ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

今週の朝日歌壇

2011年06月07日 | 短歌
今週の朝日歌壇より心に残った歌をご紹介いたします。


    山なりにカーブを切れど三陸の見なれた町のどににも着かない (岩沼市)山田 洋子
                                 (永田和宏、佐佐木幸綱選)

佐佐木幸綱先生の評「よく通る山側の道路からの見なれた風景。その風景の中から、いくつもの町が消えてしまったのだ。下句、吐息のような表現が悲しい。」


    生ゴミを埋めた土からジャガイモが草に負けじと葉を出し伸びる (西海市)前田 一揆
                                 (馬場あき子選)

西海市は、長崎県にある市。最初、被災地の方が詠んだ歌かと思いました。どんな環境にも負けずに育つ強い力を持つジャガイモに見習いたいと思います。


    余震なき日はあらずしてかの日より二月は過ぎ二キロ痩せたり (仙台市)坂本 捷子
                                 (馬場あき子選)

これは仙台の方。すっかり関東は、余震が収まりましたが、仙台ではまだまだ続いているようです。5月中旬に詠まれた歌。「二キロ痩せたり」に、はっとします。


    土下座などされても還らぬ日常と知れども怒りのやり場のなくて (福島県)斉藤 栄子
                                 (佐佐木幸綱選)

津波による被災地の方でなく、原発事故による被災地の方。「還らぬ日常」を引き起こした電力会社への怒りは、「日常」を取り戻した私たちの想像をはるかに超えたものでしょう。しかし、まだ、原発事故は、悪化を続けています。


    言いかけたごめんなさいに気づかずにママは怒ったすごく怒った (富山市)松田 わこ 
                                 (永田和宏選)

小学生、松田わこちゃんの歌。私が子供の頃にも、こんなことがあったなぁ、と思わせる歌。震災の歌から離れて、ちょっとほっとします。


今週も、被災地からの歌が多かったのですが、西日本の方からの日常を詠んだ歌も大分選ばれていました。テレビの映像から震災の様子が消える今日、歌からのメッセージは、貴重です。


ユラーナ   
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