美肌を保つ秘訣として、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が活発に行われる夜は、十分な睡眠をとることが欠かせません。そしてこれは、アトピー症状の改善にも重要となります。
アトピーの方は、色々なことに気をつけたり、心がけたりと症状を悪化させないために、あるいは改善させるための努力をしているかと思いますが、こちらでは、睡眠の重要性について、今一度確認してみましょう。
寝ている間に体内で起きていること
私たちが睡眠をとっている間、体内ではさまざまなホルモンが分泌されています。
眠りにつく前には「メラトニン」という眠気を促すホルモン。睡眠中は美肌形成に欠かせない「副腎皮質ホルモン」や「成長ホルモン」があります。
他にもさまざまなホルモンが分泌されて、健康や美容に関わる身体機能の回復や調整といった活動が営まれています。
睡眠不足とアトピーに関する実験結果
徹夜をしたり睡眠不足で迎えた翌朝は、肌の調子が悪かったり、頭がすっきりしないなどの不調を実感すると思いますが、アトピーの場合はどうでしょう?
ここでは、アレルギー性鼻炎の方、アトピー性皮膚炎の方、そしてアレルギーのない方、それぞれ25人を被験者とした実験結果をご紹介します。被験者全員に、一晩完全に徹夜をしてもらい、徹夜前と後で、それぞれスギ花粉に対するアレルギー反応の有無を計測しました。
結果は、アレルギー性鼻炎の方とアトピー性皮膚炎の方ではアレルギー反応の増強が顕著でしたが、アレルギーのない方では徹夜前も後もアレルギー反応は見られませんでした。この結果から、アトピーの方の睡眠不足はアレルギー症状の悪化に直結するという結論が導き出されます。
アトピー悪化と不眠スパイラル
睡眠不足が悪いとわりましたが、うまく眠れない時もあるでしょう。時に、「眠らなければ」という気持ちと、「眠れない…」という状態が続くことでストレスが溜まり、ますます眠れないという「不眠スパイラル」に陥ってしまうケースもあります。不眠とストレスは、ともにアトピー悪化の一要因です。
不眠スパイラルを抜け出す手段
不眠スパイラルから抜け出し、快眠を手に入れるための手段をいくつかご紹介します。
<導眠を工夫する>
寝る時間になったからベッドに入り目をつぶる…これですんなり眠ることができればいいのですが、どうも寝付けない…という方は寝る前に一工夫してみましょう。就寝1時間前くらいから、携帯やPCのモニターを目にしないようにして、部屋の明かりも間接照明に切り替えて明るさのトーンを落としましょう。
ホットミルクか温かいハーブティーを飲む、読書をする、好きな音楽を流すなど、リラックスできる環境を整えます。こういった工夫を就寝前の一種セレモニーのように考えて習慣化すると、体も「これから眠るぞ」という体勢に入りやすくなります。
<時には薬も使用>
薬を使用することに抵抗感のある方もいるかもしれませんが、悪循環から抜け出すためには、薬に頼るのも一つです。精神安定剤や睡眠導入剤、かゆみのせいで眠れない場合は抗ヒスタミン剤が処方されます。薬の力で眠ることができたら、だんだんと夜は眠れる体になってくるはずです。
(この記事の監修: 赤坂ビューティークリニック 院長 / 青山秀和 先生)