私の高校では、1年から2年に進級するとき、クラス替えをする。
「まず、選択別に成績順にして、機械的に分けましょう」
「あとは、クラスで偏りがないように修正すればいいわね」
「オーケー」
クラス替えの作業は、3月末に担任団で実施する。遅刻や欠席の多い生徒、ハメを外しやすい生徒などが、特定クラスに集中しないよう全員で確認していく。
生徒同士の相性もあるので、数人集まると騒がしくなるメンバーは解体し、バラバラにすると不登校になりそうなグループは一緒にする。
問題は、どの生徒からも煙たがれるやんちゃ坊主の扱いである。クラス替えの前に何人もの生徒から、この問題児を何とかしてくれという直訴があった。
「絶対、アイツと同じクラスにしないで。大事な画像消されて、チョームカついた」
「俺なんか、パズドラのデータ消されたんだよ。しばらく立ち直れなかった」
「アタシも、デブってバカにされて傷ついた」
「俺もやだ。飯食いにいくと、必ずおごれって言うし」
教員の目の届くところでも、授業中立ち歩く、私語が多いなどの問題行動があり、いくら注意しても直らない。まさか、金品の絡むトラブルまであったとは。
「アイツ、調子に乗りすぎ。ユウヤと同じクラスにすればいいよ」
被害生徒の一人が、思わぬことを口にする。3組のユウヤという男子は、どちらかといえば小柄で、模範生ではないが目立つ生徒でもない。どうも納得がいかなかった。
「何で、ユウヤなの?」
「ユウヤは、区で一番ケンカが強いんだよ。だから、アイツも、ユウヤにだけはペコペコするもん」
「へえ……」
「アイツ、前にユウヤから『うるせえよ!』って怒鳴られたことあるから、ビビってるんだ」
「そうなの」
クラス替えのとき、そんな話をしたら、誰もが「本当ですか?」と怪しんでいた。教員には、ユウヤよりも問題児のほうが強そうに見えたからだ。自信はなかったが、他にいい方法もない。まあ、ためしにやってみるか、と見切り発車してみた。
もし、これがガセネタだったら、学級崩壊は目に見えている。言いだしっぺとしては、他の先生に怒られるのが怖い……。
そして、いよいよ、クラス替えの初日を迎えた。
「静かでした」と新担任の20代青年が、問題児の様子を口にする。ユウヤとは口をきくこともなく、ひとりで席に座っていたそうだ。
その翌日も「おとなしかったです」、そのまた翌日も「別人のようです」とのことである。
週末には授業が始まり、他の先生からも、「ひと言もしゃべりませんでした」と驚かれた。
担任団もビックリである。ひとまず、「ユウヤ作戦」は成功した模様だ。
「すご~い! こんなにうまくいくなんて」
「ユウヤ様々ですね」
てか、教員はいらない!?
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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「あとは、クラスで偏りがないように修正すればいいわね」
「オーケー」
クラス替えの作業は、3月末に担任団で実施する。遅刻や欠席の多い生徒、ハメを外しやすい生徒などが、特定クラスに集中しないよう全員で確認していく。
生徒同士の相性もあるので、数人集まると騒がしくなるメンバーは解体し、バラバラにすると不登校になりそうなグループは一緒にする。
問題は、どの生徒からも煙たがれるやんちゃ坊主の扱いである。クラス替えの前に何人もの生徒から、この問題児を何とかしてくれという直訴があった。
「絶対、アイツと同じクラスにしないで。大事な画像消されて、チョームカついた」
「俺なんか、パズドラのデータ消されたんだよ。しばらく立ち直れなかった」
「アタシも、デブってバカにされて傷ついた」
「俺もやだ。飯食いにいくと、必ずおごれって言うし」
教員の目の届くところでも、授業中立ち歩く、私語が多いなどの問題行動があり、いくら注意しても直らない。まさか、金品の絡むトラブルまであったとは。
「アイツ、調子に乗りすぎ。ユウヤと同じクラスにすればいいよ」
被害生徒の一人が、思わぬことを口にする。3組のユウヤという男子は、どちらかといえば小柄で、模範生ではないが目立つ生徒でもない。どうも納得がいかなかった。
「何で、ユウヤなの?」
「ユウヤは、区で一番ケンカが強いんだよ。だから、アイツも、ユウヤにだけはペコペコするもん」
「へえ……」
「アイツ、前にユウヤから『うるせえよ!』って怒鳴られたことあるから、ビビってるんだ」
「そうなの」
クラス替えのとき、そんな話をしたら、誰もが「本当ですか?」と怪しんでいた。教員には、ユウヤよりも問題児のほうが強そうに見えたからだ。自信はなかったが、他にいい方法もない。まあ、ためしにやってみるか、と見切り発車してみた。
もし、これがガセネタだったら、学級崩壊は目に見えている。言いだしっぺとしては、他の先生に怒られるのが怖い……。
そして、いよいよ、クラス替えの初日を迎えた。
「静かでした」と新担任の20代青年が、問題児の様子を口にする。ユウヤとは口をきくこともなく、ひとりで席に座っていたそうだ。
その翌日も「おとなしかったです」、そのまた翌日も「別人のようです」とのことである。
週末には授業が始まり、他の先生からも、「ひと言もしゃべりませんでした」と驚かれた。
担任団もビックリである。ひとまず、「ユウヤ作戦」は成功した模様だ。
「すご~い! こんなにうまくいくなんて」
「ユウヤ様々ですね」
てか、教員はいらない!?
