三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

「普通の幸せ」

2018-12-29 09:13:40 | 日記
「普通の幸せ」

桑野公民館長 陶久敏郎

 新年明けましておめでとうございます。
 旧年中は、公民館の諸活動に格別のご高配を賜りましたことに心からお礼を申し上げます。また本年もご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 新年を迎え、皆様には、今年が幸多い一年になれと願っていることと存じます。「幸せ」という言葉を耳にするとき、私はいつもこのことを思い出します。
 平成15年1月に「全ての拉致被害者を一日でも早く救出したい」との思いから、仲間と共に救う会徳島を設立し、その年の7月に県郷土文化会館に横田滋・早紀江ご夫妻をお招きして拉致問題講演会を開きました。
 講演会が終わり、ご夫妻を徳島空港までお見送りしたとき、私は横田早紀江さんと喫茶店でこんな会話をしました。私が、「あなたにとって幸せとは何か」という意味のお尋ねをすると、早紀江さんはこんなことを話されました。
 「朝起きると、家族がそれぞれの朝の支度を済ませ、「お早う」と声かけて食卓に着く。朝食が終われば「ごちそうさま」と言って席を立ち、「行ってきます」とそれぞれに出かけていく。その繰り返しが私にとって幸せで、そんなありふれた普通の幸せを望んでいます。」
 めぐみちゃんが北朝鮮によって拉致されたのは、1977年11月、彼女が中学校1年生の時だから、それ以降、横田家には家族全員がそろった団らんというものが存在しません。母親としての切実な願いに触れ、私は心を痛めたのと同時に、「こんなことなら、私は毎日行っている。これが幸せというのなら私は今でも十分に幸せなんだ」と思いました。早紀江さん話を聞いて、私は自分が幸せな人生を送っていると自覚し、「幸せ」というものは身近にあって特別なこととは限らないと教えらました。。
「幸せ」の基準は十人十色ですが、日常生活の中であいさつを交わし、近所の人の存在を気に掛けることは普通の幸せを支える小さな一歩です。その一歩を、みんなで踏み出していきましょう。

(公民官報くわの 平成31年新年号に掲載)