先日、同僚からバレンタインデーのお返しをいただいた。今年はカレンダーの都合で、13日の金曜日にやり取りするところがほとんどだと思われる。
帰宅するなり、早速娘のミキと夫にお披露目した。
「見て見て、これはメリーのチョコレート詰め合わせよ。可愛い缶だね~」
「あとで食べたーい」
「それから、こっちはゴディバのチョコとクッキーよ」
「あ、ダークチョコレートチップスって書いてある!」
ゴディバのチョコレートが美味しいことは重々承知しているが、クッキーは食べたことがない。ためしに1個、ミキと半分こにして食べてみた。
「うわ、何これ!! 今まで食べた中で一番美味しいよ~!」
ミキが感動して叫び声を上げた。
たしかに、普通のチョコチップクッキーとはひと味もふた味も違う、気品の漂う味わいだった。サクサクのココア生地と、濃厚でビターなチョコチップの出逢いとでも言えばよいのだろうか。甘すぎず、苦すぎず、香り豊かでまろやかな口当たりなのだ。
「…………」
さっきから、夫は一言も発しない。多分、私とミキへのお返しをまだ用意していないのだろう。去年はちゃんと準備してあったが、一昨年は見事に忘れられていた。ミキがひどくガッカリしていたことを思い出し、夫に確認する意味も込めて、いただきものを並べたというわけだ。
これで、明日のホワイトデーは大丈夫だろう。
今年のホワイトデーは風雨が強く、荒れた天気となった。
夫は、その日の朝から出かける用事があり、夕方に帰ってきた。
「ミキ、おやつにしよう」
4時すぎ、娘に声をかけお茶をいれた。夫はテレビを見ていて動く気配がない。
あれ、おかしいな。いつもなら、ここで「お返しだよ」と出すのに……。
おやつが終わっても、夕飯がすんでも、夫は何も行動を起こさなかった。
たまりかねて、ミキがお風呂に入ったとき、私は単刀直入に夫に尋ねた。
「ホワイトデーのお菓子、何も用意してないの?」
「……うん、だって今日オレ車だったから、買う暇なんてなかったし……」
呆れた。今日出かけることは、何日も前からわかっていたのだから、事前に準備しておくべきだ。忘れていたとしても、スーパーやコンビニで何か間に合わせのものを調達すべきだろう。
「あのさ、ミキは自分のおこづかいでバレンタインのチョコを買ったんだよ。お返しくらいあげないと、かわいそうじゃない」
「うん。でも、何を買えばいいかな?」
そのとき、私の目は、「得たり」とばかりに不気味な光を放ったかもしれない。
「ゴディバよ。ゴディバのダークチョコレートチップス!」
「ゴディバ? どこで買えばいいの?」
「池袋」
「デパ地下か。わかった」
念のために付け加えておいた。
「ベルンのミルフィーユも、ミキの好物だよ。それでもいいんだけどね」
「じゃあ、明日は電車で神谷町まで行くから、帰りに買ってくるよ」
夫は、実用的でない買い物をすることが多い。たとえば、「牛乳がないから買ってきて。タカナシの低音殺菌牛乳がいいな」などと頼んだとしよう。夫は堂々と手ぶらで戻ってきて、「低音殺菌牛乳がなかったから、買ってこなかった」と元気に言うのだ。ないと困るから、代わりのものを買うという機転が利かない。
また、「今日の夕食、鍋ものがいいな。遅くなるから作っておいてよ」とお願いしたとしよう。夫は冷蔵庫を確認しようとせず、白菜や長ネギ、エノキダケなどの買い置きを無視して、新たに買ってきてしまうのだ。あるものを使うという発想がない。
まあ、ちょっと心配だけどミキのためだもん。1日遅れのホワイトデー、大丈夫よねっ。
15日は、夕方に夫が帰ってきた。
「どう? クッキー買えた?」
しかし、夫は首を横に振って、渋い顔をするではないか!
