これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

定期がない!

2017年05月18日 20時47分08秒 | エッセイ
 6:58の電車に乗るため家を出た。改札口で定期券を出そうとしたら、スカッと空振りをする。
 あれれ?
「うわ、大変。定期を忘れた」
 前の日は、書類の入る大きめのバッグを持っていった。定期券は、まだそこにあるのだろう。名刺入れをいつものバッグに戻しただけで、定期がそのままとは不覚である。
「しょうがない。切符を買うか」
 家から駅までは徒歩10分。再度、往復する元気はない。交通費の800円を払った方がマシだ。
 財布を開けると、小銭がジャラジャラしている。ちょうどいいからこれを使ってやれ、と券売機にぶち込んだ。
「ん? いつの間にか240円になっている……」
 最後に切符を買ったときは、池袋まで230円だった。IC定期になると精算もしないから、値上がりしたことにも気づかないままだ。
「IC専用? ダメだ、ここもあそこも入れない」
 さらに、自動改札が行く手を阻む。ICカード専用改札ばかりで、切符が使える改札がなかなか見つからない。ようやく見つけて、ホームにたどり着いたときは安堵した。
 定期がないだけで、こんなに面倒なのかと驚く。池袋に着いたら、今度はJRの切符を買わねば。
 いつもの電車に乗れるかなぁ……。
 20年ぶりに定期券を忘れ、時代の移り変わりを実感する。今の世の中は、カードを持たない人に冷たい。運賃は高くなるし、切符対応の改札でないと入れないとは何事か。券売機が「カードのご利用をおすすめします」などと表示してきたので、カチンときて「忘れたんだってばよ!」と言い返したくなった。
 去年の5月に、スーパーのクレジットカードを作った。支払いは楽になったが、1000円札が不足しがちだ。これまで、スーパーで5000円くらいの買い物をして1万円札を出し、釣りとして1000円札を手にしていた。このサイクルが狂うと、ちょっとした支払いのときに困る。急いでいる朝にタクシーを使い、万札を出すのはいかがなものか。コンビニで、500円足らずのものを買うときも同じだ。
「そうだ、機械だったら気にしなくていいんじゃない?」
 機械はせっかくだから、券売機で1万円札を使わせてもらうことにした。気が弱いワタクシにはピッタリの作戦である。
「えーと、JRは160円だから……」
 券売機で160円のボタンを押し、10060円を投入した。50円玉は使わず10円玉6枚が減り、財布が一気に軽くなる。釣銭は9900円。ついでに、最寄駅までの240円の切符も1万円で買った。もう10円玉は残っていなかったが、9760円をゲットする。



「よし、これでしばらく1000円札には困らないぞ!」
 800円は無駄になったが、転んでもただでは起きないのが笹木流である。
「帰ったら、すぐバッグに定期を入れよう」
 ……ちょっと、やせ我慢したかもしれないが。


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コメント (8)
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