↑
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「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
教務をやっていらしたんですか。
PCに強くないとできないし、教育課程や諸制度をよく知っておく必要がある仕事ですね。
とても私には務まりません(笑)
私はずっと進路です。
そのクラス分けだと、原案作成者というより振り分け作業者ですよね。
選択権がないとはおかしい…。
ちなみに、ユウヤのクラスは、「静かだけど何かが起きそうな手ごわさを感じる」と評されておりました。
悪さをしてもいいけど、人として許されないことはしないでほしいです。
学年教務という仕事をずっとしていた関係で、
毎年「クラス替え原案」を作成しました。
選択科目、成績、欠席日数、特別指導回数…
機械的に振り分けた後の話し合いは、毎回白熱でした。
原案を作った手前、例年私には選択権がなく、
引き取り手がないクラスの担任になります。
ヤンチャ者ばかりが引き寄せられてきて、すったもんだの1年間。
楽しい思い出ですわ。
担任なんてたまにしか会わないけれど、クラスメイトは始終一緒ですからね。
生徒同士の組み合わせは、運命の糸ですね。
そうそう、教員と生徒の相性は大事です。
生徒の間でも、「あの先生は絶対イヤ」なんて言ってるし。
しかし、生徒同士の相性はなかなか見えてきません。
ひとまず、学校がイヤで不登校になる生徒がいなければ成功かと思います。
私のクラスは大丈夫かしら…。
先生のところではまんべんなく生徒を配置していますね。
生徒同士の相性を考えるのも大変だわ。
そもそも、「区で一番」って誰が決めているんでしょう。
ランキングの根拠がわかりません。
ユウヤは格闘技を習っているとも聞きます。
子どもたちにとっては、それだけで十分脅威なんでしょうね。
彼のエライところは、教員に対しては素直なんです。
敵対する対象じゃないとわかっていて、話が早い。
学園物は、見る気がしません(笑)
今回のクラス替えでも、白玉さんのように「友達が誰も一緒じゃない」と泣いた子がいました。
去年私のクラスだったので、恨まれている模様…。
新たな友達を作ってもらいたいです。
ユウヤは教員から目立たずに、勢力を伸ばしている模様。
やるもんですね。
問題児が不登校にならなきゃいいんですが。
区で一番ケンカが強い…なんて、比較する場があるってことですね。
そういえば、冬クールドラマ『夜のせんせい』で、メッチャ強いって評判の男と同姓同名の男が、その評判を利用して粋がってたけどバレそう…って話の途中で視聴停止してたわ。
こういうヤバっていうのが怖くって、視聴停止して端末の容量がいっぱいになってる悪循環…。
同じクラスになれなかったことがありました。
当時は、学校や担任を恨みましたが、新たな友達もできました。
クラスで優劣があっては、やっぱり楽しくないですからね。
それにしても、ユウヤくんGJ♪
クラス分けの基準は学校によって違います。
たまたま、私の学校ではこうだというだけの話。
デブは離すって…(笑)
すごい基準ですね。
昔、担任を持ったクラスが、太めの子ばかりでした。
クラス対抗リレーはビリでしたよ(笑)
そういえば、「山田」が4人もいたクラスがありました。
いくらなんでも多すぎ(笑)
教員の思い込みはよくないですね。
ときには生徒からの情報に頼る方がいいみたいです。
下剋上が起きない限り、クラスの秩序は保てる気がします。
知人の子どもは、たしかに関わりたくないなぁ。
こちらの一挙一動が筒抜けになりそうで怖い。
失敗もしますからね。
昔の同僚が、某作家の息子の通う高校に異動しました。
かなりのワルで、だいぶ手こずったそうです。
しかも、親が非協力的だったとか。
その作家の本をすべて捨てたと聞きました。
もう何年も前の話ですけどね。
って呼びますが同じ学年に字は違いますがけんと
が5人もいました。みんな別のクラスになりましたけどね!(笑) しかし、今回のは噂を信じてチャレンジでしたね!
もし、違っていたら・・・・恐~い(笑)
ユウヤ作戦、うまくいってよかったね。
しかし、生徒同士の関係、教員には見えていない面も多々ありますね。
私は以前恩師で上司だった先生がいて、この人の息子の学年をもち、絶対その子の担任にだけはならないようにと思っていましたが、担任を決める学年会でうっかりしていて、気がついたときにはその子の担任でした。
やりにくかった。