これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

エッセイは麻婆豆腐だ!

2018年04月01日 22時16分03秒 | エッセイ
「さあて、今日の夕飯は麻婆豆腐にしよう」
 木綿豆腐を水切りする間に長ネギ・ショウガ・ニンニクのみじん切りを炒め、豚ひき肉を入れる。火が通ったら水を加え、豆板醤と醤油で味付けしたあとに豆腐を混ぜる。水溶き片栗粉でとろみをつければ出来上がりだ。
「美味しいけど、辛すぎじゃない?」
「うん。耳が痛くなるな」
 自信作だったのに娘と夫からダメ出しされた。調子に乗って豆板醤を入れ過ぎたか。
 ドンマイ、ドンマイ、今度は気をつけようっと。



 20年前からエッセイを習っているが、文章を完成させる手順は料理によく似ている。まずはテーマに沿った材料選びからだ。冷蔵庫ならぬ頭の引き出しを開け、ありあわせのもので足りればそれでよし。足りなければネタを求めて出歩き、どうにか調達する。
 材料の切り方に決まりはない。強調したいものは大きめに、どうでもいいものは小さめに整える。失敗してもやり直しの利くところがありがたい。
 大事なのは火加減と味付けだろう。これ以上はないというくらいの強火で、ジャジャーッと一気に書き上げるのが好きだ。弱火でちんたら進めると、「あれ、アタシ、何を書こうとしたんだっけ」となりがちだ。野菜炒めのように、短期決戦でいくしかない。
 味付けは辛口が多いかもしれない。本当は読んだ人が幸せを感じるような、甘くてふわふわの生クリームエッセイを書きたいのに、出来上がるものは大抵スパイシーである。
「だから豆板醤を減らせと言ったのに」
 娘の小言が聞こえた気がする。よし、今度、まろやかな文章を読んだら絶対に書き写すぞ。私だって、甘口のエッセイが書けるようになりたいもの。
 苦労して書き上げた作品は、誰かに読んでもらわなくては意味がない。
「ここはどういう意味かしら」
「この部分はいらないんじゃない?」
「最初と真ん中の文を入れ替えた方がわかりやすいと思います」
 エッセイ教室の美熟女たちに指摘されて初めて問題点に気づく。誰も何も言ってくれないと「これでいいんだ、完璧ぃ!」と勘違いしてしまうので、ガンガン言ってもらったほうが助かる。
 でも、否定されてばかりだとさすがに凹む。
「この表現が好きだわ」
「テンポがいいね」
「タイトルがうまい」
 などと、ほんのちょっとでも褒めてもらえれば、たちまちやる気がわいてくる。
 そんな調子で続けてこられたエッセイ教室だが、仕事の都合で3月をもって卒業した。
 これからは自己流で頑張るしかない。
 生煮え、焦げ付き、塩の入れ過ぎなどに気づかれましたら、遠慮なくご連絡ください。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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