これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

70歳になったら

2012年09月23日 20時01分38秒 | エッセイ
 4カ月ぶりで母に会った。
「このベスト着る? いいと思ったら、若向きだったんだよ」
 母は、ビニールに包まれたままの黒いベストを取り出し、私に勧めた。
「ベスト?」
 チョッキ、と言われなくてよかった。
 70歳の母が好むデザインは、たいてい私の好みではない。野暮ったかったり、肌触りが悪かったりで、結局はこっそり捨てる破目になる。だが、涼しい秋は、チョ……ではなくベストが欲しくなる。部屋着にする分には、地味でも問題ない。役に立つ予感がしたので、私はお礼を言って受け取った。
 ひとまず、袋から出し、タンスにしまっておく。
「寒ッ」
 今日は、東京でも半袖ではいられないほど、気温が低かった。久しぶりに、長袖のTシャツを出す。それでも、肩のあたりが冷える感じがした。

 そうだ、あのベストを着よう!

 意外に早く、出番がやってくるものだ。早速タンスから取り出し、Tシャツの上に重ねてみた。



 結構かわいい。
 そして、肩も背中もポカポカして、安心感が生まれてくる。これは気に入った。
 母に感謝である。
 おそらく、母は裾のフリフリを「年甲斐もない」と感じたのではないだろうか。でも、おばあさんが着ても悪くない気がする。思い切って着てみれば、気持ちが若返ってよかったかもしれない。
 今度、母にお返しとして、明るい色でフリフリなしの服をプレゼントしてみよう。
 年寄り染みた固定観念から解放され、あと20年は元気でいてほしい。
 今度は妹に、「砂希からもらったんだけど、着てくれない?」なんて言ってたりして……。


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コメント (12)
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