Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.371:2010年7月の日経MJの教育業界関連マーケティング情報

2010年08月28日 | 教育関連マーケティング情報
ネタ切れ状態の昨今、月末の「日経MJの教育業界関連マーケティング情報」はゼロから考える必要がないため、ちょっと気分が楽な週となります。しかし今週は放送大学の試験の準備をしていたため、執筆開始が遅くなり、現在月曜の深夜に汗をかきながらキーボードをたたいております。(-_-;)

日経MJの教育業界関連マーケティング情報バックナンバーへのリンク
http://blog.goo.ne.jp/sanno_el/e/7f26d2e547f9f304eda9b284184719cf

◆成人向け外国語教室マーケットの凋落(2010/07/5 MJ9面)

【概要】
民間調査会社矢野経済研究所の調査によると、2009年度の成人向け外国語教室の市場規模は1850億円と08年度より7.5%縮小したそうです。この縮小傾向は継続し、10年度の予想も1750億円と09年度より5.4%下がる見通しとのことです。一方、語学の独習教材やソフトは136億円と08年度に比べ31.5%も増加、さらにPC向けのソフトウェアも15億円と規模は小さいものの130.8%と大きく伸びているそうです。

【コメント】
eラーニング関係者としては、PC向けのソフトウェアが昨対で130.8%も伸びていることを手放しで喜びたいところですが、外国語教室の市場規模の落ち込み額が約150億円なので、1年間で独習教材やソフトとPC向けのソフトウェアを合わせた市場が消失している状況を考えると複雑な思いです。単に教育提供方法を変えたからといって、市場規模の縮小に歯止めがかかる訳でもなく、成人向け外国語マーケットは大変苦しい状況になっているといえます。
参考:『語学ビジネス市場に関する調査結果2010』
http://www.yano.co.jp/press/pdf/631.pdf

◆数学に目覚める(2010/07/5 MJ14面)
【概要】
社会人の間で、数学がブームになっているそうです。きっかけとなったのは昨年11月に放映されたNHKの番組『魔性の難問~リーマン予想・天才達の戦い』だったそうです。これらの番組に触発されて関連書籍が相次ぎ登場、さらには高校時代に数学に挫折した私立文系の社会人が、高校数学の学び直しに挑戦しており、彼らを対象とした講座がカルチャースクールで人気を集めているそうです。

【コメント】
空前の歴史ブームの影響もあり、昨年出版された「もう一度読む山川日本史」と「もう一度読む山川世界史」はシリーズ累計50万部を越えるベストセラーになっているそうです。歴史の次は数学です。実はコガも最近数学を学び直したいと思っている私立文系派の一人でして、まずは手始めに『はじめまして数学1~3』(吉田武 2001 幻冬舎文庫)を読んでいるところです。
今後継続して学習し、微分積分あたりまで分かるようになったら素敵だろうなあ~。しかし中学まで数学は一番好きな教科で、テストでいつも90点以上はとっていたのに、なぜ高校で挫折してしまったのだろう?リベンジだ。

◆薬剤師ネットで囲い込み(2010/07/5 MJ9面)
【概要】
大手調剤薬局チェーン日本調剤の子会社であるメディカルリソース社はMixiのアプリで「全国薬剤師力検定」(無料)を立ち上げました。現在薬剤師は深刻な人手不足となっており、派遣の需要が膨らんでいるそうです。同社ではネットで若い世代や休職中の薬剤師を確保することを目的にこの検定を立ち上げました。このアプリを体験し、より深く学びたい人が、日本調剤社の薬剤師生涯教育プログラム「JPLearning」のホームページを誘導される仕組みとなっています。
「JPLearning」のWebサイト http://www.jplearning.jp/

【コメント】
育児後の女性の社会復帰支援、e検定とeラーニング、ソーシャルメディアの教育活用など様々な観点から考察できる大変興味深い事例です。現在薬剤師の数は30万人、そのうち子育て中や子育てが一段落し、職場に復帰しようとしている人は3割もいるそうです。特に2011年3月までの2年間は薬学部が6年制に以降したことから新卒がいないので、既存の薬剤師の争奪戦が激しさを増しています。この復帰予備軍は調剤薬局からすると喉から手がでるほどに欲しい人材となのです。そして復帰の鍵を握るのは、なんと言っても休職中のブランクを埋めるための教育制度です。日本調剤社の薬剤師生涯教育プログラム「JPLearning」ではeラーニングをうまく活用し、休職中薬剤師の復帰教育に貢献しているようです。

◆サントリーと東京大学のコラボ「水検定」(2010/07/12 MJ7面)
【概要】
サントリーと東大は2008年から『水の知』という寄付講座を開設しています。
この延長線上で今回始めたのが「水検定」、略してミズケン。水に関する様々な知識を問う検定です。インターネット上で無料でチャレンジすることができますので、気になる方はぜひ下記のサイトでチャレンジしてください。

「ミズケン」のWebサイト http://www.wow.u-tokyo.ac.jp/quiz/index.php

1回あたり10題が出題され、現在初級編117の問題セットが用意されています。
東京大学の先生が監修していることもあり、初級とはいえかなり難しい問題も含まれています。

【コメント】
サントリーグループのホームページによると、

> サントリーグループは、その存在理由ならびに到達目標を
> 「人と自然と響きあう」という企業理念に定めています。
> 「水と生きるSUNTORY」というメッセージは、その思いをお客様、
> 社会と広く共有するために生まれました。
> サントリーグループは水に生かされ、水を生かす企業です。
> (http://www.suntory.co.jp/company/csr/vision.html より引用)

とあります。こうしたCSRビジョンを広めるための施策として寄付講座を開講し、さらにより多くの人に「水」への関心を持ってもらうため、今回のミズケンを開始したそうです。CSRビジョンの定着にe検定(eラーニング)を活用している事例というのはなかなか新鮮です。

◆日販が夏のブンコ検定(2010/07/21 MJ9面)
【概要】
「薬」「水」の次は「本」です。日本出版販売ではインターネットの特設サイトで「夏のブンコ検定2010」を開始しました。

「夏のブンコ検定2010」https://net.kentei-uketsuke.com/regist/bunko.asp

角川文庫、集英社文庫、新潮文庫とタイアップし、夏の文庫フェアの本にまつわる知識を問う内容になっています。クイズを通じて作品への関心を高め、販売促進につなげるねらいがあるそうです。

【コメント】
コガも早速チャレンジしてみました。「薬」「水」「本」の中では「薬」に次いで難しかったです。他のサイトの検定に比べると、事前にe-mailを登録しなくてはならず、やや試験開始までの段取りが面倒に感じるかもしれません。eラーニングの事前登録は一昔前なら普通の手続きだったのですが、クラウドとかフリーの影響なのか最近流行らなくなりましたねえ。

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