これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

オペラ座のカルロッタ

2012年11月11日 20時01分13秒 | エッセイ
 劇団四季の「オペラ座の怪人」を観てきた。
 初めてこの作品を観たのは、高校生のときだ。ミュージカルではなく、映画がテレビで公開されたものを録画した。おそらく、1985年前後のことだろう。張りのある歌声やベルバラ調の衣装に感動し、画面に釘付けとなったことを覚えている。
 特に印象深いのが、プリマ・ドンナのカルロッタである。オペラ座を陰で支配している怪人は、愛弟子であるクリスティーヌに主役を与えるよう指示するが、気位の高いカルロッタは承知しない。主役を横取りし、舞台の中央で自慢の美声を披露するのだが……。なぜか突然、意味不明の行動に出る。顔をゆがめ、両手を上げて髪をかきむしり、歌いながらカツラをズボッと外すのだ。カツラの下に髪は見えず、白い布が坊主頭のように巻かれている。一転して、濃い化粧、華やかなドレスに不釣り合いな姿と化し、観客はゲラゲラと大笑いする。実は、怪人がカルロッタに罰を与えようと、カツラにノミを入れたのだった。
 私も、ここで腸ねん転になりそうなくらい笑った。録画テープを巻き戻し、何度も繰り返し見た。楽しいキャラに好感を持ったくらいだ。
 しかし、この映画は、怪人が横たわったラストで、いきなり中断される。野球中継が長引き、2時間の録画テープに収まり切れなかったのだ。いいところで、「ブツッ」と終わり、結局最後はどうなるのか、見届けることができなかった。
 だから、今回の劇団四季には期待をしていた。
 劇場内を入ってすぐのところで記念撮影をすると、公演への期待が高まってくる。



 S席なのに、座席は2階だ。「うえーん」と泣きたくなったが、シャンデリアが冒頭で昇ってくる場面や、怪人が天井付近から登場する場面を考えると、2階席のほうがよく見えていいのかもしれない。ちょうど正面ということもあり、あとから考えてみると悪くない席だった。
 オペラ座の大道具は見事な出来栄えだ。柱や梁に女性美を称える彫刻を施し、落ち着きのある金色で塗られている。衣装も色鮮やかで、豪華絢爛なパリを華麗に演出していた。
 作品の代名詞ともいえる名曲「オーヴァチュア」をはじめとして、オーケストラの演奏と、出演者の歌声が素晴らしい。耳から頭に忍び込み、脳内をビリビリと刺激してくる。音楽にはさほど詳しくないが、心地よくて何度も聞きたくなった。20分の休憩で、CDを購入する。ついでに、クリアファイルも欲しくなった。



 あっという間の2時間半で、終わってからもすぐには席を立ちたくない気分であった。非常に臨場感のある作品だ。時間があれば、また観たいと思う。
 もの足りないのはカルロッタであった。カツラのノミはなく、歌声をカエルの「ゲコゲコ」に変えられただけで、存在感が薄い。もっと、高飛車なふるまいをして、笑いを取ってもらわなくては。
 本場、ブロードウェイでは、さらに心を揺さぶられる出来なのだろうか。
 いつか、行ってみたい。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)

コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ポイント3倍の罠 | トップ | モンスターペアレント? »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブロードウェイで見られると、また違うのでしょうね (FREUDE)
2012-11-11 20:41:21
映像になるものが苦手で、あまり興味が湧きません
当然、見てもわからず
こうして文才のあるかたの解説のほうが、おもしろそうです

席のランク分けは難しいですね
音楽なら、曲によって最適の席が違ってきます
返信する
懐かしいなオペラ座の怪人 (YUMI)
2012-11-11 21:11:37
四季のオペラ座の怪人みたの、いつだったかな?
もう20年くらい前のような気がします。
四季の舞台はいくつかみましたが、オペラ座の怪人が一番よかった。
そのあとすぐに妹がロンドンに行ったので、本場のCD買ってきてもらいました。
砂希さんが買ったのと、デザインは同じですよ。
今でもきいています。
返信する
意外にも… (Yano)
2012-11-12 07:20:36
意外にも笑うシーンもあるんだねぇ。
「オペラ座の怪人」は映画でも観た事がなくて、「オペラ座 -血の喝采-」っていう古い映画なら観た。全く別物なんだけどね。
ミュージカルは、20代の頃に内田夕紀のを観たけど、それ1回きり…。音楽や照明が中々良かった気がする。因みに、ミュージカル映画はでは「エビータ」と「マンマ・ミーア」を観た事があるよ。
もし今後生のミュージカルを観るとしたら、映画でも好きな「レ・ミゼラブル」を観たいところ!
返信する
ランクづけ (砂希)
2012-11-12 19:53:33
>FREUDEさん

