのか。感染者数と死者数が世界最多のアメリカは94位、ヨーロッパで最も死者数が多いイギリスは66位、最下位はブラジルだった。 又シンクタンクは「経済発展レベルや政治体制の違いによるランキングへの影響は想定より小さかった」、「指導者への市民の信頼、指導者による適切な国家運営が重要である」と分析、国家として成長している国の方がコロナ対策がうまくいっている、中国は公開データが少ないため調査対象からはずしているが、入れていればトップ争いをしていたであろう。中国を見習った国の対策は成功していると述べている。「日本も見栄を張らず、素直に中国をお手本にしていれば、ここまで感染が広がらなかった」、又「感染者を抑え込み経済活動を再開し経済をプラス成長に導き」「失業者や事業者に大きな痛みを感じさせることも無く」、従って「ダラダラと巨額の政府支出重ねる必要も無かった」のではないだろうか。
昨年11月25日「勝負の3週間」と大見得を切ったものの、「Go To トラベル」と言う愚策にこだわり過ぎ「『外出は自粛、しかし「Go toトラベル]で旅行は奨励』と言うブレーキ・アクセルの同時操作のチグハグ行政を推進し、「年末年始は検査件数が減るから感染者数が減る」と言うような信じられない言説を頼りに、大した勝負手も打たず3か月を無為に過ごした為、感染爆発に繋がった。この大失態を演じた後の1月7日の記者会見で「1カ月後に必ず事態を改善させる」と大見栄を切って発布した「緊急事態宣言」は大方の予想通り物の見事に失敗に終わり、1カ月後の3月7日まで首都圏や関西圏など10都府県を対象に延期した。
こんなことになってしまう根本原因は、昨年1月、無能を絵に描いたような葉茶滅茶安倍政権とコロナ感染症対策専門家会議メンバー、彼等のコロナ対策が初めからボタンを掛け違え、間違った基礎の上に築かれてきたことによる。
2020年1月24日の英医学誌『ランセット』で香港大学の研究者が発表した「無症状感染者も感染を広げてしまうという新型コロナウイルスの最大特徴」と世界中が注目した重大報告を見落として、間違った前提の下に「日本モデル」と呼ばれる各地の保健所を中心に感染者の濃厚接触者を追及する「クラスター対策」に重点を置きすぎた為、無症状感染者が巷に横行し爆発的感染に繋がったのである。ダイヤモンド・プリンセス号で神戸大の岩田医師が指摘しているように感染症対策の基本は「ウイルスの居るところ,居ない処を明確に分ける事」であり,ウイルスは人間と共に移動するのであるから、人間もPCR検査を広範囲に実施して、感染者を割り出し隔離することが基本である。オリンピック招致への忖度か,未だに屁理屈を付け公的検査が増えないのは政治家、専門家会議・厚労省の犯罪的行為である。重要な1年間を葉茶滅茶政権の「ええじゃないか、ええじゃないか…」のお気楽政治を継承し、ステーキだパンケーキだと飽食三昧の限りを尽くして、医療体制、検査体制の充実を図る施策を放置した付けが回ってきたのである。
「コロナ対策と経済対策の両輪」と言う最早冗談としか思えない様な政策で経済は滅茶苦茶、倒産と失業者が相次ぎ、コロナは感染爆発と医療崩壊と言う悲惨な結果を招いてしまった。ブレーキとアクセル同時政策の為、政策コストは膨大な金額に跳ね上がり、無秩序な借金財政は将来に大きな禍根を残す事になった。
テレビ出演した菅総理は「年末に2000人を超える東京の感染者を想像できたか?」と問われ、「いや、想像はしていませんでした」と悪びれる様子もなく無表情に答えていたが、 最悪の事態を予測して先手先手で対処するのが危機管理の常識、責任感の欠如も甚だしい。
27日の参院予算委員会で蓮舫議員から「自宅・宿泊療養中に容体が急変し、亡くなった感染者への思いを聞かれ」、菅は「大変申し訳ない思いだ」などと2度陳謝したが、「そんな答弁だから言葉が伝わらない。国民に危機感が伝わらない」と畳みかけられると、菅は「失礼じゃないでしょうか、私は精いっぱいやっている」とぶちぎれ答弁を行ったのである。日頃の言動からとてもじゃないが、一生懸命やっているとは映らない。醜い葉茶滅茶安倍が「美しい日本」と叫んだり、会食三昧総理が「目に見えない新型コロナウイルスと一日一日戦い抜いてきた。国民の命と暮らしを守るのが私の使命だと再認識した」と語るなど日本の総理は余程能天気で無いと務まらないようだ。「もしそれ程一生懸命やったのであれば、そのお粗末な結果は菅総理の資質の欠如が露呈したと言わざるを得ない。前任の葉茶滅茶総理の常套句・政治は結果責任なのである。
「金を出すから旅行に行け、会食に行け」、その結果が感染爆発に繋がった為、「移動するな、会食するな、金は出さない」に急変、営業時短・休業の命令違反に50万円以下の過料、コロナが判明して入院を拒否したら懲役刑にすることまで提案した。
国民の多くが私生活を犠牲にし耐えている中、自民党と公明党の幹部が午後11時過ぎまで銀座のクラブに滞在していたことが判明した。自民党の松本純国対委員長代理、大塚高司衆院議院運営委員会理事、田野瀬太道文科副大臣の3人が女性二人を同伴一人数万円もする高級イタリアレストランで会食後銀座の高級クラブ2軒をはしご、豪遊を重ねていた。問題発覚後、子供だましの嘘を平気で連発し、反省の色皆無、品性下劣丸出しの記者説明を行い、世論を抑えきれなくなった為、自民党は離党勧告と言う軽微の処罰で幕引きを図った。
一方公明党のホープと称された・遠山清彦前財務副大臣、ある会社の社長と食事をした後20時に店を出、閉店している闇営業の高級クラブの裏口から侵入し、社長の話を聞くことになった。「小さな声を聴く力」をキャッチフレーズにしている公明党、これが実態である。公明党は創価婦人部の声を恐れ遠山を議員辞職させた。2度と政界復帰すべき人物ではない。
入院を拒否した人に懲役刑を科す前に、嘘をつく議員に懲役刑を科すことが先決、日本政治の腐敗、崩壊は「葉茶滅茶安倍前総理に端を発したウソをつく政治」によってもたらされていると言った人がいたが、まさに正論である。
嘘100回超、頭が腐った葉茶滅茶を総理大臣にした為に、政府、自民・公明、官僚まで頭が腐り嘘をつく事に罪悪感を無くしてしまった。
それにしても、議員の多くが何故これ程豪遊できるのか。前回ブログでも触れたが、何の取柄も無く、大した仕事もしていない議員に余りにも報酬が高すぎる、暇があり過ぎるのではないだろうか。
この辺も踏まえ次回行政改革について触れたい。