「ゴディバを2軒回って、店員にも聞いてみたんだけど、今はダークチョコレートチップスを製造していないんだって。売ってなかったよ」
突き飛ばされたような、強い衝撃があった。
でも、ないのなら仕方ない。他にも美味しいものはあるのだし。私は気を取り直した。
「……で、代わりにミルフィーユを買ってきたんでしょうね?」
「いや、何も買ってこなかったよ」
今度は、開いた口がふさがらなかった。
なんて、使えない男……。
製造物責任法、いわゆるPL法を適用し、義母に損害賠償を請求したいものだ。
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帰宅するなり、早速娘のミキと夫にお披露目した。
「見て見て、これはメリーのチョコレート詰め合わせよ。可愛い缶だね~」
「あとで食べたーい」
「それから、こっちはゴディバのチョコとクッキーよ」
「あ、ダークチョコレートチップスって書いてある!」
ゴディバのチョコレートが美味しいことは重々承知しているが、クッキーは食べたことがない。ためしに1個、ミキと半分こにして食べてみた。
「うわ、何これ!! 今まで食べた中で一番美味しいよ~!」
ミキが感動して叫び声を上げた。
たしかに、普通のチョコチップクッキーとはひと味もふた味も違う、気品の漂う味わいだった。サクサクのココア生地と、濃厚でビターなチョコチップの出逢いとでも言えばよいのだろうか。甘すぎず、苦すぎず、香り豊かでまろやかな口当たりなのだ。
「…………」
さっきから、夫は一言も発しない。多分、私とミキへのお返しをまだ用意していないのだろう。去年はちゃんと準備してあったが、一昨年は見事に忘れられていた。ミキがひどくガッカリしていたことを思い出し、夫に確認する意味も込めて、いただきものを並べたというわけだ。
これで、明日のホワイトデーは大丈夫だろう。
今年のホワイトデーは風雨が強く、荒れた天気となった。
夫は、その日の朝から出かける用事があり、夕方に帰ってきた。
「ミキ、おやつにしよう」
4時すぎ、娘に声をかけお茶をいれた。夫はテレビを見ていて動く気配がない。
あれ、おかしいな。いつもなら、ここで「お返しだよ」と出すのに……。
おやつが終わっても、夕飯がすんでも、夫は何も行動を起こさなかった。
たまりかねて、ミキがお風呂に入ったとき、私は単刀直入に夫に尋ねた。
「ホワイトデーのお菓子、何も用意してないの?」
「……うん、だって今日オレ車だったから、買う暇なんてなかったし……」
呆れた。今日出かけることは、何日も前からわかっていたのだから、事前に準備しておくべきだ。忘れていたとしても、スーパーやコンビニで何か間に合わせのものを調達すべきだろう。
「あのさ、ミキは自分のおこづかいでバレンタインのチョコを買ったんだよ。お返しくらいあげないと、かわいそうじゃない」
「うん。でも、何を買えばいいかな?」
そのとき、私の目は、「得たり」とばかりに不気味な光を放ったかもしれない。
「ゴディバよ。ゴディバのダークチョコレートチップス!」
「ゴディバ? どこで買えばいいの?」
「池袋」
「デパ地下か。わかった」
念のために付け加えておいた。
「ベルンのミルフィーユも、ミキの好物だよ。それでもいいんだけどね」
「じゃあ、明日は電車で神谷町まで行くから、帰りに買ってくるよ」
夫は、実用的でない買い物をすることが多い。たとえば、「牛乳がないから買ってきて。タカナシの低音殺菌牛乳がいいな」などと頼んだとしよう。夫は堂々と手ぶらで戻ってきて、「低音殺菌牛乳がなかったから、買ってこなかった」と元気に言うのだ。ないと困るから、代わりのものを買うという機転が利かない。
また、「今日の夕食、鍋ものがいいな。遅くなるから作っておいてよ」とお願いしたとしよう。夫は冷蔵庫を確認しようとせず、白菜や長ネギ、エノキダケなどの買い置きを無視して、新たに買ってきてしまうのだ。あるものを使うという発想がない。
まあ、ちょっと心配だけどミキのためだもん。1日遅れのホワイトデー、大丈夫よねっ。
15日は、夕方に夫が帰ってきた。
「どう? クッキー買えた?」
しかし、夫は首を横に振って、渋い顔をするではないか!
「ゴディバを2軒回って、店員にも聞いてみたんだけど、今はダークチョコレートチップスを製造していないんだって。売ってなかったよ」
突き飛ばされたような、強い衝撃があった。
でも、ないのなら仕方ない。他にも美味しいものはあるのだし。私は気を取り直した。
「……で、代わりにミルフィーユを買ってきたんでしょうね?」
「いや、何も買ってこなかったよ」
今度は、開いた口がふさがらなかった。
なんて、使えない男……。
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それって、旦那さんの目的意識が無いのては?
