差塩と趣味の世界

故郷 福島差塩の想い出と徒然なる盆栽奮闘記

8月6日

2024年08月06日 | うんちく・小ネタ

 戦前派の爺などは、8月6日は忘れない日・忘れてはならない日である。広島に新型爆弾が投下された多くの人々が一瞬にして残酷に命を奪われた日である。広島一中生でクラスメート49人がその犠牲になった中で唯一難を逃れた我が友人が残してくれた手記を載せてみよう。彼は勤労動員で怪我をし、たまたま登校せず疎開先宅の廿日市町(広島市郊外12㎞西方)にいた。

「ピカー」と突然部屋の中が、一面に輝き目が眩んだ。写真
のマグネシュウムを焚いた時のような眩しさが、一瞬では
なく「ボー」と長く続いた。
「なんだ、これは?」と思った瞬間
「太陽が破裂した!」と悲鳴に近い男の声が下の畠から聞こ
えて来て、尚一層驚いた。
「大変だ!」反射的に椅子から立ち上がり、窓辺に駆け寄り
見上げて一瞬ホッとした。
「あった!太陽は」右上の青空に燦然と輝いていた。
その時、真正面、東の空に異様な“光景”を見た。
 白い雲が数個、紺碧の上空に向かって、猛スピードで上
昇し、その下から怪しく七色にキラキラと輝きながら水平
に横たわる光束の帯が、ゆっくりと天高く上昇している。
「不思議だ、綺麗だな!一体何だろう?」と目で追った。
 文字通り異様な「光の景色」を見上げていると、今度は

下から
「真っ白い、巨大なアイスクリーム」が田んぼの向う端にあ
る家並みの屋根越しに、ムックラと沸き上がって来た。
それが、ぐんぐんと大きく盛り上って行く。
「いったいこれは何だ?」思わず窓を開けようと手を掛けた
途端に、
「ドーン」と大音響と共に、手にした窓ガラスが木っ端微塵
に顔面にぶつかって来た。
 障子や襖も吹っ飛び、やられたと思って、直ぐ手で顔を
擦ったが、不思議に血は着いていなかった。
顔面がガラスに近過ぎて助ったかと思った。
 甲高い伯母の声が叫んだ。
「防空壕に入りんさい」破片が飛び散った階段を急ぎ、防空
壕に逃げ込んだ。
最初の「ピカッ」から「ドーン」迄、ほんの十数秒か?奇怪
な大スペクタルであった。
、、、、、、、、、、湖畔の集い創立40周年記念事業の一つで出版した「湖畔の轍」より

 彼の残してくれた画像をアップしてみる。その彼も数年前旅立ってしまった。戦争を知る戦前派の人間も年々少なくなってきている。戦争の惨たらしさを声を大にして伝えなければならないと、、、、!!!