1月21日朝日朝刊に「やく みつる」氏の政治風刺漫画が出た。菅に似た僧侶が読経する絵と共に次のような般若心経と思しき文字が記されていた。やく氏の漫画としては久々の大ヒット作、菅政権の愚かさ加減を端的に描写している。般若心経を読経するように読むと、ぴたっと嵌って思わず笑ってしまった。
「緊急事態宣言発令 疫病退散懇願雖 感染拡大不止 医療崩壊病床逼迫 後手後手対策後手 五輪開催今尚堅持 疫病克服証明誇示 中止判断一切慮外安心 喧伝一切無慮 空疎文言棒読演説 国会多難暗澹総理」

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)へ続く



「テルテル総理ご都合主義の改革路線」...(3)

2020年12月24日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」...(3)

世の中がバブル経済で浮かれていた頃、赤坂や新橋の料亭前に黒塗りの高級車が列をなし異様な光景を呈していた。密室政治の元凶と世の批判を浴びた「待合政治」である。バブル崩壊後は下火になったように見えるが、批判をかわす為、単に待合からホテル、高級レストランに場所を移しただけに過ぎない。安倍の時代から頻度が増えたが、菅の場合は一種病的である。
待合政治は幕末、長州・薩摩を中心とする倒幕に逸る下級武士集団が、藩や出入りの富豪を脅かし搔き集めた金で、京都の「池田屋旅館」や、祇園の「一力亭、魚品と言ったお茶屋(=待合)」で豪遊しながら倒幕の策を練ったのが発端である。維新前後には厨房を備えた「料理茶屋」に変貌し、伊藤博文達「元勲」が酒を飲み、芸者を呼んで宴会をしながら政治を論ずることが習慣となった。成り上がり者の下級武士が殿様や上級武士を真似て我が世の春を満喫した悪弊が今も形を変えて息ずいているのである。世界に類例の見ない待合政治、心根の卑しい政治家達には特権階級を意識できる恰好の場として、敗戦を機に世の中が大きく変貌した中でも雑草の様にしぶとく生き続ける「悪弊の最たるもの」である。
加藤官房長官は菅首相の各界の人との会食は「幅広い情報集め」に不可欠だから、今後も継続すると反省の姿勢全く見られず、豪華会食に呼ばれたい茶坊主評論家達も情報収集手段として必要だと、異口同音の大合唱である。
しかし王・江本・小早川と言った元プロ野球選手、俳優の杉良太郎やみのもんた、このような会食相手から得られる国家運営に必要な貴重な状報とは一体どの様なものなのか。お気に入りの一握りの人間の情報に頼って国家の重要事項を判断するのは極めて危険な事だとは多くの識者が指摘する処である。