目的→お嬢さんにバレンタインのお返し
→もし、買いたい物が無かったらお嬢さんさんが悲しむ。→なんとかしないと父親のこけんに係わる。→なんとかしなきゃ→とりあえず、何かをみつくろおう→何かしらを買う!
と、普通はなりませんかね?かなり、驚きました。でも、まさか?
これってフィクション?ですよね?だって流石にここまでの人は見た事ないなぁ!
本当なら違う意味で凄すぎる!
旦那さんにごめんなさい
(笑)
私のエッセイはすべて事実に基づいていますよ。
説明しづらい部分や個人の特定につながる箇所を、少々変えているくらいです。
夫は決して悪人ではないのですけれど、何をすれば人が喜び、何をすれば人が悲しむのかわからないみたいです。
だから何回も登場させています(笑)
日記読んでると、先生や娘さんには日頃から愛情を持って接して家庭的な旦那さんと言うイメージがあります 笑 俺と正反対 俺なんか家庭に向かない男!それから見れば‥日頃の旦那さん家庭への貢献度から見て…許してやれ
娘さんの誕生日にナニかのプレゼントあるかも
それに期待しましょい
そんな不器用なところに惚れたんやろ 先生が買って来て旦那に渡して娘にプレゼント…
そんなシチューもありかも 来年からそれやね(^ .^)y-~~~
彼の最大の欠点は、面倒なことを後回しにして解決を遅らせるところなんですよ。
たとえば、ゴディバでお目当てのクッキーがないとわかった時点で、私に連絡をよこせばよいものを、しないからこじれるんです。
今まで義母が何でもしてあげていたから、自分ひとりじゃ判断できないんでしょうね。
…来年は義母に買ってきてもらったりして(笑)
確かに
男は融通がきかないよね(笑)
買い物慣れさせないとね
ほとんど買い物したことないんじゃないかな
訓練、訓練(/ ̄∀ ̄)/
うちの旦那もあまり人の気持ちを考えない人です。
っていうと人みたいですけど・・・そうじゃなくて・・・。
なんというか、構わないというか、気が回らないというか、・・・必要最低限のこともしゃべらない・やらない・わが道を行く人です(爆)
そうかと思うと、急に家族想いのような行動をとってみたりするもんで(旅行に行こう!とか急に言いだす)・・・
みんなもう慣れきって(諦めて?)苦笑いしていますよ。
でももらえればなんでもいいと思ってしまう私は、相当ゲンキンな奴です。
旦那さんからお返しはなかったのですね…
もしかしたら忘れた頃に、何かサプライズがあるかもしれませんよ´ω`
確かによく気がつく夫は便利ですが、その意識をお仕事に向けて~と願うよりは良しとしましょっ。
それにしても砂希さん、やっぱりハイソだわぁ。
ゴディバとかメリーとかベルンとか…
ヤマザキ、ブルボン、森永、このへんがうちの射程距離ですわ
そういえば、今日森永の定番板チョコが\78で売ってた…あっ、すいません。
そう、我が夫は、結婚するまで下着すら自分で買ったことのない、箱入り息子だったんです。
さらに、ATMでお金を引き出したこともありません。
掃除と洗濯はしたことがあったそうです。
母親が何でもしてあげると、ダメ息子になりますね。
さくれさん、お宅もですか?
私は夫の習性に慣れなくて、というより認めたくなくて、ついつい要求水準が高くなってしまいます。
その通りにできないと叱っていたので、別のものを買ったらまた怒られると萎縮したのかもしれません…。
主婦レベルの買い物ができるわけがないのですから、これからはもう少し基準を下げて、諦めることを覚えていきます。
「何日だと思ってんだよ」と心の中で毒づき、ゴディバのチョコをいただきましたよ~!
店員さんのおススメらしく、なかなかのお味でした。
本当は、クッキーが食べたかったんだんだけど…。
まあいいか。
かなはなさん、よかった、ウチの夫だけが欠陥品なわけじゃないんですね(笑)
毎日、ゴディバやベルンは食べられません。
普段はおせんべいが多いかな?
チョコレートでも、名糖や明治のものですし。
たまには贅沢するのもいいですよね。
実は、栗原はるみさんみたいなホームメイドに憧れています。