なるほど、一概にいい席悪い席と決めつけられないのですね。
今回は東京都の福利厚生でチケットを取りました。
当日まで座席がわかりません。
引換所で交換したら、初めて2階席と判明し…。
前から3列目でしたけどね。
四季劇場は小ぢんまりとしているので、後ろのほうでもよく見えるような気がします。
NHKホールの3階席だったときは、歌手が米粒に見えました(笑)
返信する
ロンドン! (砂希)
2012-11-12 20:03:03
>YUMIさん

実は、私も14年前に見に行ったことがあります。
勤務校の芸術鑑賞教室だったんですよ。
まだ赤坂の劇場でした。
そのときは1階席だったので、シャンデリアが昇っていく場面が迫力でしたよ。
しかし、トイレが混んでいたことと、開演前のランチ以外は全然覚えていないんです。
仕事だとダメなんでしょうか。
ロンドンが本場なんですか?
全然違うでしょうね~。
返信する
ミュージカル (砂希)
2012-11-12 20:06:33
>Yanoさん

私もさほど観ていないほうかなぁ。
「秘密の花園」はよかった。
新橋演舞場だったと思う。
でも、夏に行ったCATSは居眠りしちゃった(笑)
同じ四季でも作品によって印象が違うもんだね。
「レ・ミゼラブル」は笑うシーンがなさそう。
返信する
苦手 (ゆう)
2012-11-13 02:34:31
自分ミュージカルが苦手なんすよ。オペラ座の怪人はメジャー中のメジャーだから、内容も知ってるし、とりあえず席を立つことはないかな。
最近のくそはマンマミーア。アバの楽曲は大好きだから、とりあえず見たけど、ひどいの一言。とにかく流れとか関係なく、いきなり歌いだすミュージカルにはかなり抵抗がありますね。反対によかったのはヘアスプレー。全体に統一感があって、コミカル&サクセスショーとしては一級だと思いました。
それにしても、いろんなとこいってまんなぁ。センセ。うらやましくなってしまう。
返信する
コメディ (砂希)
2012-11-13 20:13:37
>ゆうさん

ブログがなければ、面倒がって出かけないかも。
本来出不精なんですが、ネタゲットのために外出することが増えました。
いい気分転換になっています。
マンマミーアがそんなにクソだったとは(笑)
映画で外すよりショックですよね。
ヘアスプレーも映画で見ました。
ジョン・トラボルタが母親役でウケた(笑)
楽しいのが一番ですね!
返信する
トラウマ超え (Hikari)
2012-11-23 07:37:55
オペラ座の怪人…単語しか知らない世界です。

子供の頃、親がタダ券をゲットしたかで、子供向けミュージカルを観に行ったことがあります。
登場人物が話の途中で唐突に歌いだしたり踊りだしたり。
みんな狂っているのかと、とても怖かったです。
以来、自分はオペラだのミュージカルだのは嫌いなのだと思いこんできました。

でも、似たような作りのインド産恋愛映画は笑えたので、食わず嫌いかもしれません。トラウマを超えると思われる作に足を運んでみたらいいのかもしれませんね。
返信する
狂人 (砂希)
2012-11-23 10:41:00
>Hikariさん

トラウマになってしまったとは(笑)
好みがあるんでしょうね。
私は「こういうものなんだ」と客観的に観た覚えがあります。
初めて、自分でお金を出して観たミュージカルは、「秘密の花園」でした。
「オペラ座の怪人」の2倍の価格でした(笑)
グレードも高く、よかったですよ。
子供向けは、チャチな作品が多いかも…。
「踊るマハラジャ」なんかは面白かったなぁ~♪
返信する

コメントを投稿

エッセイ」カテゴリの最新記事