その妥当性の問題はさて置き、3か月で朝・昼・晩、1500回の豪華会食、その費用の殆んどは官房機密費から支出されている可能性が高い。第2次安倍内閣が発足してからの7年間で使った「内閣官房機密費」は86億円余、そのうち領収書不要で会計検査院にも説明の必要のない“つかみ金”=「政策推進費」名目で78億円もの巨額な税金が使われたことが明らかになっている。新型コロナウイルス対策として、260億円をかけるアベノマスクや「桜を見る会」など、税金の不可解な使い方が次々と明らかになる安倍内閣、当時の機密費は菅官房長官自身が管理し、菅氏に渡った時点で支出が“完了”したものと扱われる為、使い道は菅や安倍首相官邸の裁量で決まる為、私的に流用しても一切表面化しない構図になっている。只関係者から漏れ伝わる情報では「外遊する国会議員に対する餞別」、「政府が国会対策と称して、曽ての筆頭野党であった社会党等、野党への見舞金」、「一部有名言論人やマスコミ懐柔資金」「政治評論家への盆暮れの巨額な謝礼金」などとその実態の一部を故塩川財務大臣がばらしている。文芸評論家の福田和也は「小泉時代にワタシが政権の悪口を書いていたら、内閣調査室の人間が来て、50万円を握らされそうになったことがあると著書の中で述べている。政治家主催のパーテイ券購入や、議員の自宅建設費、背広仕立て代、等私的流用の噂も後を絶たない。 第3次小泉改造内閣で内閣官房長官を務めた安倍晋三が支出した官房機密費の使途公開を要求する行政訴訟がおこされている。日本共産党の塩川鉄也議員は、2010年3月、議会で安倍が内閣官房長官在任期間中に「会合」の名目で計504回の官房機密費支出をおこなっていたことが判明したと主張、乱脈を極めた実態を報告している。
この胡散臭い使途不明金の使途はこれに止まらない。官房機密費予算14億円の内「内閣特別調査費」に振り当てられるのは2億円、残り12億円と、それ以外に外務省機密費約55億円から20億円を上納させるので、官邸の機密資金は優に年間30億円を超えるのである。こんな巨額な金が何の遠慮も無く自由に使える立場に居た安倍・菅、しかも元々自己抑制意識の乏しい二人、感覚が麻痺しブレーキが効かなくなって、今の乱脈ぶりに繋がっていることが容易に推測できる。これは一種の公金横領である。10月3日「Eggs ’n Things原宿店」と言う有名なパンケーキ店で60名近い首相番記者オフレコ懇談会が開催された。朝日、東京新聞2社は欠席したがNHK・西日本新聞が幹事会社として取り仕切り、批判が高まったので、外部からの詳細問い合わせには一切応じない、2千円程度の会費制にすると取り繕ったが上辺だけの話だろう。赤坂待合政治が原宿パンケーキ屋に変貌したのである。立派な官邸を作ったのだから、なぜ活用しないのか、全く以って宝の持ち腐れ、パンケーキをほお張る番記者の悲しくも卑しい姿が目に浮かぶ。
「危険・過酷な医療従事者がコロナな影響で減給や満足にボーナスも出ない為、退職者が後を絶たない」「コロナ不況で職を失い、ローンが払えずやっと手に入れたマイホームを泣く泣く手放さざるを得ない、一日一食の子育て所帯の悲鳴」と言うような暗く・悲しい話が数多く伝わってきている。その様な状況を無視し愚にもつかない情報集めの豪華会食・散財の話である。国民の為の政治等とは口が裂けても言える話ではないだろう。
自公政権議員の金にまつわる不祥事が後を絶たないのは政権トップのやりたい放題により政界全体にモラルの低下が蔓延している結果である。
政権与党を中心とする政治家は「政治家を稼業にし生活の糧、金儲けの極めて便利な手段」と考えている為、世襲化しその権益を維持する為有りとあらゆる努力を惜しまない。安倍の桜の会招待による選挙民買収もまさにその典型である。政権与党の議員が政権幹部に異論を唱えず盲従し、或いは一丸となって政権維持に狂奔するのも稼業を維持する為である。汚い金に手を付け、選挙民を買収するのも全ては稼業維持が目的である。
今年の国会開催は通常国会1月20日~6月17日の150日間、臨時国会10月26日~12月5日の41日間、実働はなんと190日。一方彼らの年収は「歳費+期末手当(ボーナス)」で平均2,200万円、それ以外に政治活動費として1)使途公開・報告義務のない「文書・通信・交通・滞在費」が年1200万円、2)「立法事務費」、年780万円、3)政党によっては盆暮れの「氷代・餅代」が政党交付金から100~400万円、これらの金が監獄に収監されていようと議員辞職しない限り支給が保障される。景気が悪く、税収がガタ減りでもお構いなし、ボーナス減額・返上等聞いたこともない。
