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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年03月10日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)

政府は今国会で「特例公債改正案」を可決した。現行財政法では借金に頼った財政運営は禁止されているが、税収不足を補う為に1年限りの特例法を設け赤字国債の発行を認める事にしたものである。しかし今年度はコロナ関連、社会保障関連の支出増加に対応するものとして5年間、審議無しで赤字国債発行を認めようと言う野放図極まりない法案なのである。 
今年度はコロナの影響で税収が落ち、赤字国債は前年の約3倍、90兆円、建設国債などを含めた国債発行残高は今年度末には984兆円と言う天文学的数字になる。脳天気葉茶滅茶安倍政権の財政規律無視の流れを受け、今や与野党共に歳出拡大一辺倒、「エ~じゃないか、エ~じゃないか」の掛け声にかき消され、財政再建・無駄な支出抑制と言う声が全く聞こえてこない。
中小企業に支給する「持続化給付金」の民間事務委託費1600億円、「Go Toキャンペーン」の事務委託費3100億円、国会でも問題視されたが結局明確な説明がないまま電通やJTBに巨額な税金が注ぎ込まれる結果となっている。全て闇の中に消えた税金、後世に付け回された借金である。
世界的異常気候変動の影響も受けて新たなパンデミックや災害大国・日本が大規模災害に見舞われ、膨大な財政支出が必要な事態に陥る可能性は絵空事ではないと懸念される。
此の儘、規律無視の財政運営を放置すれば、一寸した切っ掛けでデフレが一挙にインフレに転換し日銀の破綻、国家財政の破綻へと最悪のシナリオが現実味を帯びてくる。
インフレ要因の1つは実体経済における供給不足であるが、とりわけレアー・メタルの様な資源不足がボトルネックになって、需給ひっ迫の引き金になる可能性がある。世界経済の回復局面では有限の希少資源の奪い合いになり、資源輸入大国の日本は特に大きな影響を受け易い。
もう1つの要因は、「マネーの過剰供給」、「財政の急激な悪化」による通貨価値の下落である。
IMFによれば、日本の一般政府純債務の対GDP比率が177.1%に達し、主要先進国では際立って高い(2位の米は100%)。又、日銀の資産規模は保有国債大きく、GDPに対し134.0%に達し、この数字も米欧主要国を大きく上回っている(米は30%台)。
新型コロナ禍で世界的に財政拡大と量的金融緩和策が実施され、財政・金融「双子の肥満」が懸念されているが、日本の状況は突出している。この「双子の肥満」が原因で国債市況の急落、日銀のバランスシート悪化、国債や株式のパニック売り、日銀の収益悪化、その結果としてインフレに歯止めが効かなくなり国民経済は壊滅的な打撃を被る事になる。
NY州立大のS・ケルトン教授が提唱するMMT(現代貨幣理論)が話題になっている。日本の状況を引き合いに出し、「国は国債を発行し幾らでも借金をして良い」という考え方に与党を中心に同調気配も見られるが、このような超楽観的、根拠無き貨幣論に惑わされる事は危険極まりない。現状は政府が発行した国債を手元資金の運用難の銀行等・民間部門がこれを引き受け、満期が近づくと日銀が買い取り、「日銀乗換=一種の期日延長」と言うインチキ手法で政府が返済しなくても良いような仕組みになっているに過ぎない。デフレが止まれば今度はハイパーインフレを警戒し通貨発行が出来なくなる為、増税により国民が負担せざるを得なくなるのである。
古来日本人の特性として「正常性バイアス」が強すぎ安全神話が蔓延して、戦争、災害、原発、コロナ等最悪のシナリオを想定し対策を立てることが出来ずに、結局被害を大きくし破局を招いてしまった様な苦い経験が数多くある。
大きな歳入増が期待出来ない現状、日本経済への壊滅的打撃を回避する為には、無駄な支出を抑え、天文学的な政府の債務残高の増加に歯止めをかける事が我々に課された次世代への大きな責任である。
歳出削減の話が出ると自公政権は社会保障費を削減すると言う様な、弱者国民の窮乏化政策に話を持って行きたがる傾向がみられるが、完全に方向が間違っている。国民に痛みを求める前にやるべきは徹底した「政治改革・行政改革」による行政システムのスリム化と効率化、「行政の無駄-無理・ムラ」排除による行政費の削減である。
河野行革担当大臣が公務員の働き方改革として、闇残業廃止の徹底を図ると胸を張って居たが、政治家の中で最も期待する行革担当大臣の発言としては極めてお寒い限りだ。担当大臣の任務は公務員の残業の原因を突き止め、行革に依りそれを除去して午後5時には帰宅できる環境を作る事である。行政費削減の為には公務員の削減も含め同時並行的に進める必要があり、抜本的な政治・行政改革が必要である。
最近優秀な学生の官僚離れが顕著になり、先行き行政の劣化を懸念する声が多くなった。学生の官僚離れの主たる原因が収入の多寡ではなく、職場が自己実現の場ではなくなってきていると言う点が挙げられている。河野大臣が問題にした官僚の深夜勤務の主たる原因が若手官僚の『野党からの質問取りと首相・閣僚の為の答弁書の作成』にある。首相の記者会見でも都度記者クラブメンバーから質問書を提出させ、官僚が答弁文書を作成する。漢字にはルビを振る事までせねばならない。一流の最高学府を優秀な成績で卒業した若手官僚が知性-教養・品位が無いばかりか、説明や演説と言った『コミュニケーション(プレゼン)能力』、『政策能力』、『行政組織運営能力』等すら持ち合わせない無能な国家議員の小守役で残業を強いられ、挙句人事権を振り回されて正当な意見を述べる事さえ制限される職場に嫌気がさすのは当然だろう。深夜残業の温床である『対面・口頭の質問取り』をオンラインや電話に切り替えるのに難色を示すのは国会議員の意識の低さと無能が原因である。
2001年1月に発表された政府の e - Japan 戦略の目玉、 「電子政府の実現」が掲げられていたが、漸く今国会3月9日に『デジタル改革関連法案』が審議入りに入った。そのキーワードが『民間人材』の活用であり、デジタル庁は、従来の省庁から人材を集める方式はとらず、まず民間から100人程度を集めて、システム作りなどを行うとしており、これにより兎角行政改革の障害として問題視された『縦割り行政、省益優先を排除する』と言う明確な意図が窺がえる。
電子政府の推進が成功すれば、「行政のスリム化・効率化」と「行政サービス提供における効率化」に大きく寄与するだけではなく 、老害世襲政治家や族議員に牛耳られてきた従来の政治的意思決定メカニズムを変え、 透明性とアカウンタビリティを高めることにも貢献する所が大きい。さらに電子政府は、行政の「簡素・透 明・効率」を追求することで、歳出抑制と経費再配分を実現し財政赤字を削減することにも寄与しうると期待されている。
しかし電子政府推進を成功させる為の鍵は2つある。
一つは電子政府推進によって、技術的にフォロー出来ない老害・世襲議員や既得権益を侵害される族議員、更には省益・天下りを最も重視する官僚達・抵抗勢力の妨害を如何に排除できるか、であり、
もう一つは情報管理に支障をきたす伝統社会の取り決めを如何にシステムから排除する事が出来るである。

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(6)へ続く
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