国会議員の年収を比較すると日本:2,100~2,200万円 アメリカ:1,400~1,600万円 カナダ:1,100~1,300万円
ドイツ:1,000~1,150万円 フランス:900~,1,000万円とずば抜けて高い。
総理大臣の場合は別途特別職給与法の定めにより、基本給は月収205万円、それに各種手当やボーナスなどが加わって、年収は大体5,000万円程度(最高裁長官と同じ)、国務大臣3000万円、副大臣2800万円。これに対しアメリカ大統領4200万円、ドイツ首相3500万円、イギリス首相2000万円。国会で官僚の差し入れメモが無ければ答弁が出来ない閣僚ですらこの巨額報酬である。
何故このような巨額の報酬を出さねばならないのか。一番に帰ってくる答えが「国会議員の質を落とさない為」であるが漢字が読めない、日本語が覚束ない、意見表明が出来ない総理がいる国、十分議員の質は落ちており、いっその事報酬を半減すれば議員の質向上に繋がるのではなかろうか。
政府が閣議決定した来年度予算案見ると「財政規律のたが」が完全に外れている。来年度一般会計の総額は106兆6100億円程度で、今年度の102兆6580億円を超えて過去最大となる見通しで、100兆円を超えるのは3年連続である。今年度は、3度の補正予算を加えると当初予算の約1.7倍に膨らんだ歳出のために、国は112兆円、新たに借金を増やした。これは、当初予算の一般会計総額を上回る驚くような規模の借金だ。我が国の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準である。必要なお金の3分の2を次の世代に頼る状態、日本は世界でも際だった「借金大国」だが、コロナ対応を理由に財政健全化の声はかき消され、25年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化する目標は何処かにすっ飛んでしまったかのようである。
今の自公政権には政権維持(=稼業の維持・保全)の為には、追加財政支出はやむを得ないとの考えが根底にある。財政赤字が膨らむ原因は、自分の腹は痛まない「他人のお金」に頼っている処に原因がある。他の人が払った税金やこれから生まれてくる様な将来世代が返済負担を負う国債=他人のお金という感覚から抜けきれない為無駄遣いが後を絶たず、稼業維持の為、予算の分捕り合戦が始まるのだ。
菅内閣発足時、新任の文部科学副大臣と政務官が18日深夜に初登庁した際、職員ら100人以上が待機して出迎えたとの報道を受け、河野行革相が「ヤメレ!」と号令を発し有名となったが、この時女性職員が豪華な花束を贈呈している映像を見て、小さいことだが税金の無駄遣いが垣間見えたと思ったものだ。豪華な花束も税金、職員の残業料・食事代、帰宅の為のタクシー・ハイヤーの費用、一事が万事税金の無駄遣いオンパレード。自分の懐が痛む個人や中小企業の経営者ならあり得ない話である。全ては他人の金=自分の懐が痛まない処から来ている。
今年の9月イタリアでは国民投票により議員定数大幅な削減の憲法改正を行った。働かない政治家は不要とばかり、批判を押し切って、下院の定数を630から400へ、上院は315から200へと言う荒療治である。イタリアは日本と同じ時期に政権交代のある民主政治を実現する為、小選挙区比例代表並立制を導入した。イタリア政治は長い間混迷を続けたが、政治改革を成功させたのはイタリアだ。政党間の競争が働き、政権交代の緊張感が適度の改革を生み出している。
財政赤字の削減も日本より実効を上げ、大胆な地方分権も実現させた。両国の大きな違いは有権者の知的水準の違いではないだろうか。イタリアの投票率は70%台を維持しているのに対し日本は50%すれすれの水準、有権者の政治参加意識の差が極めて大きい。日本人が何時「茹でガエル現象」から脱却できるのか。
携帯電話料金の値下げや学術会議メンバー等不要不急の問題で「政治をやってる感」を出している暇はない。



「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(4)